病院に行って血液検査をしたとき、血液の流れや血管の状態を評価する指標として、non-HDLコレステロール(総コレステロールからHDLを引いた値)や、LDLとHDLの比率(L/H比)などが用いられます。
しかし東洋医学の見方では、身体の中で起きている「血の巡りの滞り」は、そうした数値上の問題だけではないのかもしれません。
そもそも「瘀血(おけつ)」は、なぜ発生するのでしょうか。
その分かりやすい直接的な要因の一つに、打ち身や捻挫、打撲といった外傷があります。
例えば、膝をどこかに強くぶつけて青アザができてしまったり、表皮から皮下組織まで傷ついてしまったりしたとき。
その場所では一時的な血行不全(血の滞り)が起こります。
これは、損傷した細胞や組織を急速に修復するため、酸素や栄養を運ぶ「血」を集中的にその場へ集めなければいけないからです。
こうして外傷の修復のために局所へ血が集中した結果、身体の他の部位では一時的に血が不足したり、全身の血の巡りにアンバランスが生じます。
これもまた、広い意味での「瘀血」です。
こうして見ると、瘀血とは単なる「身体の負担になって取り除くべき悪者」だけではないことが分かります。
組織を修復し、傷を治そうとする生体防御の過程で生まれる「一時的で必要な滞り」という良い側面と、それが消えずに残り続けて慢性的な不調を引き起こす悪い側面、瘀血はその両方を併せ持っています。
先日、長期間にわたって瘀血を処理する漢方薬などを飲み続け、月経周期に伴うニキビが綺麗に改善された方がご来店されました。
順調だったため一度お薬をストップし、その後しばらく経っていたので改めて体調をお伺いすると、ご本人の自覚症状から軽い瘀血状態の傾向が見受けられたのです。
これは、一見すると瘀血の再発のように思えるかもしれません。
ですがこの場合は、身体が元気を取り戻し、体内の「気・血・水」が十分に満たされたことで生じた、いわば「血余り」という、良い意味合いの「瘀血」状態でした。
しかし、良い意味での瘀血であったとしても、このまま放っておけば「血」の滞りは悪化してしまいます。そして悪い意味での瘀血になってしまうので、しばらくの間だけ、駆瘀血剤を飲むことをお勧めしています。
このような、身体が治そうとする営みそのものに目を向けることで、自分の身体に対する理解が、もっと深まっていくのではないでしょうか。