劣等感を克服するための心理学⑤:「向上心」は自己変革の最大の原動力

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 では、現時点では特にこれといった「取り柄」を持っていない、むしろ、これからそういう「取り柄」を持っていきたいという人は何を目指せばいいのかというと、誰でも持つことができて、きわめて有益なものが「向上心」です。能力は自分のモノにするにも時間がかかるでしょうが、「向上心」だけはゼロからスタートしても(元手ゼロでも)誰でも持つことができるものです。これは「より良い自分になりたい」という願望でもあり、これに「忍耐力」と「吸収力」が加われば、「発展型の性格」を作っていくことができるようになります。実は「こんな自分じゃダメだ!」という気持ちがある人(誰にでもあります)なら、そこから一歩踏み出して、「何とかしたい!」と思う気持ちがそのまま「向上心」なのです。これは最初は「小さい火」ですから、風雨の中でもそれを消さないように気をつけつつ(忍耐力)、時に燃料を注いでいけば(吸収力)、必ず火力が大きくなってくるのです(発展型の性格)。

【コラム】
 知情意という人間の精神の3つの主要機能の統合体が「人格(personality)」であり、それぞれの特徴や配分・組み合わせの傾向が「性格(character)」(したがって、個人個人におけるその違いは「個性(individuality)」と呼ばれることになります)ですので、「性格を変える方法」は大きく分けて「知的アプローチ」「情的アプローチ」「意的アプローチ」の3つがあることになります(巷にあふれる性格関連本はこれらがごっちゃになっているのです)。
 「知的アプローチ」のキーワードは「意識」にありますが、第3章③で述べた内容がその基本原理です。
 「情的アプローチ」のキーワードは「人間関係」にあり、この第4章でもその大切さを論じているところですが、性格形成上、決定的に重要な根源的人間関係は実は「家庭」にあります(政治思想家バークも「社会の中で我々が属している最小単位、すなわち家族を愛することが社会全体を愛するための第一歩である」と指摘しています)。ここでの基本的関係は「父と私」「母と私」「兄と私」「姉と私」「私と弟」「私と妹」の6種類です。これらが円満に豊かな関係であれば理想的になるのですが、実際にはいなかったり、いても関係が歪んだりしていたりするので、補ったり、修復する必要が出てくるのです。自分の家庭でそれが満たされないとすれば、社会的に「自分にとってお父さん的存在」「自分にとってお母さん的存在」「自分にとってお兄さん的存在」「自分にとってお姉さん的存在」「自分にとって弟的存在」「自分にとって妹的存在」の全てが必要となってきます。普通、社会的に関心の高い関係は「友人」と「恋人」でしょうが、性格形成上はこの6種類の基本的関係を豊かに育んでいく方がはるかに重要なのです。個人の段階でこうした基本的関係を築いている人は「友人」「恋人」との関係も理想的となり、結婚して夫婦となり、子どもを生んで父母となり、子どもが結婚して孫を産んで祖父母となるという家庭の段階も理想的になるというわけです。
 「意的アプローチ」のキーワードは「経験」であり、この第4章④で述べていることが基本原理となります。
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