前回は、急流すべりで滑った後の乗り物のイメージと「遊」という文字とを融合したデザインが特徴的な未来の「テーマパーク」の地図記号について紹介しました。
次は、水道水や農・工業水の供給、大雨などで下流の河川が氾濫しないための調整を行う洪水調節、廃棄物処分などの役割を持ち、私たちが安全に暮らせるように作られた土木構造物「ダム」の地図記号について紹介します。
従来の記号は、コンクリート製と頑丈な石積みでできたものの2種類存在し、それぞれコンクリートや石積みから流れた水の姿を真上から見た形が特徴です。
なぜ「ダム」の地図記号が2種類があるかというと、ここで一旦「ダム」の歴史にさかのぼります。
日本最古のダムは、7世紀(616年)に作られた大阪府狭山市の狭山池であり、現在に至るまで1400年運用されています。このダムが完成した時代は、まだコンクリート製のダムが存在せず、当時は農業用水や飲み水として使用されていました。
しかし昭和20年代後半、電気がたくさん使われることで深刻な電気不足が起こるようになりました。
これをきっかけに、川の氾濫を防いだり、飲み水を確保するほか、発電機能を備えた大型コンクリート製ダムが初めて作られるようになりました。
このような歴史の流れから、上記の地図記号が2種類あるのは、コンクリート製と石積み(土や砂でできたもの)のものと区別されることからが由来であると考えられます。
この流れを知った私は再び従来の記号を確認したところ、以下のような疑問が湧きました。
「真上から見た形の記号は、人によってはイメージしづらいのでは?」
「全体的に構造がはっきりしている、かつ綺麗(きれい)に見える斜め上から見た『ダム』の形を記号化した方が、連想しやすいし、分かりやすいのでは?」
「なぜ、真上から見た形を記号化にしたのか?」
このように思った私は、次のように未来の地図記号として表現しました。こちらです。
「黒部ダム」をイメージして、それをシンプルにしたものをデザインにしました。
上で示した記号を作成する際に画像検索しながら、どういう角度から見たもので、どのような「ダム」の形を記号化すれば、地図記号として、見た人に分かりやすく伝わるのかを想像して考えました。
その結果、「ダム」といえばほとんどの人が第一に思い浮かぶ「黒部ダム」の形に近いもので、それを見た角度は、そこから撮っただけで一番美しく見える「斜め上から」にした姿をデザインとして表すことに決心しました。
※私は「ダム」に詳しくないし、「ダム」といえば「黒部ダム」しか知らなかったので、モデルを黒部ダムにしました。
このように見た目がはっきりして美しい地図記号を今後、教科書や掲示板の地図に現れると、より印象が残り、理解できる人が増えるのではないかと思います。