「場数を踏めば、歌は上手くなるの?」 ~ステージ経験を力に変える、日々のボイストレーニング~

「場数を踏めば、歌は上手くなるの?」 ~ステージ経験を力に変える、日々のボイストレーニング~

記事
音声・音楽
歌がうまくなりたいなら、

人前で歌え。
場数を踏め。
舞台が育ててくれる。

って、よく言われますよね。

たしかに、舞台に立つことやライブを重ねることで、
歌が大きく変わることはあります。

その場の空気を動かすような表現力。
遠くのお客様へ向けて、声を届ける感覚。
広い空間や、お客様の熱気のなかでも歌い続けるパワー。

そういうものは、実際にその場に立ってみなければ、
なかなか身につかないものだと思います。

でも、ここで一度、分けて考えておきたいことがあります。

ボイストレーニングと、舞台本番に向けて行う歌のお稽古は、
同じ「歌の練習」ではありません。

ボイストレーニングで行うのは、

身体の使い方。
息のコントロール。
発声の基礎。

つまり、声を出すための身体という楽器そのものを育てていくこと。

もちろん、すべてが完璧になってから、舞台に立つ必要はありません。

けれど、ある程度、自分の身体をどう使えば声が出るのか、
少しずつ分かり始めていることは大切です。

一方、舞台本番に向けた歌稽古では、

歩きながら歌う。
お客様の方を見ながら歌う。
役として感情を動かしながら歌う。
ときには、全力で踊りながら歌う。

そんな実践のなかで、どう声を使っていくかを考えていきます。

普段の発声練習では使わないような声を、
表現としてあえて使うこともあります。

つまり、
ボイストレーニングは、楽器を育てる時間。
舞台の歌稽古は、その楽器を使って作品をつくる時間。

役割が違います。

スポーツでも、試合だけを繰り返すわけではありません。

日々の筋力トレーニングがあり、実際の試合をイメージした部分練習があり、
そのうえで本番に臨みます。

歌も、それと少し似ています。

舞台で実践を重ねるだけでは、声を支える筋力や、
呼吸のコントロールが自然に身につくとは限りません。

まだ土台が十分に育っていないまま、なんとか声を届けようとすると、

首や顎に力を入れたり、
喉で押し出したり、

その場を乗り切るために身につけた使い方が、
クセになってしまうこともあります。

そして舞台で身体や声をたくさん使ったあとは、
ニュートラルな状態へ戻していくことも必要です。

日々、自分の身体という楽器を動かして、
実践に向けて整えておくこと。
使ったあとは、メンテナンスすること。

これは、本番前の歌稽古とは別に、自分で続けていきたい部分です。

本番が近づいてから歌のお稽古を始めても、限られた時間のなかで、
発声の土台からすべてをつくることには限界があります。

舞台だからこそ、育ててくれるものがある。

でも、舞台に立つ前に育てておきたいものもある。

ボイストレーニングと、実践に向けた歌稽古。

どちらかが大切なのではなく、どちらも必要です。

どちらか一方だけでは、片翼で飛ぼうとするようなもの。

両方の翼があってこそ、舞台で得られる経験も、
その先の成長につながっていくのだと思います。

今回書いたような、呼吸・身体の使い方・発声の土台を見直したい方へ。
3回完結で、基礎からじっくり取り組むレッスンもご用意しています。

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