劣等感を克服するための心理学②:「自分を知ること」から全ては始まる

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 生まれてからずっと「対人関係」は発達していきますが、「第2の誕生」とされる思春期においては、とりわけ自我意識が発達して、他人との「比較」も活発になり、自意識過剰・過敏にすらなっていきます。これ自体は正常なプロセスですが、ここで「自分」との折り合い(対自関係)をつけていかないと、「他人」との関係(対人関係)にも支障が出てきます。これは「他人の目で自分を見る」視点(相対的自己認識)から、「自分の目で自分を見る」視点(絶対的自己認識)への転換が必要だということです。これは第1章①の「現実を直視すること」を自分自身に向けるということであり、「自分を知ること」から全ては始まると言ってもよいでしょう。端的に言えば、「人は人、自分は自分だ」と言い切れるようにならないと、いつまでも周りの人間関係に左右され、振り回されてしまう自分から脱却できないということです。「自分を理解して欲しい、分かって欲しい、受け止めて欲しい」という強い欲求は、時として自他共に傷つける結果を生んでしまいますが、自分の最初の理解者、受け止め手に自分自身がならないといけないのです。

【コラム】
<オーケストラ楽器別人間学:管楽器編>
 あなたはどんな楽器が性に合いますか?知的な関心と違い、「何が好きか」はその人の性格傾向を端的に物語ると言います。世にもユニークな茂木大輔氏の「楽器」に注目した人間観察に耳を傾けてみましょう。
①フルート~冷たさも軽みも備えた貴族的エリート。人当たりがよく、やや優柔不断。冷静で客観性を伴った学者肌の性格。ストレスが少なく、開放的で大変に口舌の達者な、頭の回転の速い人物を作り出す。忍耐強さ、長期的展望などは育たない。
②オーボエ~ストレスに苦しみ、くよくよと細かい?奏者から鷹揚さや余裕を奪い、常に緊迫したぎりぎりの場所で生きているかのような、切羽詰った雰囲気を与える。挑戦的な姿勢、皮肉なユーモアを与え、奏者は環境の変化に敏感で、怒りっぽく、細かいことに病的にまでうるさい性格になりがち。
③クラリネット~複雑さを秘めた万能選手。争いごとを嫌う性格、感情の安定を作り出す一方、他者との感情的な共感の持ちにくさを与える。奏者の性格に幅と余裕を与え、決して単純な性格にさせることはない。優越感とプライド、負けず嫌いの性格を作り出し、強い好奇心と素早い適応能力、ロマンティックな包容力、孤独を好む哲学的嗜好、深いコンプレックスとそれを隠そうとする本能を与え、開放的になりきれない部分を残させる。
④サクソフォン~一点こだわりナルシスト。全てを都合よく修正して考え、自己陶酔的なナルシズムの傾向があり、現実逃避を好む。一方、コントロールのきかない、きわめて野生的で粗野な一面を有しており、どこか垢抜けない印象を残す。総合的には楽観的で、ストレスの少ない、やさしい性格なので、大変付き合いやすい人間像と言ってよい。奏者を闊達、敏捷にし、余裕と現実への楽観を与え、夢見る世界に導くが、哲学的思考からは遠ざけ、視野の固定化、一点へのこだわりを余儀なくさせる。奏者同士の結束を強め、他に対するコンプレックスを育て、閉鎖的になる傾向がある。
⑤ホルン~忍耐強い寡黙の人。奏者の性格に幅と余裕、冷静さと内向性、強い意志力、若干のサディスト的傾向を与え、寡黙な、言葉をよく吟味してからでなくては発言しない姿勢をもたらす。また、単純なことも複雑に考えずにはおれないという、熟考癖のある人間になりやすい。
⑥トランペット~単純明快、やる気満々のエース。関心の対象がきわめて限定された、不器用な人間になりがちだが、常に限界に挑戦し続ける、あくなき探究心とチャレンジ精神を与える。対人関係においても無駄を嫌い、回り道を避けるストレートな性格を作り出し、強い自尊心も養う。
⑦トロンボーン~あけっぴろげな酒豪、いつも上機嫌。奏者を哲学的苦悩や闘争心から遠ざけ、人当たりのよい好人物、落ち着いた貫禄のある人物像へ導く。高い自己管理能力、アウトドア指向がある。

<オーケストラ楽器別人間学:弦楽器編>
①ヴァイオリン~陰影に富んだユニバーサルな人。奏者をそつのない、誰に接しても常に人当たりのいい、常識のある、安定した人格に導く。奏者は忍耐と客観性に長け、仮面をつけて集団に同化することのできる匿名性を身につけていく。
②ヴィオラ~しぶとく、しぶとく、「待ち」に強い。奏者に包容力、余裕、寛容といった人間的に愛すべき性格をもたらし、ややスロースターターな、自己充足的で幸福な人間に変化させる。やや大ざっぱで、競争心などの少ない、温和な性格。
③チェロ~包容力とバランス感覚に優れた、ゆらぎのない人間性。奏者を正々堂々たる、表裏のない誠実な性格に導く。
④コントラバス~泰然自若、唯我独尊。奏者に年齢不詳の奇妙な落ち着きと、もの静かな印象を与え、自己アピール、競争、独善などとは無縁の、きわめて余裕のある、健全で誠実で楽観的な精神状態に導く。
⑤ハープ~夢見がちな深窓の令嬢。奏者はおしなべて素直で、夢見るような性格になっていき、ストレスの少ない、ややのんびりとした、満ち足りた人間像へと導かれる。
~『オーケストラ楽器別人間学』(茂木大輔、新潮文庫)より~
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