楽譜の最初に、♯(シャープ)や♭(フラット)が並んでいるのを見たことはありませんか?
「♯が2つあるけど、何の調だろう?」
「♭が3つある楽譜は、どの音を半音下げればいいの?」
「調号と、曲の途中に出てくる♯や♭は何が違うの?」
クラリネットを練習していると、こんな疑問が出てくることがあります。
この楽譜の最初に書かれている♯や♭を、**調号(ちょうごう)**といいます。
調号のルールを覚えると、楽譜を読むときに音の変化を予測しやすくなり、曲の調も見分けやすくなります。
今回は、音楽初心者やクラリネット初心者に向けて、調号の基本と、♯・♭の数から調を見分ける方法を解説します!
1.そもそも調号とは
調号とは、楽譜の最初に書かれている♯や♭のことです。
例えば、次のようなものがあります。
⭐️♯が1つ
⭐️♯が2つ
⭐️♭が1つ
⭐️♭が3つ
調号は、曲の中で特定の音を基本的に半音上げたり、半音下げたりすることを示しています。
例えば、調号に♯が1つ付いている楽譜では、基本的に「ファ」の音をファ♯として演奏します。
♭が1つ付いている楽譜では、基本的に「シ」の音をシ♭として演奏します。
つまり、毎回音符に♯や♭を書かなくても、調号によって音の変化をまとめて示せるのです。
調号と臨時記号の違い
ここで、調号と臨時記号の違いも覚えておきましょう。
調号は、楽譜の最初に書かれ、曲の基本となる音の変化を示します。
臨時記号は、曲の途中で音を変化させるために使われます。
例えば、調号に♯がなくても、曲の途中に♯が付いていれば、その音を半音上げて演奏します。
調号と臨時記号は、どちらも音を変化させる記号ですが、使われ方が違うのです。
2.調号の♯と♭には決まった順番がある!
調号を覚えるとき、まず知っておきたいのが♯と♭の順番です。
実は、♯や♭は適当に並んでいるわけではありません。
♯の順番
♯は、次の順番で増えていきます。
ファ → ド → ソ → レ → ラ → ミ → シ
つまり、
1. ♯1つ:ファ♯
2. ♯2つ:ファ♯・ド♯
3. ♯3つ:ファ♯・ド♯・ソ♯
4. ♯4つ:ファ♯・ド♯・ソ♯・レ♯
5. ♯5つ:ファ♯・ド♯・ソ♯・レ♯・ラ♯
6. ♯6つ:ファ♯・ド♯・ソ♯・レ♯・ラ♯・ミ♯
7. ♯7つ:ファ♯・ド♯・ソ♯・レ♯・ラ♯・ミ♯・シ♯
というように増えていきます。
覚え方は、音の名前を並べて「ファ・ド・ソ・レ・ラ・ミ・シ」と繰り返すこと。
クラリネットの練習でも、調号を見たらすぐに該当する音が分かるようにしておくと便利です。
♭の順番
一方、♭は♯とは反対の順番です。
シ → ミ → ラ → レ → ソ → ド → ファ
つまり、
1. ♭1つ:シ♭
2. ♭2つ:シ♭・ミ♭
3. ♭3つ:シ♭・ミ♭・ラ♭
4. ♭4つ:シ♭・ミ♭・ラ♭・レ♭
5. ♭5つ:シ♭・ミ♭・ラ♭・レ♭・ソ♭
6. ♭6つ:シ♭・ミ♭・ラ♭・レ♭・ソ♭・ド♭
7. ♭7つ:シ♭・ミ♭・ラ♭・レ♭・ソ♭・ド♭・ファ♭
となります。
まずは、♯と♭の順番を覚えるところから始めましょう!
