「また来ます」は本音か、社交辞令か?接客を長年続けて気づいた、言葉の奥にある本当の価値。

「また来ます」は本音か、社交辞令か?接客を長年続けて気づいた、言葉の奥にある本当の価値。

記事
ビジネス・マーケティング
「また来ますね!」

お客様からこんな言葉をいただくと、やっぱり嬉しいものです。

接客に満足していただけたのかな。またお会いできたら嬉しいな。そんな気持ちになります。

ところが、実際にはその後、一度もお会いしないことだってあります。

あれほど楽しそうにお話ししていたのに、次の来店にはつながらなかった。

では、あのときの「また来ます」は社交辞令だったのでしょうか。

私は、必ずしもそうとは思いません。

接客の仕事を長く続けてきた中で、少しずつ考え方が変わったことがあります。

それは、お客様の言葉を、次の売上や来店につながるかどうかだけで判断しないということです。

今日は、何気ない「また来ます」という一言に、私がどんな価値を感じているのかをお話ししたいと思います。

「また来たい」と思った気持ちは、嘘だったのか。


皆さんにも、お気に入りのお店はありませんか?

料理がおいしかった飲食店や、雰囲気のよかったカフェ。店員さんが親切で、気持ちよく買い物ができたお店。

帰り際に「また来ますね」と伝えたことがある方もいらっしゃると思います。

ところが、その後は仕事が忙しくなったり、生活環境が変わったりして、なかなか足を運ぶ機会がない。

気づけば半年、あるいは一年以上経っていた。

そんな経験はないでしょうか。

だからといって、あのとき「また来たい」と思った気持ちまで嘘だったわけではありませんよね。

その場では、本当に気に入っていた。

もう一度利用したいと思っていた。

でも、その後の生活の中で、別のことが優先されただけかもしれません。

人の気持ちは、その瞬間だけで完結するものではありませんし、生活の事情も変わっていきます。

接客する側も、そのことを理解しておきたいものです。

「また来ます」と言っていただけたことは嬉しい。

でも、再び来店されなかったからといって、あのときの言葉に価値がなかったとは思わないんです。

むしろ、その瞬間にそう言っていただけたこと自体を、素直に喜んでもいいのではないでしょうか。

社交辞令には、社交辞令なりの優しさがある。


そもそも、社交辞令という言葉には、どこか否定的な印象があります。

本心ではないのに、相手に合わせて言っている。

その場を取り繕うための言葉。

そんなふうに受け取られることも少なくありません。

でも、社交辞令がすべて悪いものかといえば、私はそうは思いません。

例えば、久しぶりに会った知人との別れ際。

「また機会があったら、ご飯でも行きましょう」

そんな言葉を交わすことがありますよね。

具体的な予定を立てているわけでも、次に会う約束をしたわけでもない。

それでも、相手との時間を気持ちよく終えたいという思いが込められている場合もあるでしょう。

接客の現場でも、似たようなことがあると思っています。

商品を購入してくださったお客様が、帰り際に「また来ます」と声をかけてくださる。

本当に次回の来店を考えているのかもしれませんし、丁寧に対応してもらったことへの感謝を、そうした言葉で表現してくださったのかもしれません。

あるいは、特別な意味などなく、自然に口にされた一言かもしれません。

その真意は、ご本人にしか分かりません。

ただ、私はその言葉を聞くたびに、社交辞令か本音かを見極めようとは思いませんでした。

わざわざ声をかけてくださったことが嬉しい。

それで十分だと感じるんです。

考えてみれば、私たちも普段の生活で、相手を不快にさせないように言葉を選ぶことがあります。

言葉を選ぶことは、必ずしも自分の本心を偽ることではありません。

相手との時間を、気持ちよく終えるための心遣い。

そんな優しさが、何気ない社交辞令に含まれていることもあるのではないでしょうか。

顔なじみだからこそ、忘れたくない距離感。


以前、私は一つの店舗で長く働いていました。

同じ場所で仕事を続けていると、常連のお客様とは自然と顔なじみになります。

何度もお会いするうちに、お客様がこちらの顔を覚えてくださることもあれば、私自身がお客様のことを覚えていることもありました。

接客をしていて楽しいと感じたのは、商品について説明する時間だけではありません。

お客様と何気ない会話を交わしたり、自分の知らない世界について教えていただいたり。

そうした交流も、仕事の楽しみの一つでした。

ただ、顔なじみのお客様が増えるにつれて、気をつけたいこともあります。

それは、親しくなったことで、無意識に相手への期待を大きくしてしまうことです。

いつも来てくださるから、次も来てくださるだろう。

前回は楽しくお話しできたから、今日も同じように会話ができるだろう。

そう思いたくなる気持ちは分かります。

でも、お客様にもそれぞれの生活があります。

忙しい日もあれば、誰かと話す気分ではない日もあるでしょう。

いつもと違う商品を探していることもあれば、別のお店を利用したいと思うことだってあるはずです。

店員にとっては顔なじみのお客様でも、お客様にとっては数あるお店の一つ。

