マイナス思考を克服するための心理学⑥:「自分はダメだ」から「ダメな自分をどうするか」

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 逆境の中で「自分はダメだ」と落ち込むことは自然な感情ですが、その感情に埋没して這い上がれないままずっとそこにとどまるか、「現実の直視」から始まって、「思考力」をめぐらせて、「ダメな自分をどうするか」考えるかで、その後が大きく分かれてきます(はたから見ればどちらも一緒の状況に見えますので、この違いは「心理」の違いです)。つまり、「逆境」が問題なのではなく、もっと言えば「環境」が最終的に問題になるのではなく、それに臨む自分の「心理構造」で幸福にも不幸にもなるということです。
 例えば、「お金さえあればなあ」と嘆いていた人が、ある日、突然、宝くじに当たって大金を手にしたところ、1年も経たないうちに皆使ってしまった(つまり、元に戻ってしまった)ということはよく起きています(遺産相続などでもよく見られます)。これは「お金がない」という「貧乏な環境」が問題なのではなく、「お金を作る力がない」という「貧弱な能力」の問題だったわけです。
 大学受験でも本番が近づく12月くらいになると、「今から頑張っても行ける大学はたかが知れているから、もう1年頑張って、もっといい大学を目指そう」と思い始める人が出てきますが、これも同じです。「今、最善の努力を尽くせない人」は、1年経ったら別人のごとく変わるのかというと、そんなことはありません。バイトをしたり、友達と遊びに行ったり、あれこれ本を読んだりしているうち、あっという間に来年の12月になり、「1年前と同じ自分」がそこにいるのを発見します。結局、「心理構造」が変わらなければ、単に「時間」が増えても、本質的には同じ結果を生んでしまうということです。そのうち、大学受験そのものを断念してしまうというケースもよく起きています。3ヵ月なら3ヵ月という限られた期間で、情報を集め、思考をめぐらし、出来得る限りの努力を続け、出た結果に対して検討を重ね、その都度その都度で最善の選択をするようにしていく人ならば、時間が増えれば増えた分だけ良い結果が生まれることでしょう。今の自分がダメだとしたら、その解決を未来に先送りするのではなく、あくまでも「今」の問題として取り組むようにしないといけないのです。
 したがって、どの分野・仕事でも「これじゃあダメだ」となれば、「じゃあ、一体どうすればいいのか」という問いかけが同時に出てくるようにする必要があるということです。

【コラム】
「真に人間の名に値する人間を他から区別する本質的な特徴は、困難な逆境に耐え抜くことである。」
「苦悩を通しての歓喜。」
 以上はベートーベン(耳が不自由になり、貧乏や身内の問題に苦しみながら、数々の名曲を作曲して古典派音楽を完成させると共にロマン派音楽を確立し、「楽聖」と称えられました)の言葉ですが、彼はピアノ奏者モシュレスが手渡したオペラ「フィデリィオ」のピアノ用楽譜の最後のページの片隅に「神の助けによって、つつがなく演奏が終わるように」と書いてあるのを見て、すぐさま「神に頼るとは何たることだ。自らの力で自らを助けたまえ」と書き足したと言います。
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