こんにちは 「ことばの手前」のカナです。
小さな会社の経営者さんや個人事業主の方にお話を伺うとき、よくこんな言葉を耳にします。
「うちには、そんなに特別な強みなんてないんですよ」
「他とそんなに変わらないと思います」
「強みと言われても、よく分からなくて……」
きっと、この記事を読んでくださっている方の中にも、同じように感じている方がいらっしゃるかもしれませんね。
でも、それは決して珍しいことではないと私は思っています。
長く続けているお仕事ほど、日々当たり前にやっていることは自分の一部になります。だからこそ、「あなたの強みは何ですか?」と改まって聞かれても、自分ではなかなか見つけにくいものなのです。
■強みは、目立つものとは限りません
「強み」という言葉を聞くと、他にはない特別な技術や、大きな実績、誰も思いつかないような斬新なサービスなどを想像されるかもしれません。
もちろん、そうしたものも素晴らしい強みです。
でも、私がインタビューでお話を聞いていると、むしろ、その方が「何気なく話したこと」にふと心が惹かれる瞬間があります。
「それって、いつから続けていらっしゃるんですか?」
「どうして、そこまで丁寧にやられるんでしょう?」
「他の方法もありそうなのに、なぜそのやり方を選んだんですか?」
ご本人からすれば、「いやいや、普通のことですよ」で終わってしまいそうなこと。
でも、その“普通”の奥に何があるのかをもう少しだけ聞かせていただくと、その方がお仕事の中でずっと大切に守り続けてきたものが見えてくるんです。
■「特別なことはしていません」から始まった話
以前、小さな町工場の二代目経営者さんを想定したサンプル記事を作成したことがありました。
※架空の設定をもとに、実際のサービスと同じ流れで制作したものです。
その経営者さんも、最初はこうおっしゃっていました。
「特別なことはしていません」と。
納期を守る。
できない仕事は、できないと正直に言う。
仕事を受ける前には、必ず現場へ確認する。
どれも、ご本人にとっては当たり前のことでした。
でも、お話をじっくり聞いていくと、お父様から言われていた「できる言うて、できへん方があかん」という言葉が心に残っていることがわかりました。
さらに、社長になったばかりの頃、ひとりで背負い込んで無理な仕事を受け、現場の社員さんから「受ける前に一回聞いてくれたらええのに」と言われた苦い経験もあったそうです。
その出来事があったからこそ、今では現場に相談しながら、最後は自分で責任を持って判断するようになった、と。
「納期を守る」という一言だけ切り取れば、どの会社にでもある話に見えるかもしれません。
でも、その奥にある経験まで伺ってみると、40年続いてきたその会社ならではの、仕事への誠実な向き合い方が浮かび上がってきました。
ご本人にとっての「普通」が、実は一番の「その会社らしさ」だったのです。
■当たり前すぎることは、自分では見えにくい
自分で自分の強みを見つけるのが難しいのは、ずっと続けてきたことほど、自分にとっては特別に見えなくなってしまうからだと思います。
お客様からよくかけられる言葉。
なぜかずっと変えずに続けているやり方。
お仕事を受けるときに、密かに大切にしていること。
失敗したあとに、反省して変えたルール。
「ここだけは譲れない」と意地を張っていること。
そうした、一見なんてことのないお話の中にこそ、その人らしさが隠れています。
だから私は、お話の中で「大したことじゃないんですけど」「こんなの普通ですよね」という言葉が出てくると、少し嬉しくなってしまうんです。
もしかすると、その言葉の先に、ご本人もまだ価値だと気づいていない大切なものが眠っているかもしれないからです。
■私が「あなたの強みはこれです」と決めるわけではありません
もちろん、私が外から勝手に「あなたの強みはこれですね!」と決めるようなことはしません。
お話を聞かせていただきながら、
「それはどうしてですか?」
「昔からそうだったんでしょうか?」
「何かきっかけがあったんですか?」
と、一緒に少しずつ記憶をたどっていきます。
すると、ご本人がふと、
「そういえば、これはずっと大切にしてきたかもしれない」
とご自身で気づかれる瞬間があります。
私は、その瞬間がとても好きです。
何か新しい強みを無理につくりだすのではなく、すでにその人の中にあったものを、言葉を通じて一緒に見つけていく。
インタビューの時間は、そんな温かい時間であればいいなと思っています。
「うちには何もない」と思っていても大丈夫です
記事にするような特別な話なんてない。
自分の仕事なんて、他の人とそんなに変わらない。
もし今、そう思っていたとしても、どうか安心してください。
立派な理念や、ドラマチックな成功体験を無理にご用意いただく必要はありません。
これまでどんなお仕事をしてきたのか。
何に悩んできたのか。
どうして今のやり方になったのか。
普段、どんなことを大切にしているのか。
そんなお話を、思いつくままに、とりとめもなく聞かせてください。
その中にある「当たり前」を、少しだけ立ち止まって一緒に見つめてみませんか。
そこに、まだご本人も気づいていない、確かな「その人らしさ」があるはずです。
特別なものを探すのではなく、すでにあるものを見つける。
それこそが、「ことばの手前」で私が一番大切にしていることです。
▶インタビューから、あなたの仕事や想いを記事にしています。
「うまく話せるかわからない」という方も、お気軽にご相談ください。