その関係を忘れてしまうと、親しさがいつの間にか遠慮や気まずさにつながってしまうことがあります。

だから私は、お客様との距離が近くなったとしても、相手の選択を尊重する姿勢は忘れたくないと思っています。

いつでも気軽に立ち寄れること。

必要なときに声をかけられること。

そして、しばらく利用していなくても、気まずさを感じずに戻ってこられること。

そんなお店は、利用する側にとっても居心地がよいのではないでしょうか。

お客様の言葉に、勝手な答えをつけない。


接客では、相手の言葉を正しく理解することが求められます。

商品について質問されたら、何を知りたいのかを確認する。

購入を迷っている方がいれば、判断に必要な情報をお伝えする。

必要に応じて、お客様が言葉にできていない希望を一緒に整理することもあるでしょう。

ただ、会話のすべてに隠された意味があるとは限りません。

「また来ます」

「少し考えてみます」

「今日は大丈夫です」

どれも、接客の現場では珍しくない言葉です。

こうした言葉を聞いたとき、相手の本心を推測したくなることがあります。

本当は買いたくないのではないか。

まだ迷っているのではないか。

もう少し説明すれば、考えが変わるのではないか。

もちろん、相手の希望を理解するために、確認が必要な場面もあります。

でも、相手が会話を終えようとしているのに、こちらの都合で話を引き延ばしてしまったらどうでしょう。

気持ちよく終われたはずの接客が、最後の数分で負担になってしまうかもしれません。

私は、会話が上手な人とは、何でも話を広げられる人だけではないと思っています。

相手がもう少し話したそうなら、続きを聞く。

説明が必要なら、丁寧に伝える。

反対に、会話を終えたい様子なら、その気持ちも尊重する。

何を話すかと同じくらい、どこで会話を終えるかも大切です。

相手の本音を見抜こうとするあまり、目の前にある心遣いを見落としたくない。

私は、そんなふうに考えています。

「また話したい」と思っていただけることの意味。


現在はココナラで、仕事や人間関係のご相談、会話の練習などをお受けしています。


接客の仕事とは形が変わりましたが、人との会話を大切にしたい気持ちは今も変わりません。

例えば、誰かに悩みを相談したとき。

「また何かあったら相談しますね」

そんな言葉を交わすことがあると思います。

でも、次の相談が必要になるとは限りません。

話したことで気持ちが整理できるかもしれませんし、時間が経つことで状況が変わることもあるでしょう。

相談相手に頼らず、自分で解決できるようになることだってあります。

それなら、それでいいと思うんです。

もちろん、再びお声がけいただけることは嬉しいです。

ただ、次も利用していただけるかどうかだけで、今回の相談の価値を判断したくはありません。

その時間が、相談してくださった方にとって少しでも意味のあるものだったか。

伝えたかったことを、きちんと話せたか。

必要としていたものを、一緒に考えることができたか。

私が向き合いたいのは、そうした部分です。

そして、もう一つ。

私は、相談してくださる方が無理に気を遣わなくてもよい関係を大切にしたいと思っています。

話したいときに話せる。

相談する必要がなければ、利用しなくてもいい。

何か困ったときに思い出していただけたら嬉しいけれど、そうでなければいけないわけでもありません。

人との関係は、何度会ったか、何回利用したかという数字だけでは測れないものだと感じています。

「また来ます」が、今も嬉しい理由。


接客の仕事をしていた頃、お客様からいただく「また来ます」という言葉は嬉しいものでした。

そして今でも、その気持ちは変わりません。

ただ、以前よりも少し違った受け止め方ができるようになった気がします。

本音だったのか、社交辞令だったのか。

本当にまた来てくださるのか。

その答えを、無理に知ろうとは思いません。

お客様が帰り際にそう言ってくださったのなら、私は素直に感謝したい。

再びお会いできたら嬉しいですし、もし次の機会がなかったとしても、その日のやり取りがなかったことになるわけではありません。

考えてみれば、私たちは誰かと会うたびに、次の約束をしているわけではありませんよね。

たまたま出会った人との何気ない会話が、思いがけず心に残ることもあります。

もう会うことがないかもしれない相手でも、気持ちよく言葉を交わせたことが、よい思い出になる場合もあるでしょう。

接客も、そんな人と人との関わりの一つだと思っています。

「また来ます」が本音だったとしても、社交辞令だったとしても。

その言葉を交わした時間まで、嘘になるわけではありません。

お客様が気持ちよくお店を後にできたのなら、私にとってはそれも嬉しいことです。

これからも、一度きりの出会いを含めて、目の前の方との時間を大切にしていきたいと思います。

皆さんにも、気に入っていたのに、しばらく足を運べていないお店はありませんか?

もしあるなら、久しぶりに訪れてみると、懐かしい気持ちになるかもしれませんね。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。


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