「Meta社へ申請するときは、会社名と個人名のどちらがよいのでしょうか」。お見積りをお送りした直後、ご依頼人からこうしたご質問をいただきました。ご相談は、会社の事業として運営していたInstagramのうち4つが、同じ「関連付け」の理由で永久停止されたというものです。きっかけは、当事務所が以前に公開した、同じ理由で3アカウントが停止された事例の記事でした。会社のアカウントには、個人のアカウントにはない迷いどころがあります。書面の名義、すでに解除された他のアカウントを書面に書くかどうか、Meta社からの返事がどこに届くのか。ご依頼人とのやり取りに沿って、その一つひとつをどう判断したのかをまとめます。書面の発送から約4週間後、4アカウントすべてが戻りました。
同じ理由で止まったのに、戻ったアカウントと戻らなかったアカウントがある
ご依頼人の会社では、事業のために複数のInstagramアカウントを運営していました。そのうちの何本かが、数か月のあいだに次々と一時停止されます。表示された理由は、どのアカウントも同じでした。
【再現イメージ】Instagramの画面:アカウントが停止されました
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あなたのアカウントは、ルールに違反している別のアカウントに関連付けられているようです。これはアカウントの信頼性に関するコミュニティ規定に違反しています。
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※停止の理由として表示された文言(ご依頼人からお送りいただいた画面をもとにした再現イメージ。太字は当事務所による)
「ルールに違反している別のアカウント」がどれなのかは、示されていません。ご依頼人に心当たりを伺うと、会社のアカウントどうしで同じ電話番号やメールアドレスを登録していたり、同じ場所から接続していたりはするものの、これという原因は分からない、というお答えでした。会社で複数のアカウントを運営していれば、連絡先や接続環境が重なるのは自然なことです。
ご依頼人は、一時停止のたびに異議申し立てをしていました。その結果は、アカウントによって分かれます。異議申し立てで解除されたアカウントもあれば、そのまま永久停止になったアカウントもありました。永久停止になった4つを書面で取り戻したい、というのがご相談の内容です。
本人確認書類が受け付けられないまま、永久停止に
4つのアカウントに共通していたのは、異議申し立ての途中で求められた本人確認書類が承認されなかったことです。提出しても受け付けられず、再提出を求められ、出し直しても承認されないまま、永久停止の通知が届きました。異議申し立てから永久停止までの期間はアカウントごとにまちまちで、同じ日のうちに永久停止となったものもあります。
一方、異議申し立てで解除されたアカウントでも、本人確認書類は提出されていました。ご依頼人の記憶では、出したのは永久停止された側と同じ方の身分証だったといいます。そうだとすれば、同じ人が同じように身分証を出して、結果だけが分かれたことになります。どこで判断が分かれたのかは、Meta社から説明されていません。
アプリの中の手続きは、これで尽きていました。当事務所は「アカウント停止解除申請書」を作成し、英訳して米国のMeta社へ送ることをご提案しました。4つのアカウントは同じ理由・同じ経緯で止まっているため、1通の書面にまとめて記載しています。
申立ての名義は「実際に運営している人」に合わせる
ここで、冒頭のご質問が出てきます。会社が持つアカウントとして申し立てると、ビジネスポートフォリオ(旧ビジネスマネージャ)なども絡んで複雑になりそうなので、個人の持ち物として申し立てたほうがよいのではないか、というご相談でした。
当事務所がお答えしたのは、書面の名義は、アカウントを実際に運営・管理している方に合わせるのがよい、ということです。Meta社は、登録されているメールアドレスや電話番号、アプリ内で提出された本人確認書類などの情報と照らし合わせて審査すると考えられます。実態と違う名義で申し立てると、Meta社の記録と食い違い、書面そのものの信用を損ないかねません。
判断のために、アカウントごとに次の点を伺いました。
・運営しているのは個人か、会社の事業か
・登録しているメールアドレスと電話番号は、個人のものか、会社のものか
・異議申し立てで本人確認書類を出したのは誰か
・ビジネスポートフォリオと紐づけているか
ご回答では、4つとも会社の事業として運営しており、電話番号は会社のもの、メールアドレスは会社のものとスタッフのものが混在していました。ビジネスポートフォリオに紐づいているアカウントも、紐づいていないアカウントもありました。異議申し立てで身分証を出したのは、代表者の方と従業員の方でした。
