「クライアントの案件をフリーランスに手伝ってもらいたいけれど、情報の扱いが心配」「NDAを結べば安心と言われるが、具体的に何を決めればいいのかわからない」。制作会社様から外注のご相談をいただくとき、こうした声をよく耳にします。
結論から言うと、NDA(秘密保持契約)は「結ぶこと」そのものよりも、「何を秘密とし、誰が、どう扱い、終わったらどうするか」を具体的に決めて運用することが大切です。契約書にサインをしても、実際の受け渡しや管理の方法があいまいなままでは、情報漏えいのリスクは下がりません。
この記事では、制作会社がフリーランスに外注するときに押さえておきたいNDA・秘密保持の実務を、外注を受ける側の目線も交えながらまとめました。なお、契約書の具体的な文言や法的な判断が必要な場合は、弁護士など専門家へのご相談をおすすめします。
なぜ外注ではNDAが重視されるのか
制作会社様が外注する案件の多くは、「御社のクライアントの案件」です。つまり、外注先から情報が漏れた場合、困るのは外注先だけではありません。クライアントとの信頼関係が損なわれ、制作会社様自身の信用問題になります。
特にWeb制作では、次のような情報を外注先に渡す場面が多くあります。
・公開前のサイトのデザインデータや原稿(新サービス・新商品の情報を含むことも多い)
・クライアント名や、制作会社様との取引関係そのもの
・サーバーやWordPress管理画面、ドメイン管理などのログイン情報
・お問い合わせフォームの送信データなど、個人情報に触れる可能性のある環境
・見積もり金額や制作体制など、制作会社様の社内情報
また、クライアントと制作会社様の間ですでにNDAが結ばれている場合、制作会社様はその義務を外注先にも守らせる必要があります。外注先とのNDAは、「クライアントとの約束を、外注先まで含めて守るための仕組み」と考えるとわかりやすいかもしれません。
NDAで最低限決めておきたい5つの項目
NDAのひな形はさまざまありますが、外注の実務で特に確認しておきたいのは次の5つです。
①秘密情報の範囲
「業務上知り得た一切の情報」のように広く定めることもあれば、「資料に秘密と明記したもの」に限ることもあります。範囲が広すぎると外注先が判断に迷い、狭すぎると守るべき情報が漏れます。Web制作では、デザインデータ・原稿・ログイン情報・クライアント名を明確に含めておくと安心です。
②目的外使用の禁止
受け取った情報を、その案件の制作以外に使わないことを定めます。たとえば「制作実績としてポートフォリオに載せてよいか」は、ここに関わる代表的なポイントです。
③再委託の扱い
外注先がさらに別の人に作業を回す(再委託する)ことを認めるかどうか。認める場合は、事前の承諾を条件にし、再委託先にも同じ義務を負わせるのが一般的です。
④有効期間と、契約終了後の扱い
秘密保持の義務がいつまで続くのか。案件が終わった後も一定期間は義務が残るように定めることが多いです。
⑤資料の返却・削除
案件終了時に、受け渡したデータやログイン情報をどうするか。返却するのか、削除して報告してもらうのかを決めておきます。
契約書だけでは足りない、運用面の秘密保持
NDAを結んだうえで、実際の作業の中で情報をどう扱うかも決めておくと、リスクをさらに下げられます。
データの受け渡し方法をそろえる
デザインデータや原稿は、社内で使っているストレージの共有機能など、アクセスできる人を限定できる方法で渡すのが基本です。共有リンクは、案件終了後に無効にする運用にしておくと安心です。
ログイン情報は「専用アカウント」で渡す
WordPressの管理画面などは、制作会社様の管理者アカウントをそのまま共有するのではなく、外注先専用のアカウントを発行するのがおすすめです。作業に必要な権限だけを付け、案件が終わったらアカウントを削除すれば、誰がいつ作業したかもわかりやすくなります。
本番環境に触れる範囲を決める
公開中のサイトを直接触ってよいのか、テスト環境で作業してから反映するのかを事前に決めておきます。フォームの送信データなど個人情報が見える場所には、必要がなければ触れない取り決めにしておくとよいでしょう。
連絡手段を一本化する
やり取りが複数のツールに散らばると、どこに何を送ったかがわからなくなります。案件ごとに連絡の場所を一本化しておくと、情報の管理も、後から経緯を確認するのも楽になります。
まだNDAのひな形や運用ルールが固まっていない段階でも、外注先と最初にこうした点を話し合えるかどうかで、案件の進めやすさは大きく変わります。「こういう体制で進めたいが対応できるか」といったご相談も、お気軽にどうぞ。
「黒子」として動いてもらう時の取り決め
制作会社様の案件では、外注先の存在をクライアントに伝えない、いわゆる「黒子」としての対応を求められることもあります。その場合は、NDAとは別に、次のような点を事前に決めておくとすれ違いを防げます。
・クライアントと外注先が直接やり取りすることはあるか(基本は制作会社様を通すのか)
・納品物やソースコードの中に、外注先の名前やクレジットを残さないか
・制作実績として公開してよいか(してよい場合も、クライアント名を伏せるのか、一切公開しないのか)
・打ち合わせに同席する場合、どのような立場で参加するか
特に実績公開の可否は、外注先にとっても大切なポイントです。最初に「この案件は公開不可」と伝えておけば、後から「実績に載せられてしまった」というトラブルを防げます。
外注先を選ぶ時に確認したいポイント
NDAに対応できるかどうかに加えて、実際の情報の扱い方を確認しておくと、安心して任せられる外注先かどうかを見極めやすくなります。
・NDAの締結に前向きか。制作会社様のひな形での締結に対応できるか
・ログイン情報や受け取ったデータを、案件終了後にどう扱っているか
・作業環境(パソコンのパスワード設定やデータの保管場所など)について、基本的な管理ができているか
・本人確認など、身元がはっきりしているか
・実績公開や再委託について、自分から確認してくれるか
「NDAは結べますか」と聞くだけでなく、「終わった後のデータはどうしていますか」と一歩踏み込んで聞いてみると、その外注先の情報管理への意識が見えてきます。
私自身が外注先としてお受けするときに意識していること
私はWeb制作歴6年で、HP・LP・ECサイトの制作を100件以上手がけてきました。NDA対応・本人確認済みで、制作会社様の黒子としての対応も可能です。
外注先としてお受けするときは、作業を始める前に、秘密情報の範囲や実績公開の可否、ログイン情報の扱いを確認するようにしています。お預かりしたログイン情報やデータは案件の目的以外には使わず、納品後は削除します。平日日中は1時間以内の返信を目安にしており、気になる点は作業に入る前にお伝えするよう心がけています。
まとめ:NDAは「結んで終わり」ではなく「運用」まで決める
制作会社がフリーランスに外注するときのNDA・秘密保持は、契約書を交わすことに加えて、秘密情報の範囲、目的外使用や再委託の扱い、案件終了後のデータの扱い、そして日々のデータの受け渡しやログイン情報の管理まで、具体的に決めておくことが大切です。
「クライアントの案件を安心して任せられる外注先を探している」「NDAを結んだうえで、黒子として実装を手伝ってほしい」という場合は、お気軽にご相談ください。案件の内容と情報の扱い方を伺ったうえで、対応できる範囲をお伝えします。
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