電子書籍を作っていると、
「この本、すごく良い内容なのに……」
と思うことがあります。
時間をかけて書いた。
自分の経験や知識もたくさん詰め込んだ。
読んでもらえれば、きっと役に立つ。
それなのに、
なぜか本の魅力が伝わりにくい。
そんなとき、もしかすると原因は「内容」ではなく、伝える側と受け取る側の目線の違いにあるのかもしれません。
著者には「全部わかっている」
本を書いた本人なら、その本についてたくさんのことを知っています。
なぜこの本を書こうと思ったのか。
どんな経験がきっかけだったのか。
誰に読んでほしいのか。
一番伝えたいことは何なのか。
どんな思いを込めたのか。
もちろん、それは本を書くうえでとても大切なことです。
でも、ひとつだけ問題があります。
読者は、そのことを何も知りません。
読者が初めて目にするのは、タイトルや表紙。
そこから、
「これはどんな本なんだろう?」
「私に関係があるかな?」
と考えます。
つまり、著者にとっては「当たり前」の情報が、読者にとっては「知らない情報」なのです。
「伝えたつもり」と「伝わった」は違う
例えば、
「人生をもっと自由に生きるための本です」
と紹介されていたら、どうでしょう?
なんとなく素敵な本だとは思います。
でも、「私に必要な本なのか?」までは、まだわかりません。
一方、
「仕事も家庭も頑張ってきた40代女性が、これからの人生を自分らしく選ぶための本」
と書かれていたら、「これ、私のことかも」と思う人が出てきます。
同じような内容でも、誰に向けた本なのか が見えるだけで、受け取る印象は変わります。
表紙を見る人は、あなたの本を知らない
ここは、表紙を作るときにもとても大切なポイントです。
著者からすると、「このタイトルなら内容がわかる」と思っていても、初めて見る人にはわからないことがあります。
なぜなら著者は、本の中身を知っている状態で表紙を見ている から。
読者は、本の中身を知らない状態で表紙を見る からです。
この違いは、意外と大きいものです。
一度「著者」から離れてみる
では、どうすればいいのでしょうか。
簡単な方法があります。
自分の本を、「自分が書いた本」だと思わずに見てみること。
例えば、Amazonなどに並んでいる本を見ているつもりになって、
「この本、何について書いてあると思う?」
と、自分に質問してみます。
そして、
「誰に向けた本だと思う?」
「この本を読むと、どんなことがわかりそう?」
「どんな人が興味を持ちそう?」
と考えてみる。
もし、自分が想像していた答えと違ったら、「読者に伝わっていない」というより、「まだ伝える情報が足りないのかもしれない」と考えてみてください。
「誰に読んでほしい?」を具体的にしてみる
「幅広い人に読んでほしい」
という気持ちは、もちろんあります。
でも、表紙や紹介文を考えるときには、少しだけ絞ってみるのがおすすめです。
例えば、「仕事に悩んでいる人」よりも、
「40代になって、これからの働き方を考え始めた会社員」のほうが、ずっと具体的です。
すると、
「この人なら、どんな言葉に興味を持つだろう?」
「どんな雰囲気の表紙なら手に取りたくなるだろう?」
と考えやすくなります。
「この本の魅力」を一言にしてみる
もう一つ試してほしいのが、
「この本の一番の魅力は何?」
という質問です。
ここで、
「全部です!」
となっても大丈夫です(笑)。
むしろ、それだけ伝えたいことがあるということ。
ただ、表紙のように限られたスペースで伝える場合には、
「その中でも、一番伝えたいことは?」
まで絞ってみる必要があります。
例えば、「片付けについて書いた本」ではなく、
「忙しい人でも、無理なく部屋を整えられる方法」
まで具体的になれば、表紙で何を伝えればいいのかも見えてきます。
表紙は「本の説明書」ではありません
ここで、表紙について少し考えてみます。
表紙に本の内容を全部入れることはできません。
むしろ、全部入れようとすると、
- 文字が多くなる
- タイトルが小さくなる
- 情報が散らばる
- 何を見ればいいかわからなくなる
ということもあります。
だから表紙に必要なのは、
「全部伝えること」ではなく、
「興味を持ってもらうために、一番大切なことを伝えること」
なのだと思います。
今週の「読者目線」チェック
あなたの電子書籍を、もう一度眺めてみてください。
そして、こんな質問をしてみましょう。
□ 初めて見る人にも、何の本かわかる?
□ どんな人に向けた本なのか想像できる?
□ この本を読むと何が得られそうかわかる?
□ 著者の「伝えたいこと」だけになっていない?
□ 読者が「自分に必要かも」と思える要素がある?
もし答えに迷う項目があったら、それは本が悪いのではありません。
「伝える方法をもう少し工夫できるかもしれない」
というサインです。
本の魅力は、読者に届いて初めて伝わる
せっかく時間をかけて書いた本。
せっかくの経験や知識。
せっかく誰かの役に立つ内容。
それらが、著者の頭の中だけで完結してしまったら、少しもったいないですよね。
だからこそ、
「私は何を伝えたい?」
だけではなく、
「読者には、何が伝わっている?」
という視点も持ってみる。
この2つの視点が重なったところに、その本らしい伝え方が見えてくるのだと思います。
次回予告
次回は、もう一つ大切なことを考えてみます。
「自分らしい表紙」にしたい。でも、誰に届ける?
自分の好きな雰囲気だけで表紙を作るのではなく、
「この本を読む人に、どんなふうに感じてもらいたい?」
という視点から、表紙について考えてみます。