そこで書面は、会社を申請者とし、代表取締役の方のお名前を併記する形にしました。法人名義で作るときは、会社の履歴事項全部証明書の写しと、代表者の方の身分証明書をお送りいただいています。アカウントごとの登録メールアドレス・電話番号・ビジネスポートフォリオとの紐づけの有無、異議申し立てで代表者と従業員のどちらの身分証を出したのかも、書面にそのまま書きました。名義と、Meta社の手元にある記録とが食い違わないようにするためです。
業務範囲について:当事務所が行うのは、お客様ご本人の主張を整理した書類(アカウント停止解除申請書・書留郵便物)の作成と発送の代行です。行政書士はMeta社との交渉や代理を行うことはできません。また、書面の送付により必ずアカウントが復活することをお約束するものではなく、解除を保証するものではありません。結果には個別の事情による差がございます。
書面の柱は「会社が運営しているのだから、重なるのは当然」
書面で最初に伝えたのは、4つのアカウントがいずれも会社の事業として運営しているもので、登録している電話番号やメールアドレス、使っている通信環境が会社の他のアカウントと重なるのは、事業の性質上当然だということです。Meta社のコミュニティ規定「アカウントの信頼性」は、アカウントを制限・停止する場合として、停止中のアカウントと同じ人や組織が持っている場合や、措置や審査をくぐり抜けるために使われている場合などを挙げています。書面では、一つの事業者が複数のアカウントを運営すること自体は、そこに挙げられていないと指摘しました。4つとも、停止されたアカウントの代わりに作ったものではないことは、事前にご依頼人に確かめています。
次に、同じ時期に同じ理由で一時停止され、異議申し立てで解除された会社のアカウントのことを書きました。同じ会社が運営し、同じ理由で止まったアカウントを、Meta社自身が審査のうえ解除している。しかも、ご依頼人の記憶では、そのときに出した身分証は、永久停止された4つのときと同じ人のものでした。同じ人の身分証で結論が分かれたのなら、分かれた原因はアカウントの使い方ではなく、本人確認の手続きの処理にあったのではないか、という組み立てです。ご依頼人には、解除されたアカウントの代表例を2つ、停止の時期と現在の状況とあわせてお知らせいただきました。
このほか、異議申し立てと同じ日のうちに永久停止となったアカウントがあること、永久停止後の画面に「テクノロジーにより措置が講じられました」と表示されたアカウントがあることから、人による審査を経ていないのではないかという点も挙げ、人による再審査を求めています。書面に添付した画像は、この表示が出た画面の1点だけです。ご依頼人から画像を添付すべきか尋ねられた際、停止日や理由、異議申し立ての経緯は本文に書けるので添付は必須ではないとお伝えしたうえで、人による審査を経ていない可能性を示すこの画面1点をおすすめしました。
解除済みのアカウントを書くと、やぶへびにならないか
日本語の原案をお読みいただいたあと、ご依頼人からこう尋ねられました。
「この申請をして、やぶへびになるようなことはありそうでしょうか。一時停止が解除されたアカウントや、電話番号などで紐づいている他のアカウントまで止められてしまうようなことです。」
――ご依頼人からのご質問(要旨)
当事務所がお答えしたのは、次のとおりです。これまでお受けした案件で、書面を送ったことをきっかけに他のアカウントが止められたというご報告は頂いていません。ただし、Meta社の判断を当事務所が予測したり保証したりすることはできず、影響がまったくないとは申し上げられません。
そのうえで、書面に名前を出しているのは解除済みの2つだけで、ほかに運営中のアカウントには触れていないこと、その2つは4つと同じ時期に同じ理由で止まり、Meta社の審査を経て解除されたものなので、Meta社はすでに関連を把握していると考えられることをお伝えしました。どうしても気になるのであれば、ユーザーネームを外して「同時期に同じ理由で止まり、異議申し立てで解除されたアカウントがある」とだけ書くこともできます。その場合はMeta社が事実を照らし合わせにくくなり、主張の具体性はやや弱まります。
ご依頼人はこれを踏まえて、ユーザーネームを残したまま英訳に進むことを選ばれました。どちらを選ぶかは、ご依頼人が決めることです。当事務所は、それぞれを選んだときに何が起きうるかをできるだけ具体的にお伝えし、判断の材料にしていただいています。
Meta社からの返事は、どこに届くのか
書面は、日本からの国際郵便ではなく、米国内からの書留郵便(配達記録付き)で米国のMeta社へ送りました。当事務所の経験では、Instagramの書面を日本法人に送っても、代理人弁護士から米国法人宛に送るよう連絡があるため、最初から米国宛に絞っています。送付経路の詳細は、当事務所が受任実績から積み上げてきた運用ノウハウの中核にあたるため、記事内での詳しい記載は控えさせていただきます。なお、日本の内容証明郵便は国内専用の制度のため、海外宛には使えません。