3.♯の数から調を見分ける方法
ここからは、いよいよ調の見分け方です。
長調(メジャー)の場合、♯の数と調には次のような関係があります。
| ♯の数 | 長調 |
| なし | ハ長調(Cメジャー) |
| 1つ | ト長調(Gメジャー) |
| 2つ | ニ長調(Dメジャー) |
| 3つ | イ長調(Aメジャー) |
| 4つ | ホ長調(Eメジャー) |
| 5つ | ロ長調(Bメジャー) |
| 6つ | 嬰ヘ長調(F♯メジャー) |
| 7つ | 嬰ハ長調(C♯メジャー) |
例えば、楽譜の最初に♯が2つ付いていたら、長調ならニ長調(Dメジャー)です。
♯が3つなら、長調の場合はイ長調(Aメジャー)になります。
♯があるときの見分け方
♯の調号を見分けるには、次の方法も便利です。
最後に付いた♯の音を、半音上げた音が長調の主音になると覚えましょう。
例えば、♯が2つある場合、最後の♯は「ド♯」です。
ド♯を半音上げると「レ」なので、長調ならニ長調です。
♯が3つある場合、最後の♯は「ソ♯」。
ソ♯を半音上げると「ラ」なので、長調ならイ長調です。
このルールを知っていると、♯の数を丸暗記しなくても調を見つけやすくなります。
※この方法で分かるのは長調の場合です。短調については、後ほど説明します。
4.♭の数から調を見分ける方法
次は♭の場合です。
♭の数と長調の関係は、次のとおりです。
| ♭の数 | 長調 |
| なし | ハ長調(Cメジャー) |
| 1つ | ヘ長調(Fメジャー) |
| 2つ | 変ロ長調(B♭メジャー) |
| 3つ | 変ホ長調(E♭メジャー) |
| 4つ | 変イ長調(A♭メジャー) |
| 5つ | 変ニ長調(D♭メジャー) |
| 6つ | 変ト長調(G♭メジャー) |
| 7つ | 変ハ長調(C♭メジャー) |
例えば、♭が1つなら長調の場合はヘ長調。
♭が3つなら変ホ長調です。
♭があるときの見分け方
♭の場合は、基本的に最後から2番目の♭の音が長調の主音になると覚えると便利です。
例えば、♭が4つある場合、並び順は次のとおりです。
シ♭ → ミ♭ → ラ♭ → レ♭
最後から2番目は「ラ♭」なので、長調なら変イ長調です。
♭が3つなら、
シ♭ → ミ♭ → ラ♭
最後から2番目は「ミ♭」なので、長調なら変ホ長調になります。
ただし、♭が1つの場合は例外です。
♭が1つの場合は、最後から2番目の♭がありません。この場合、長調はヘ長調です。
この例外も忘れないようにしましょう。
5.調号がない楽譜は何の調?
調号に♯も♭も付いていない場合、長調ならハ長調(Cメジャー)です。
ハ長調は、ド・レ・ミ・ファ・ソ・ラ・シを基本にした調で、調号に♯や♭がありません。
ただし、ここで注意したいことがあります。
調号がないからといって、必ずハ長調とは限りません。
短調の場合は、イ短調(Aマイナー)も調号がありません。
また、曲の途中で臨時記号が使われることもあります。
そのため、調号は曲の調を考えるための大切な手掛かりですが、調号だけで曲の調が完全に決まるとは限らないのです。
6.実は、同じ調号でも長調と短調がある!
ここは少しだけ応用です。
先ほど紹介した表では、♯や♭の数から長調を見分けました。
しかし、同じ調号は、長調だけでなく短調にも使われます。
例えば、調号がない場合は、
🎵ハ長調(Cメジャー)
🎵イ短調(Aマイナー)
のどちらかである可能性があります。
♯が1つなら、
🎵ト長調(Gメジャー)
🎵ホ短調(Eマイナー)
のどちらかです。
このように、長調と短調には、同じ調号を使う組み合わせがあります。
この関係を平行調といいます。
代表的な組み合わせを見てみましょう。
| 長調 | 同じ調号を使う短調 |
| ハ長調(C) | イ短調(Am) |
| ト長調(G) | ホ短調(Em) |
| ニ長調(D) | ロ短調(Bm) |
| ヘ長調(F) | ニ短調(Dm) |
| 変ロ長調(B♭) | ト短調(Gm) |
| 変ホ長調(E♭) | ハ短調(Cm) |
| 変イ長調(A♭) | ヘ短調(Fm) |
では、長調と短調はどうやって見分けるのでしょうか?
