「見てきたはず」が、いちばんあやしい

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先日、ある清掃会社の現場責任者の方から、こんな話を聞きました。

新人さんがトイレ清掃を終えて、「終わりました」と報告してきた。責任者があとで覗いてみると、便器はきれいになっている。でも、トイレットペーパーが空のまま。鏡には水滴が残っていて、床にはモップの跡がうっすら。別にさぼったわけじゃないんです。本人はちゃんと回ったつもりでいる。ただ、「何を、どの順番で見れば終わりなのか」が、頭の中にまだ入っていないだけです。

口で教えると、どうしても「便器をきれいにしてね」みたいな大きな塊になります。聞いた側は、便器だけ磨いて満足してしまう。そこでうちが手順書に入れているのは、トイレ清掃の順番そのものです。上から下へ、です。まず鏡と洗面台。次に便器の内側と外側。それから床。最後に、ペーパーの補充と全体の目視。順番が決まっていると、「次は何だっけ」と立ち止まらなくて済みますし、抜けた場所があとから見つけやすくなります。

チェックリストの書き方にも、ひとつだけ気をつけています。「便器を清掃した」ではなく、「便器の内側と外側を拭いた」と書く。動作が目に見える言葉のほうが、新人さんは迷いません。項目の数は、ひとつの場所で七つまでに抑えます。これ以上増やすと、現場ではもう見なくなります。紙は、覚えるためのものじゃありません。見ながら動くためのものです。

そして、最後の項目は「報告」です。チェックが終わったら、責任者に「終わりました」と声をかける。責任者は紙をぱっと見るだけで、「ペーパーは補充済みか」「床まで見たか」が分かります。見に行かなくて済む。これが、チェックリストのいちばんの効き目だと思っています。疑うための紙じゃない。見に行く手間を減らすための紙です。

新人さんが「終わりました」と言ったとき、責任者がわざわざ現場まで確認に行かなくて済む。その一往復がなくなっただけで、金曜の夕方はずいぶん静かになります。

てびき屋では、そんな手順書やチェックリストを作る仕事をしています。この記事の下に普段の出品を置いてありますので、「うちも同じだな」と思った方は、のぞいてみてください。
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