こんにちは。2級キャリアコンサルティング技能士|合同会社たお代表社員の工藤でございます。
今日のテーマは、「やりたいこと」だけで会社を選んでいませんか?就活生のための、お金との向き合い方
就活の軸を考えるとき、こんな二つの極端な考え方に偏ってしまう人がいます。
一つは、「やりたいことさえできれば、お給料はいくらでもいい」という考え方。もう一つは、「とにかく年収が高い会社に行きたい」という考え方。
どちらも、一見もっともらしく聞こえます。でも、私は正直、どちらも危ういバランスだと思っています。
なぜ「やりたいこと」だけでは危ういのか
「やりたいこと」を追求すること自体は、素晴らしいことです。ただ、それだけで会社を選んでしまうと、こんな疑問にぶつかります。
それなら、ボランティアでもいいのでは?
やりたいことをするだけなら、無償の活動でも実現できます。では、なぜ私たちは「就職」という選択をするのでしょうか。
答えはシンプルです。継続的に生活を支える収入があってこそ、やりたいことを長く続けられるからです。どれだけ情熱があっても、生活が立ち行かなくなれば、その活動を続けることはできません。企業に就職するということは、「やりたいこと」に「継続可能性」を掛け合わせる選択なのです。
額面と手取り、意外と知らない人が多い話
就活生と話していると、「初任給20万円」と聞いて、その金額がそのまま自分の口座に振り込まれると思っている人が少なくありません。
実際には、額面(会社が提示する給与)から、税金や社会保険料が差し引かれ、手取り(実際に振り込まれる金額)は、額面のおおよそ8割前後になるのが一般的です。つまり、額面20万円なら、手取りはおよそ16万円前後というイメージです。
差し引かれる主なものは、次の通りです。
▶所得税・住民税
▶健康保険料
▶厚生年金保険料
▶雇用保険料
これは会社によって多少前後しますが、「額面=もらえる金額ではない」ということは、就活の段階で知っておいて損はありません。
手取りから、どう配分するかを考えておく
手取り額が見えてきたら、次に考えたいのが「その中で、どう暮らしを組み立てるか」です。
一般的な考え方として、家賃・食費・水道光熱費などの固定的な生活費、趣味や交際費などの自由に使えるお金、そして貯蓄・資産形成に、あらかじめ大まかな配分をイメージしておくと、社会人になってからのお金の不安がぐっと減ります。
「貯蓄」というと銀行口座にお金を置いておくイメージが強いかもしれませんが、近年は**NISA(少額投資非課税制度)**のように、税制優遇を受けながら資産形成できる仕組みも広がっています。社会人になってすぐに大きな金額を投じる必要はありませんが、「貯蓄の一部を、将来に向けた資産形成に回す」という選択肢があることは、早いうちから知っておいて損はありません。
厳密な比率に正解はありませんが、「生活費に使いすぎて貯蓄がゼロ」という状態を避けるためにも、入社前の今のうちから、大まかな配分イメージを持っておくことをおすすめします。
「足るを知る」という考え方
ここまでお金の話をしてきましたが、私が一番伝えたいのは、「とにかく稼げ」ということではありません。
大切なのは、**「足るを知る」**という考え方です。
まず、自分が最低限、安心して暮らしていくために必要な収入はどれくらいなのかを、具体的にイメージしてみてください。それが分かれば、「その金額さえ確保できれば、あとは自由にやりたいことを追求していい」という軸ができます。
年収の高さそのものを目的にするのではなく、「暮らしを支える土台」として収入を捉え、その土台の上で、仕事のやりがいや生活の充実を追求していく。これが、両極端に振れない、健全なバランスだと思います。
まとめ
▶「やりたいことだけ」で選ぶと、ボランティアとの違いを説明できなくなる
▶額面と手取りは違う。手取りはおおよそ額面の8割前後が目安
▶手取りからの大まかな配分イメージを、貯蓄・資産形成(NISAなど)も含めて入社前から持っておく
▶大切なのは「足るを知る」こと。最低限必要な収入を土台に、その上でやりたいことを追求する
会社選びの軸に「お金」を入れることは、決して恥ずかしいことでも、志が低いことでもありません。むしろ、現実的な土台を持っているからこそ、やりたいことを長く、そして自由に追求していけるのです。
※本記事は一般的な考え方の紹介であり、個別の金額や配分を推奨するものではありません。具体的な家計の設計については、必要に応じて専門家にご相談ください。
◆額面と手取りのシンプルな図解(参考例)◆