人の気持ちが、全然わかっていなかった

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昔の僕は、人の気持ちがわからなかった。

こう書くと、ずいぶんひどい人間みたいですが、今振り返ると、本当にそうだったと思います。

別に、人を傷つけようと思っていたわけではありません。

妻を困らせようと思っていたわけでもない。

自分では普通に生活しているつもりでした。

だから余計に厄介だったのかもしれません。

自分に悪気がないから、

「なんで怒ってるの?」

となる。

何か言われても、

「そんなつもりじゃない」

と思う。

僕の中では、それで話が終わってしまう。

でも相手にしてみれば、

僕に悪気があったかどうかなんて、あまり関係なかったのかもしれません。

嫌だった。

悲しかった。

腹が立った。

そういう気持ちは、僕の「そんなつもりじゃない」で消えるわけじゃない。

今なら、そんなことはわかります。

でも当時は、本当にわかっていなかった。

たぶん僕は、

「自分がどういうつもりだったか」

ばかりを見ていたんだと思います。

相手がどう受け取ったのか。

なぜそんなことを言ったのか。

そこまで考えようとしなかった。

というより、考えるという発想自体がなかったのかもしれません。

夫婦で何かあったときも、

「俺は悪くない」

「俺はそんなつもりで言っていない」

そんなふうに考えていたことはあったと思います。

ただ、何十年も前のことなので、当時の会話を細かく覚えているわけではありません。

今の僕が昔の自分を悪者にして、話をつくってしまうのも違うと思っています。

それでも、覚えていることはあります。

妻が何かを訴えていた。

僕には、それがよくわからなかった。

わからないから、ちゃんと聞くのではなく、

「なんでそんなことで怒るんだろう」

と思っていた。

たぶん、そんなことが何度もあったんでしょうね。

今考えると、

わからないなら、聞けばよかった。

「なんで嫌だったの?」

「どうしてほしかったの?」

そう聞けばよかった。

でも、当時の僕にはそれができなかった。

いや、

できなかったというより、しなかったんだと思います。

ここは大きな違いかもしれません。

知らなかった。

若かった。

人の気持ちがわからなかった。

そう言えば、いくらでも昔の自分をかばうことはできます。

でも、妻からすれば関係ないですよね。

一緒に暮らしている夫が、自分の気持ちをわかろうとしてくれない。

それがどんな感じだったのか。

今の僕には想像することしかできません。

そして、妻が本当はどう感じていたのかは、妻にしかわかりません。

だから今さら、

「妻はこう思っていた」

と僕が決めるつもりもありません。

ただ、自分のことなら言えます。

僕は、人の気持ちが全然わかっていなかった。

そしてもっと問題だったのは、

わからないことを、わかろうともしていなかったことです。

そこは今振り返っても、言い訳できないなと思います。
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