「この曲、AI生成ですよね?」
自分が人力で制作した楽曲を、そんな風にAI作曲だと疑われたら、正直かなり嫌な気持ちになると思います。
作編曲も、演奏も、打ち込みも、全部自分でやっているのに。
「こっちは何十時間もかけて作ってるんだぞ!」と思ってしまいますよね。
実は以前、SNSで「AIで作っていないのにAI作曲だと疑われて腹が立つ」という投稿を見かけました。
そこには「打ち込みがどれだけ大変か分かります!本当に大変ですよね!」といったような、疑われる側の気持ちに寄り添ったコメントが多く付いていました。
コメント自体には共感出来たのですが…
なんと、アイコンがAIで生成されたイラストだったのです。
え?何がダメなの?
と思った方は、過去の僕と同じムーブかもしれせん。別に悪くは無いんですけどね。周りが見えていないかも。
……そりゃ、AIを使っていると思われる可能性は上がるわな。
と思った方は、時代の波に乗れているかもしれません。というか、周りの反応を冷静に察知出来ているかもしれません。
当然ですが、
「AIイラストを使っている=AIで作曲している」
ではありません。
これは全く別の話です。
ただ、初めて作品を見る方は作者がどのような制作環境で作っているのかなど知ったこっちゃありません。
例えば、
* 楽曲は完全に自作
* MVも自分で編集
* でもアイコンやキャラクターはAIイラスト
という作品があったとします。
※ソースは過去のワイ。
制作者本人からすれば「音楽は全部自分で作っています!」なのですが、初めて見た人からすると、作品全体を見て「AIを使って制作している人なのかな?」と受け取る可能性は大いにあります。
てか普通に考えたらそうですよね。
だってサムネイルがAIイラストなんですもん。
じゃあ全部AIなのかも。
としかならなさそう。
というか、AIイラストの時点で聴かないまであるかもしれません。
リスナーは作品の制作工程を最初から全部確認してくれるわけではありません。
ましてや初見のリスナーであれば、活動歴も把握しているわけがないので作者が何者なのかも分からないのです。
つまり、楽曲に出会った瞬間に触れるものだけで判断しているという事です。
そこを理解出来れば、あとは非常に簡単です。
「AIじゃないのにAIだと思われる」ことを本気で避けたいのであれば、
「ちゃんと聴いてから判断して!」
「AIかAIじゃないかすら分かんないヤツが音楽語るな」
「耳…大丈夫そ?」
だけではなく、
「AI生成で制作をしていないことが伝わる環境を自分で作る」
ということも大切なんじゃないかなと思います。
実は僕自身も、ボカロP活動開始時はAIイラストのアイコンやAIイラストを用いたMVを使っておりました。
わざわざ生成したイラストの不自然な点を加筆とかしてました。
MV自体は手作業で制作していて、音楽ももちろん自分で作っていました。
音楽が素晴らしければあとはなんだって良いだろ。綺麗なAIイラストの方がクリックもして貰えるだろうし、下手くそな自分の手描きイラストよりマシだろ。イラストは単なる添え物。音楽を聴いてくれ!
多方面に配慮が足りなかった駆け出しの僕は、本気でその様に思っておりました。
ただある時、そんな僕の偏った活動を大きく変える出来事が起こります。
オリジナル曲の制作を希望されているVTuber様に営業をさせていただいた際、
「AIアイコンを使っている方とは仲良くできない。自分にはAIで嫌な思いをしているクリエイターの仲間がたくさんいる。」
と本音をお伝えいただいた事があります。
同じクリエイターとしてかなり痺れました。
あ、僕、クリエイターと思われてないかも。
AI生成師に見えてるかも。
そこで初めて、気付きます。
「今自分がいる環境では、音楽だけではなくヴィジュアルを含めた映像作品を制作しなければ伝わらないんだ」
と。
それからかなりの時間をかけてイラストを練習し(金銭的に余裕がなく依頼が出来ないクセにオリジナリティが欲しかった為)AIイラストで展開していた部分を全て自作のイラストに差し替えました。
正直、音楽作品だけではなく公式サイトやサムネイルなど使用していたAIイラストは多岐に渡っていたので非常に根気のいる作業でしたが…
現在は創作には決してAIを使わない形で活動全体を整えています。
もちろん、AIを使うこと自体は全く悪いと思っておりません。
AIを使う人も、使わない人も、それぞれの考え方があります。
ただ、もし
「AIだと思われたくない」
「自分の制作物をちゃんと人力だと理解してほしい」
と強く思うのであれば、疑われた時に感情的に反発するだけではなく、自分は今「周りからどう見えているのか」を考えてみるのも良いかもしれません。
それも制作者に出来る努力の一つだと思います。
脱AIイラストが完了してからは、個人的な肌感にはなりますが、作品をご視聴いただける事やご依頼をいただける事が圧倒的に多くなった様に感じております。
「AIじゃないです」と、事実を伝えることも大切。
ただ、それと同時に
「AI生成曲ではない。と伝わる状態を自分が整えてリスナーをお待ちする」
ことも大切なのではないでしょうか。
作品そのものだけではなく、アイコン、MV、制作過程、制作環境、発信の仕方。
そういった一つ一つが、その人の「信用」に繋がっていくのだと思います。
「疑ってくるな!」と思う気持ちは非常に分かります。こちらに限った事ではないですしね。
ただ、まだ自分にできることが残っているのならそこを整えてみる。
僕はそのほうが、ずっと建設的なのではないかと思っています。
これからも、AI生成完全不使用で制作をして参りますので
オリジナル曲制作のご相談があれば、お気軽にどうぞ。