発送後、ご依頼人から「Meta社からのメールや書簡は、会社の住所と代表者個人の住所のどちらに届くのか」と尋ねられました。当事務所がお伝えしたのは、メールなら各アカウントの登録メールアドレス宛て、書簡なら書面に記載した住所宛てになるだろう、ということです。書面では申請者欄に会社の住所を、代表者の欄に代表者ご本人の住所を書いていたため、念のため両方を確かめていただくようお願いしました。
ここで、会社のアカウントならではの問題が見つかります。あるアカウントの登録メールアドレスが、スタッフの方が以前に作った個人のアドレスで、会社では中身を確かめにくいというのです。会社の住所か代表者の住所、または会社のメールアドレスに返事をもらうよう伝えられないか、というご相談でした。
書面はすでに米国内で配送中だったため、回答先の希望を書き足すことはできません。また、Meta社がどの連絡先に返事をするかは、当事務所が指定することも確かめることもできません。そこで、そのアドレスを確かめられる方に受信の確認を頼むか、会社のアドレスへの転送を設定しておくことをおすすめしました。
会社のアカウントは、担当者が替わったり、作った人のアドレスがそのまま残っていたりすることがあります。Meta社からの連絡は、こちらが選んだ窓口ではなく、アカウントに登録された連絡先に届くと考えておくのが安全です。書面を送る前に、各アカウントの登録メールアドレスを会社で確かめられる状態にしておくことをおすすめします。
発送から約4週間、ある晩に4つのアカウントが戻った
当事務所はInstagramのご依頼人に、「最近の傾向ですと、1か月〜2か月ほどでMeta社からメールか書簡が届き、その指示に従うことで解除されることが多い」とお伝えしています。本件では、書面の発送から約4週間後に、ご依頼人からご報告が届きました。
「昨晩、Metaから連絡が入り、無事4アカウントすべて凍結解除ができました。とても大切なアカウントで、大変困っていたため、社内のスタッフも喜んでおります。弊社の場合、特に手続きなどは必要なく、アカウントが回復されました。」
――ご依頼人からのご報告(要旨)
あわせて共有していただいたのが、次のメールです。
【再現イメージ】件名:○○○○を再びご利用いただけます
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○○○○さん
審査をリクエストいただきありがとうございます。あなたのアカウントを審査した結果、アカウントでのアクティビティはアカウントの信頼性に関するコミュニティ規定に沿っていることが確認できましたので、再びInstagramをご利用いただけます。
弊社の誤りによりしばらくの間Instagramをご利用いただけなかったことをお詫びいたします。弊社ではコミュニティの安全を確保するための措置が必要となる場合があります。
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※復旧を知らせるメール(実際のメールをもとにした再現イメージ。ユーザーネームは伏せています。太字は当事務所による)
停止の理由は「アカウントの信頼性に関するコミュニティ規定」への違反でした。復旧のメールでは、同じ規定に「沿っていることが確認できました」とされ、Meta社の誤りであったことへのお詫びが添えられています。本件では、本人確認書類の再提出などを求められることもなく、メールが届いた時点でアカウントが戻っていました。
書面が解除の決め手になったのかどうかは、Meta社が理由を説明しないため分かりません。ただ、同じ理由で止まり解除された会社のアカウントがあること、本人確認書類を出していたのが会社の代表者と従業員であることを書面で整理して伝えたことが、人による審査の材料になったのではないかと考えています。これは推測です。
解除までの期間や結果は、個々のケースによって大きく異なります。もっと早く動く例も、書面の送付後も動きがない例もあります。必ず同じ結果・同じ期間になるとは限りません。あらかじめご了承ください。
会社でInstagramを複数運営している方へ
本件のご相談を通じて見えてきたのは、会社のアカウントは「誰のアカウントか」をMeta社の記録と合う形で説明できるかどうかが大切だということです。登録しているメールアドレスと電話番号、異議申し立てで身分証を出した人、ビジネスポートフォリオとの紐づけ。これらがアカウントごとにばらばらだと、止まったときに名義や連絡先を決めるのに手間取ります。日ごろから、各アカウントの登録情報と担当者を一覧にしておくと、いざというときに慌てずに済みます。
当事務所がお受けしたご相談では、ご依頼人が名義・書面に書くアカウント・連絡先のそれぞれで迷われ、そのつど質問をいただきました。こうしたご質問には、書面の作成とあわせてメッセージでお答えしています。
当事務所の対応
当事務所では、SNS凍結解除の内容証明郵便・国際郵便の作成発送代行を年間数百件規模で承っております。書面の文章はすべて当事務所で作成し、日本語の原案をご確認いただいてから英訳し、発送します。原案の修正は、校正確認の完了前であれば5回まで無料です。
よくある質問(FAQ)
