一番遠いキオク

一番遠いキオク

記事
コラム
アナタの一番遠い記憶はなんですか?

私はハイハイしている時の記憶があります。
赤ちゃんがする、ほふく前進のことです。

当時の我が家には、キッチンとの間に引き戸があり
床にはそのレールがありました。
昔のレールなので鈍い金色の金属で、凹凸があるのです。

これがハイハイしていると、当たると痛いし冷たい。
言語化能力がなかったですが
幼心に「あの場所、イヤだな」と思っていたことは覚えています。
いわば難所でしょうか。

ただそこを超えないと、キッチンにいる母に会えないのです。
全ては「抱っこしてもらう」という目的のために。

そこで編みだしたのが、右手と右足を同時に出して超える(左も同様)でした。少々歩幅(?)が広めになりますが、これならレールにあたりません。

中学生の頃、その話を母にしたところ
「じゃあ帰りもそこを乗り越えてくの?」と真顔で返されました。
帰りはアナタの抱っこでしょ!と思わず声が大きくなりました。
ド天然です。
抱っこされに難所を乗り越えてきた赤ちゃんに求めすぎ。

父に至っては
「そんな余計なことを覚えているなら、英単語の一つでも覚えろ」
と言われました。
いやまぁごもっともですが、トホホ。

もう一つありました。

私は抱っこやおんぶをされていないと寝ないという、
いわゆるとても扱いづらい赤ちゃんでした。
背中スイッチが異常に敏感だったようです(迷惑)。

寝かしつけられて、そーっとベットに置かれた瞬間、
パチ!っと目が開くのです。
それも覚えています。
だっておいていかれるのがイヤなんだもん。
あと人肌の温度が心地よかった。

ゆえに赤ちゃんの気持ちがちょっと分かります。
今ある便利グッズのような、人肌温度で揺れるバウンサーだったら
ストンとすぐに寝たんだろうな、と想像します。

赤ちゃんだった私は、そんな気持ちを伝える術も持ち合わせていないため
母や祖母はかなり頭を悩ませたそうです。

少しでも母を寝かせてあげたい優しい祖母は、
私をおぶって一晩中、廊下を行ったり来たりしたこともあるそうで。
いま思えば、本当に申し訳ないです。

けれどその日は油断したのか、目が覚めるとベットの上に寝かされていました。
「しまった!!!」そう思ったことだけは今でもハッキリ覚えています。
目が覚めた時の天井の模様まで、まざまざと思い出されます。

動こうにも動けなかったので、寝返りも打てない時期なのかもしれません。
憤りを込めて叫んだところで記憶は途絶えます。

とにかくいつも
「おいて行かないで!!」
という強い気持ちが根底にありました。
前世で捨てられたことでもあるのでしょうか(汗)。

抱っこにもコダワリがありました。
だれかれ構わず抱っこされると、海老反りで反抗していました(苦笑)。
抱かれ心地が違うのです。
母に戻された時の「そうそう、これこれ!!」というしっくり感。
さすが十月十日、へその緒でつながってただけはある心地よさ。

とはいえ1歳以降の記憶はほとんどありません。
断片的に赤ちゃんの時の記憶を覚えているだけです。

そんなこんなの無意識の感情の積み重ねが、
今の自分につながっているのかもしれません。

道ゆく赤ちゃんに遭遇すると、いつも遠い記憶が私を過去へと誘います。
大人が思っている以上に、きっとこの子は色々分かっているのだろうな、
と思いながら。

そんなたわいのない話も大歓迎です。
もしご興味があればお気軽にお試しください。

























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