マイナス思考を克服するための心理学④:マイナス言葉を絶対に口にしない

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 では、「言葉のコントロール」はどうすればいいのかという問題になりますが、これには大原則があって、「マイナス言葉は絶対に口にしない」ということが重要です(瞑想の本や成功術の本にはたいてい書いてあります)。なぜなら、マイナス言葉にはマイナス思考・マイナス情念が背景に必ずくっついているからで、本人にそのつもりが無くても、マイナス言葉を発することで、知らず知らずのうちにマイナス思考・マイナス情念が表面に引きずり出され、反復・強化・定着の作用をしてしまうからです。
 例えば、儒教倫理が非常に厳しい(最近はそうでもないようですが)韓国の教育学者によれば、子供の教育で「親に対する敬語」を絶対にしつけると言います。また、「昔は夫婦の間でも敬語を使っていた」とも言います。確かに「敬語」の背景には「敬意・尊敬心」という思考・情念がありますので、それが定着していると、家庭内暴力なども起きにくいというわけです。
 無意識的にマイナス言葉を発していると、「自分で自分をダメにする」という現実を知らなければならないわけですが、逆に意識的にプラス言葉を使っていると、そのプラス言葉が背景に持っているプラス思考・プラス情念が次第に啓発の役目を果たしてくれるのです。しかし、ここで気をつけなければならないのは、「メゲない」「落ち込まない」「負けない」といった言葉は自分に対する励ましどころか、逆にマイナス思考・情念を刷り込んでしまう危険性があるということです。これらは一見するとプラス言葉のようですが、実は「否定言語」であり、「メゲる+いや、そうしない」「落ち込む+いや、そうしない」「負ける+いや、そうしない」という言語構造になっているため、まず「メゲている」「落ち込んでいる」「負けている」という現状を強く根付かせた上で、それに立ち向かっていくという悲愴な心理構造を生むのです。そうではなく、最初から「努力する」「やる気満々」「勝つ」といったプラス言葉を使うべきなのです。
 これは身体動作にも及ぶことです。歩き方などでも、「猫背」のように背を丸めてうつむき加減でとぼとぼ歩くよりも、「虎歩」(虎のように胸を張って堂々と歩く)の方がいいに決まっています。呼吸もあせっている時、落ち着かない時は短く浅くなっており、落ち着いてリラックスしている時は長く深くなっていますので、呼吸を意識的に長くゆっくりにしていけば、それに連動して心が落ち着き、リラックスするようになります(「吐く息」がポイントになります)。ヨーガや太極拳などでも「呼吸」が重視されており、これは「呼吸のコントロール」による「心の遠隔操作・間接操作」とも言えます。

【コラム】
ちなみに人の心を「つかむ」上で欠かせない「言葉」ともなり得るのが「名前」です。「名前」はその人を端的に表わすものであり、一番簡単な「アイデンティティ」と言ってもよく、「自分の名前を覚えてもらった」ということは、「相手の心・意識・記憶の中に自分が入った」「自分を受け入れてもらった」ことを意味するので、実に大きな意味を持つのです。
 例えば、教育実習にいった先生の卵達は、受け持ったクラスの名前を覚えるのに躍起になりますが、大体「顔」と「名前」が一致するのに2週間ぐらいかかるのが普通です(昔はこれで実習期間が終わっていました)。しかし、賢明な人は「最初が肝心」だと分かっていますから、前日までに写真と名簿を使って全ての生徒の名前をフルネームで覚えるのです。そして、第一日目の出席簿を読み上げる時に、1人1人フルネームで呼んで顔と名前を必死で一致させます。そして、一巡した後に、もう一度1人1人の顔を見ながら、ゆっくりフルネームを呼んでいくのです。すると、クラス全員を呼び終えた時、生徒はびっくりして「今、名前を呼んでいるうちに全部覚えたのか!」とその教育実習生に一目置くようになるのです。「この先生は何か違う」と。少なくともこの人が実習期間中にナメられるなどといったことは一切起きなくなるでしょう。
 あるいは大学の合同サークル合宿などで、初めてのメンバーが30人も40人も集まる場合の進行役の人が使う方法で、「自己紹介ゲーム」といったものもあります。これは一番最初に行うもので、皆に輪になって座ってもらい、1人1人名前をフルネームで言った上で自己紹介をしてもらうのですが、2人目の人は「織田信長さんの隣の豊臣秀吉です」といった風に紹介をするのがポイントです。3人目の人は「織田君の隣の豊臣君の隣の徳川家康です」という風に続きます(いずれも本名でやるんですよ、ここでは例で出しているだけです)。こうして10人くらいになると、皆、覚えきれなくなって、指で何度も手になぞったり、いろいろな努力をしてきますが、ここで進行さんが「ハイ、徳川家康君だよー!みんな、覚えたー?」とか「織田君の隣の、豊臣君の隣の、徳川君の隣のォ…」とか大きな声でサポートしてあげます。そして、30人なら30人、40人なら40人(これくらいが限度でしょう)、全員が一巡してやっと最後まで終わったら、最後の1人である進行さんが、「では自分の番ですね」と言って、「織田信長君の隣の、豊臣秀吉君の隣の、徳川家康君の隣の、・・・・○○です!」と全員の名前をフルネームで呼び上げて、最後に自己紹介をするのです。この瞬間、全員が「この自己紹介の間に全員の名前をフルネームで覚えたのか!」とビックリします。もう、この合宿期間中、進行さんの言うことを聞かない人は1人もいないでしょう。「この人は何か違う」と最初に思うからです。何のことはない、進行さんのやったことは前の日に名簿を手に入れて、必死に覚えただけなんですね。「名前を覚えただけ」で、何の特殊な技術も使っていません。簡単なことですが、まとめ役をする人にとってはありがたい、そして効果絶大の方法なのです。
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