Q. 会社で運営しているInstagramが停止されました。申し立ては会社名と個人名のどちらで行うべきですか?
アカウントを実際に運営・管理している方に合わせることをおすすめします。会社の事業として運営しているなら会社名義(代表者名を併記)、個人で運営しているなら個人名義です。Meta社は登録メールアドレス・電話番号や、アプリ内で提出された本人確認書類などと照らし合わせると考えられるため、実態と違う名義で申し立てると記録と食い違うおそれがあります。本件では会社を申請者とし、代表取締役の方のお名前を併記しました。
Q. 「ルールに違反している別のアカウントに関連付けられている」と表示されましたが、どのアカウントか分かりません。
関連付けの相手となったアカウントは、示されないことが多いです。本件でも示されず、ご依頼人にも明確な心当たりはありませんでした。会社のアカウントどうしで電話番号やメールアドレス、接続環境が重なっていることはよくあります。書面では、どのアカウントも会社が事業として運営していること、同じ理由で止まったアカウントが異議申し立てで解除されていることを整理して伝えました。
Q. 解除済みのアカウントを書面に書くと、そのアカウントや他のアカウントまで止められませんか?
当事務所がこれまでお受けした案件では、書面の送付をきっかけに他のアカウントが停止されたというご報告は頂いていません。ただし、Meta社の判断を予測・保証することはできず、影響がまったくないとは言い切れません。気になる場合は、ユーザーネームを出さずに「同時期に同じ理由で止まり、解除されたアカウントがある」とだけ書くこともできますが、主張の具体性はやや弱まります。本件のご依頼人はユーザーネームを残すことを選ばれました。
Q. Meta社からの返事は、会社の住所と代表者の住所のどちらに届きますか?
メールの場合は各アカウントの登録メールアドレス宛て、書簡の場合は書面に記載した住所宛てになると考えられます。Meta社がどの連絡先に返事をするかは、当事務所が指定することも確かめることもできません。登録メールアドレスがスタッフ個人のものなどで会社から確かめにくい場合は、受信の確認を頼むか、会社のアドレスへの転送を設定しておくことをおすすめします。
Q. 異議申し立てで本人確認書類が何度も承認されませんでした。書面で戻る可能性はありますか?
可能性はあります。本件の4アカウントは、いずれも本人確認書類が承認されないまま永久停止となりましたが、米国のMeta社へ書面を送付し、発送から約4週間後にすべて戻りました。ただし、書面を送れば必ず戻るものではなく、結果や期間は個々の事情によって異なります。
Q. 解除されるとき、何か手続きが必要になりますか?
案件によって異なります。Meta社から本人確認書類などの提出を求められ、その指示に従って解除される例も多くありますが、本件では特に手続きを求められることなく、「再びご利用いただけます」というメールが届いた時点でアカウントが戻っていました。書面の送付後は、登録メールアドレスに届くメールをこまめに確かめてください。
ご相談について
SG行政書士法務事務所では、X(旧Twitter)・Instagram・FacebookなどSNS凍結解除の内容証明郵便・国際郵便の作成発送代行を年間数百件規模で承っております。複数のアカウントや法人名義でのご依頼も、停止画面や届いたメールの内容をもとに、対応の可否や進め方を確認のうえでご案内いたします。会社のInstagramの停止でお困りの方は、ココナラの出品サービスよりお気軽にご相談ください。
執筆:行政書士 重松 祐達(SG行政書士法務事務所 代表)
日本行政書士会連合会 第23191059号 / 愛知県行政書士会 中央支部 第6790号
Instagram・Facebook・X(旧Twitter)などSNS凍結解除の内容証明郵便・国際郵便の作成発送代行を年間数百件規模で受任。本記事は実際の受任案件をもとに、個人や法人が特定されないよう一般化して構成しています。行政書士は相手方との交渉・代理を行うことはできず、裁判手続きが必要な場合は弁護士へのご依頼をご検討ください。
免責事項:本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の法的助言を構成するものではありません。掲載した事例は実際のご相談をもとに、個人や法人が特定されないよう内容を一般化して再構成したものです。アカウントの復旧を保証するものではなく、結果は個々の状況により異なります。当事務所は書類の作成・発送代行を行うものであり、相手方との交渉・代理は行いません。また、本記事の内容は作成時点の情報に基づいており、Meta社の運用方針・仕様や法令の変更により内容が変わる場合があります。