調号だけでなく、曲の始まりや終わりの音、メロディーや和音の響きなども手掛かりになります。
ただし、曲の最初の音だけで必ず判断できるわけではありません。
まずは調号から候補を見つけ、曲全体の響きや終わり方を確認してみましょう。
7.クラリネットの楽譜でも調号は大切!
クラリネットを吹いている方は、調号を見て「どの音に♯や♭が付くのか」をすぐに判断できると、楽譜を読むのが楽になります。
例えば、調号に♯が2つある場合は、基本的にファとドを半音上げて演奏します。
♭が2つある場合は、基本的にシとミを半音下げて演奏します。
このように調号を理解しておくと、音符を読むたびに記号を確認する手間を減らせます。
ただし、B♭クラリネットは移調楽器です。
楽譜に書かれた調と、実際に聞こえる音の調は異なる場合があります。
例えば、ピアノやフルートなどC管の楽譜をB♭クラリネット用に移調する場合、一般的には全音上に書き換えます。
このときは、音符だけでなく調号も移調する必要があります。
他の楽器の楽譜をクラリネットで演奏したい場合は、調号の読み方と移調のルールを合わせて覚えておくと便利です。
8.練習問題!調号から調を見分けてみよう
ここまで読んだら、実際に問題を解いてみましょう!
今回は、すべて**長調として考えてください**。
💡問題1
調号に♯が1つ付いています。
何調でしょう?
💡問題2
調号に♯が3つ付いています。
何調でしょう?
💡問題3
調号に♭が2つ付いています。
何調でしょう?
💡問題4
調号に♭が4つ付いています。
何調でしょう?
💡問題5
調号に♯も♭もありません。
長調なら何調でしょう?
9.練習問題の答え
問題1:♯が1つ
ト長調(Gメジャー)
♯が1つの場合、ファ♯が付きます。
問題2:♯が3つ
イ長調(Aメジャー)
ファ♯・ド♯・ソ♯の3つが付きます。
最後の♯はソ♯なので、半音上のラが主音になります。
問題3:♭が2つ
変ロ長調(B♭メジャー)
シ♭・ミ♭の2つが付きます。
問題4:♭が4つ
変イ長調(A♭メジャー)
シ♭・ミ♭・ラ♭・レ♭の4つが付きます。
最後から2番目の♭はラ♭です。
問題5:調号なし
ハ長調(Cメジャー)
ただし、同じ調号を使うイ短調(Aマイナー)の可能性もあります。
10.まとめ:調号は「数」と「順番」で見分けよう!
調号は、楽譜の最初にある♯や♭のことです。
最初は覚えることが多く感じるかもしれませんが、ポイントを整理するとシンプルです。
♯の場合
⭐️♯の順番は「ファ・ド・ソ・レ・ラ・ミ・シ」
⭐️♯の数から長調を見分けられる
⭐️最後の♯を半音上げると、長調の主音になる
♭の場合
⭐️♭の順番は「シ・ミ・ラ・レ・ソ・ド・ファ」
⭐️基本的には最後から2番目の♭が長調の主音になる
⭐️♭が1つならヘ長調
そして、もう一つ大切なこと
調号だけでは、長調か短調かを完全には判断できません。
同じ調号を使う長調と短調があるため、曲のメロディーや和音の響きも手掛かりにします。
まずは、♯と♭の順番を覚え、楽譜の調号を見て「これは何調かな?」と考える習慣をつけてみましょう。
調号が分かるようになると、楽譜を読むのが少しずつ楽になっていきます。
クラリネットの練習でも、ぜひ役立ててみてくださいね!🎵