風邪を引いたとき、あるいは体調を崩したとき、私たちの身体の中では一体何が起きているのでしょうか。
東洋医学では、病気になったとき、ただ「悪い病原菌やウイルスを退治する」ことだけを考えるのではありません。「身体が自力で治ろうとする力(自然治癒力)」が今どちらの方向に向かって頑張っているかという、エネルギーの「ベクトル(方向性)」をとても大切にしています。
身体が不調の原因(邪気)と一生懸命に戦い始めると、身体を動かすエネルギーや血液、水分は、一時的に「内から外へ」「下から上へ」と一気に集中し高まります。
この集中し高まるベクトルこそが、身体が本来持っているシンプルな防衛反応であり、気の制御反応です。
しかし、もし身体の表面(皮膚や肺などのバリア機能)が閉じたままだと、上に向かったエネルギーの行き場がなくなり、胸や頭のあたりで大渋滞を起こしてしまいます。例えるなら、「蒸し器の蓋(ふた)を閉めたまま、強火で沸騰させているような状態」です。
東洋医学の古典には、この大渋滞を起こしたエネルギーや、媒体である水と血を、漢方薬を使ってどうやってスムーズに下へと受け流し、外へ出していくか、その合理的な「交通整理」の方法が詳しく描かれています。
ここで大切なのは、「身体の自然治癒力が、今どちらの方向に動きたがっているか」を見つめることです。
自然治癒力はすべてが自分の意思通りになるわけではありませんが、日々の過ごし方や身体の動かし方次第で、特定の範囲ではその巡りを応援してあげることができます。
時々、漢方相談のなかで「四股(しこ)を踏む」ことをお勧めすることがあります。
これは、今その方が飲んでいらっしゃる漢方薬の、「気」をグッと下へと引き下げようとする作用を、自らの意思による身体の動きでちょっと後押しし、そのベクトルをより確かなものにしたいからなのですね😊