不安を克服するための心理学⑥:失敗したら何度でも戻ってやり直す

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 「失敗に対する恐れ、不安」は誰にでもありますが、肝心なことは「失敗すること」にあるのではなく、「失敗した後の対処の仕方」にあります。失敗したことによって、このやり方ではダメだということが分かっただけでも良しとし、前の選択肢に戻って別な道を行けばいいということです。10の選択肢があるとして、2~3つ試してみてダメだった場合、「やっぱりダメだ」と簡単に結論づけるのではなく、10の選択肢全てを試してみた上でやっぱりダメだった時に、「本当にダメだ」と結論づけるべきです。これが「絶対的確信的ダメ出し」です。社会生活やビジネスでも失敗はつきものですので、「失敗しないことがいい」のではなくて、「失敗した時にちゃんと責任を取ればいい」ということを知っておくべきでしょう。
 よく「昔に帰れるとしたら、いつの頃に帰りたいですか」という質問がありますが、これに対して「小学校の頃」「中学校の頃」といった答えが返ってきます。そうすると、その時代が一番幸福で、それ以降、今に至るまで不本意な状況が続いていることになり、ある意味では悲しい話です。「生きていればリセットは何時でも何度でも可能」なのですが、「失敗したらやり直せばいいんだ」という基本姿勢が身についてくるようになると、次第に「今が一番いい」と思えるようになってきます。
ただ、自分にとってネックになっている原因・体験・事件は大体1~2個であるのが普通ですが(それが何であるかは自分の心が一番良く知っています、「内なる声」に耳を傾けてみましょう)、その中には自分の決断と行動ですぐにでもリセットに向けて対処できるものもあれば、自分以外の原因で不本意な状況に陥ったため、リセットに時間がかかるものもあります。例えば、人前で恥をかいた、後天的な病気・怪我で長期入院したといったことなどは前者に入ることが多く、イジメを受けた、家庭の不和、両親の離婚、先天的な病気などは後者に入ることが多いと言えるでしょう。特に両親の離婚によって受けた心の傷などは、子供の立場ではどうしようもなく、将来、自分が結婚して子供を生み、親になって、夫婦関係を死に物狂いになって守り抜き(恐らく両親と同じ危機を通過する可能性があります)、家庭円満を維持できるようになるまではなかなかリセットできません。親を責めてみても、自分を責めてみても、何かにうっぷん晴らしをしてみても、心の中のしこりの解決には結びつかないのです。この場合でも、「常に現状から出発する」という基本姿勢は必要です。そうすれば、将来、必ず「転換の時」を迎えることができるからです。
 また、どう考えてみても八方ふさがり、どうしていいのか分からない、夢も希望もないという「絶望的状況」に陥ることがありますが、この場合は「人事を尽くして、天命を待つ」しかありません。じゃあ、どのくらいの期間、人事を尽くせばいいのかというと、大体「3年」とされます(中国のことわざに「凶事も3年経てば吉事になる」というものがあります)。3年間、考えられるだけ考え、思いつくことは全て試せるだけ試し、試行錯誤の限りを尽くせば、どんなに道が見えないと思えた状況でも必ず道が見えてくるということです(最近の企業再生でも「3年の期限」というスタンダードが出て来ました)。「石の上にも3年」とはよく言ったもので、早ければ1年前後でも全く状況が変わってくるものです。「3年、10年の法則」とでも呼ばれるものがありますが、これは「どんな逆境でも3年間人事を尽くせば必ず道は開ける、どんな分野でも10年間取り組めば必ずひとかどの人物、専門家になれる」というものです。

【コラム】
「たくさんの失敗を重ねてみて、初めて真実の全体像に出会えるのだ。」(オーストリアの精神分析家フロイト)
「神は超えられない試練を人には与えられない。」(東欧ユダヤ社会のことわざ)
「経験は素晴らしい学校だ。ただ、その授業料は高くつくものだ。」(ハイネ)
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