「よく分かる宇宙論の歴史~人類最大のロマンは宇宙の「根源」にある~⑮」

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(5)「人間」の存在が「宇宙」創成の前提なのか?:人間学

③「人間」、この摩訶不思議なるもの

人間学(anthropology)~一般に「人間とは何か?」、「人間の本質とは何か」という問いに哲学的な思考と実証的な調査で答えようとする学問で、通常は哲学の一部門として、哲学的人間学の名で呼ばれることもありますが、文化人類学、経済人類学、生物学的人間学など、他の諸科学にもその学問分野での人間論、人間学を語る人たちが少なくありません。「人間原理宇宙論」などは「宇宙論的人間学」と言えるでしょう。

インテリジェント・デザイン~知性ある設計者によって生命や宇宙の精妙なシステムが設計されたとする説です。しばしば、IDと略されます。聖書信仰を基盤にする宗教的な論説の創造科学から宗教的な表現を無くして、一般社会や学校教育などに広く受け入れられるようにしたもので、近年のアメリカで始まりました。宗教色を抑えるために、宇宙や生命をデザインし創造した存在を「神」ではなく、「偉大なる知性」と記述することが特徴です。これにより、非キリスト教徒に対するアピールを可能にしています。また宗教色を薄めることで、公教育への浸透などにおいて、政教分離原則を回避しやすくなるわけです。

ガイア理論~地球と生物が相互に関係し合い環境を作り上げていることを、ある種の「巨大な生命体」と見なす仮説です。NASAに勤務していた大気学者であり、化学者でもあるジェームズ・ラブロックによって1960年代に仮説が提唱されました。当初は主に気候を中心とした、生物と環境の相互作用についての理論であり、何らかの「恒常性」が認められるとした理論であって、ラブロックもこの理論を「自己統制システム」と命名していました。後に作家のウイリアム・ゴールディングの提案により、ギリシア神話の女神「ガイア」にちなんだ名前へ変更したのです。徐々に賛同者を得て、シンポジウムも開かれ、批判によって理論が鍛えられ緻密化するとともに、さらに多くの賛同者を得て、この理論にかなう多くの具体的・科学的な事例も集まり、豊穣な理論体系となったのです。

ガイア(大地)~あらゆるものの母であり、ガイアからエレボス(暗黒、地下世界)とニュクス(夜)の兄妹が生まれ、この2人が夫婦となってからヘーメラー(昼の光)とアイテール(上天の気)とカロン(冥界に至る川の渡し守)が生まれたとされます。『旧約聖書』創世記では、「はじめに神は天と地とを創造された。地は形なく、むなしく、やみが淵のおもてにあり、神の霊が水のおもてをおおっていた。神は「光あれ」と言われた。すると光があった。神はその光を見て、良しとされた。神はその光とやみとを分けられた。神は光を昼と名づけ、やみを夜と名づけられた。夕となり、また朝となった。第一日である」とありますので、ここに相当する部分かもしれません。アイテールはエーテルのことで、アリストテレスがエンペドクレスの四元素説を拡張して天体を構成する第五元素とし、これがスコラ神学にも受け継がれて、中世のキリスト教的宇宙観において天界を構成する物質とされました。カロンはダンテの『神曲』にも登場します。さらにガイアは息子ウラノス(天空)を生んで夫婦となりますが、空と大地を原初的な二柱の神と考えることは全てのインド=ヨーロッパ民族に共通しており、インドの『リグ・ヴェーダ』でも空と大地は「不滅の夫婦」と呼ばれています。

ウラノス(天空)~ガイアとの間にクロノスとレアらティターン12神やキュクロープス、ヘカトンケイルなどの巨人を生みます。ウラノスは天王星(ウラノス)の語源であり、ティターン(英語のタイタン)はチタン(元素)、タイタン(土星の衛星)、タイタニック号など様々な名称に使われています。イオニア人・アカイア人・ドーリア人ら第3派ギリシア人がペロポネソス半島に南下した時、ミュケナイ、ティリュンス、アルゴスなどに代表されるミケーネ(ミュケナイ)文明の巨石建造物の数々を巨人キュクロープスの手になるものと考え、「キュクロープスの石造物」と呼びました。これはイギリスのストーンヘンジに代表されるストーンサークルやヨーロッパ各地のメンヒル、ドルメンといった巨石記念物を巨人の遺物と考えられたことと同様です。

【参考文献】
『超常現象には”法則”があった!』(猪股修二、KKロングセラーズ)
『超常現象には”絶対法則”があった!』(猪股修二、KKロングセラーズ)
『宇宙には意志がある ついに現代物理学は、ここまで解明した』(桜井邦朋、クレスト選書)
『宇宙は自ら進化した ダーウィンから量子重力理論まで』(リー・スモーリン、NHK出版)
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