22時を回った居酒屋は仕事終わりの熱気でまだ賑わっていた。
奥の席では会社員たちが大声で笑い、カウンターでは店員がジョッキを勢いよく洗っている。
ハルたち4人のテーブルには串の皿と空いたレモンサワー、少し冷めた唐揚げ。
ハルがジョッキを置き、後輩のあきを見て。
「マジで悩んでるんだよ。もうすぐ妻の誕生日でさ」
介護職のアキが枝豆をつまむ。
「美容家電ですか? 最近、職場の人たちがずっと美容家電の話してるんですよ。ドライヤーとか、スチーマーとか」
向かいのハルが反応する。
「うちの妻も最近よく見てる気がする」
ハルは気になるとすぐ検索するタイプ。
その流れで自然に““美容家電 人気ランキング””と打ち込む。
画面にはランキングサイト。
“速乾”“ツヤ感”“まとまり”
そんな言葉が並ぶ。
「なんか種類多すぎるな…」
みきが横から覗き込む。
「ドライヤーって、そんな違うもんなの?」
「たぶん…」
ハルは画面を見る目つきはまるで獲物を探している狩人。
「でも最近、“乾くの速いだけで全然違う”って見た」
ヨルがジョッキを置く。
「今かなり市場大きいですよ。
ヘアドライヤー、ヘアアイロン、美顔器。この辺ずっと美容家電の上位です」
「へぇ…」
みきは感心しながら、焼き鳥を口に運んだ。
ハルはランキングをスクロールしながら言う。
“速乾”“熱ダメージ軽減”“まとまり感アップ”
そんな文字が並ぶ。
「なんか、“髪がまとまる”とか“朝ラク”みたいなレビュー多いな」
アキも話を聴き
「なんか、“乾かす”じゃなくて“髪を整える”になってるんですね」と相槌を打つ。
「しかも高い」
みきもハルが見ている画面の値段を見て驚く。
「ドライヤーでこの金額いくんだ…」
ヨルがうなずく。
「毎日使うから満足度高い方がいいですよ」
その言葉にハルが少し考える。
居酒屋のざわついた音の中、スマホを見ながらぽつり。
「そういえば妻、最近ドライヤー長いんだよな
前より髪伸びたのもあると思うけど、“乾かすの疲れる”って言ってた気がするけど性能?」
アキが反応する。
「うちの職場でも話してますよ。
“結局毎日使うやつが一番テンション上がる”って」
ヨルが軽くうなずき。
「レビュー、“奥さんへのプレゼント”結構多いですね」
ハルが画面を止める。
“子育て中の妻にプレゼントしました”
そんな文字。
「実際、プレゼント需要かなりあります」
そのまま関連商品を開くと今度はヘアアイロンが並ぶ。
「あとこれ。ヘアアイロン」
みきが少し身を乗り出し画面の中のヘアアイロンを見ながら。
「これ、女性の先生たちもたまに話してる。“プレートが違う”とか」
「プレート?」
「滑りやすいとか、引っかからないとか」
アキが笑う。
ヨルがスマホを見ながら言う。
「これもレビュー見ると
“朝の準備ラクになった”って結構多いですね」
ハルがぼそっと。
「それは結構大事かもな。子どもいると朝バタバタだからさ」
みきもうなずく。
「あー、それはありそう」
その流れで、ハルが次のランキングを開く。
「あ、美顔器だ」
アキが反応する。
「スチーマーとか?」
ヨルが軽く説明する。
「温かい蒸気当てるやつですね」
「へぇ…」
ハルが画面を見ながら言う。
「なんかレビュー、“ぼーっとできる”みたいなの多いな」
アキが笑う。
「性能じゃなくて?」
「なんか“夜これやると落ち着く”とか書いてある」
ハルが言う。
「子ども寝たあとにこういうの見ながら“いいなー”って言ってる時あるな」
ハルが頭を悩ませながら画面を上へしたへとスクロールしている姿を見て
アキも急にスマホを出す。
「なんか見てたら俺も欲しくなってきた」
みきがあきが見ている美顔器を画面を覗き「美顔器使うの?」という問いに「いや、プレゼント!」
ハルがニヤッとする。
アキもランキングを見ながら言う。
「確かに、こういうのって“自分じゃちょっと迷う値段”だから、もらうと嬉しいのかも」
居酒屋の暖色の灯りの中。
居酒屋の奥では、別の席の笑い声。
4人のテーブルではスマホを囲みながら、、まだ美容家電についてああでもないこうでもないと話が続いていた。
#保育