友人との写真をストーリーズに載せるだけの、ごく普通の個人アカウントが、ある朝3つ同時に停止。通知には「あなたのアカウントは、ルールに違反している別のアカウントに関連付けられているようです」とだけ書かれ、自分の投稿のどこが問題なのかは一切示されない——。指示どおりに本人確認を進めたのにシステムエラーで2回失敗してそのまま永久停止、異議申立てを最後まで行ったもう1つのアカウントも永久停止という、手続きを踏むほど状況が悪化していくケースでした。本記事では、米国内からの書留郵便(配達記録付き)でMeta社へ異議申立書を送付し、発送から約2か月で3アカウントすべてが復活した成功事例を、当事務所の実際の対応をもとにご紹介します。
ご相談の概要
今回ご相談いただいたのは、個人で運用されていたInstagramの3つのアカウントに関するケースです。3つのうち2つは友人と遊んだ際の写真をストーリーズ機能でのみ投稿する使い方で、直近の投稿も停止の2〜3日前のごく日常的なもの。残る1つは直近2〜3年は自身の投稿がなく、相互フォロワーのストーリーズを閲覧するだけの「見る専」のアカウントでした。成人向けの内容やスパム的な投稿は一切なく、ビジネス利用でもない、ごく一般的な個人アカウントです。
ある月曜日の朝、2つのアカウントに「一時停止」の通知が出ていることに気付き、同日午後には残る1つも同じ理由で停止されていることが判明しました。理由はいずれも「あなたのアカウントは、ルールに違反している別のアカウントに関連付けられているようです。これはアカウントの信頼性に関するコミュニティ規定に違反しています」というものです。
ご依頼人は指示に従い、1つ目のアカウントで顔認証(動画セルフィー)を済ませたうえで運転免許証による本人確認を試みましたが、システム側のエラーで2回連続して失敗し、その日のうちに永久停止の通知メールが届きました。翌日、当事務所にご相談いただき、「個人アカウントでも成功事例はあるのか」「登録メールアドレスがはっきりしないが対応できるのか」というご質問にお答えしたうえで、正式にご依頼いただきました。
「ルールに違反している別のアカウントに関連付けられている」とはどのような停止理由か
Metaの「アカウントの信頼性」に関するコミュニティ規定は、本来、偽アカウントの大量作成やなりすまし、停止されたアカウントの作り直しといった行為を取り締まるための条項です。「別のアカウントに関連付けられている」という通知は、ご本人の投稿内容ではなく、どこかの違反アカウントとの「つながり」を根拠にアカウント全体を停止するものです。
この停止理由の厄介な点は、どのアカウントと、どのような根拠で関連付けられたのかが一切示されないことです。同一の端末情報・IPアドレス・登録情報など、機械的に検出できるシグナルをもとに自動判定されていると考えられ、「関連付けられた側」の本人には自分で直せる対象が見当たりません。求められるのは本人確認だけで、それに失敗すれば永久停止に進んでしまいます。
一方でMeta社は、透明性センターの中で「Metaのポリシー施行措置は、違反の重大度、アカウントでの違反の履歴、コミュニティにもたらすリスクや危害に比例するように設計されています」と明記し、ストライク制による段階的な施行が原則である旨を示しています。本件では、事前の投稿削除、警告表示、機能制限、ストライクの積み重ねといった段階的な措置は一切なく、突然、同じタイミングで3アカウントが一斉に停止されました。Meta社自身が公表している段階的施行の原則・比例性の原則に沿っていない処分であったと言わざるを得ません。
本人確認のシステムエラーと、異議申立て中の永久停止
本件で特徴的だったのは、ご依頼人が指示どおりに手続きを進めたにもかかわらず、結果が悪化していった点です。
1つ目のアカウントでは、免許証のアップロード段階でシステム側のエラーが2回連続して発生し、「本人確認に失敗した」ものとして永久停止に進みました。正当な本人確認書類を用意し、手順にも従っていたのですから、本人確認の機会を実質的に奪われたまま最も重い処分に至ったことになります。
2つ目・3つ目のアカウントについては、当事務所から「異議申立ては最後まで進めて問題ない」とご案内し、結果として2つ目は永久停止、3つ目は審査中という状態になりましたが、いずれも投稿内容に関する具体的な違反箇所の指摘は最後までありませんでした。この経緯自体が「個別の内容を審査せず、関連付けの判定だけで処分が進んでいる」ことを示す材料となり、書面にも反映しています。
また、異議申立ての際、認証コードの受信先として登録メールアドレスとは異なるアドレスを入力していたという事情もありました。登録メールアドレス宛の認証コードが受信できなかったための代替措置でしたが、Meta社側から見れば「登録情報と一致しない本人確認」と映り、停止の一因になった可能性は否定できません。当事務所では、この点を隠さず書面の中で自主的に開示し、事情を説明する方針をとりました。
見逃せなかった手がかり:他県からの不審なログイン試行の通知
ご相談の際、ご依頼人は停止の約2か月半前にアプリに表示された「不審なログイン試行がブロックされました。何者かが、あなたのパスワードを利用してあなたのアカウントにログインを試みました」という通知画面を送ってくださいました。生活拠点とはまったく異なる都道府県からAndroid端末でのログインが試みられ、Meta社のセキュリティシステムがそれをブロックしたという内容です。
Meta社の「アカウントの信頼性」ポリシーには、違反コンテンツとのつながりのようなシグナルをもとに措置を講じる旨の記載があります。仮に第三者が不正アクセスの試行を続け、その過程で違反コンテンツへの反応が生じていたとすれば、本来は第三者に帰責されるべきシグナルが、正当な保有者であるご依頼人のアカウントに誤って帰責された可能性があります。責任を負うべきは不正アクセスを試みた第三者であって、被害を受けた側のご本人に処分が及ぶのは正当性を欠きます。書面では、通知画面を根拠にこの点を丁寧に整理してお伝えしました。
不審なログイン試行、パスワード変更、新しい端末からのログインといった通知は、後日の停止措置と結び付く重要な証拠になります。アプリ内の通知は時間の経過で消えることがあるため、気付いた時点でスクリーンショットを残すことをおすすめします。
米国内からの書留郵便による異議申立書の送付
当事務所では、事実関係と、Meta社の規定・公表方針に照らした論点を整理した「アカウント停止解除申請書」を作成し、これを英訳のうえ、米国のMeta社(Community Operations)宛に、米国内から配達記録の残る書留郵便で発送しました。
Instagram・Facebookの停止解除に関する書面は、日本法人宛に送付しても、代理人弁護士から米国法人宛に送付するよう連絡があるのが実情です。当事務所では最初から米国のMeta社宛のみに送付する運用としています。また、日本からの国際郵便ではなく、米国内の郵便として現地から書留郵便で発送することで、追跡番号と配達記録が現地基準で残ります。本件では発送から約5日でメンロパークのMeta社宛に配達が完了し、受領を示す電子配達記録(PDF)を取得しました。なお、日本の内容証明郵便は国内専用の制度のため、米国宛には利用できません。
3つのアカウントは1通の書面の中で「対象アカウント情報」として一覧化し、それぞれの状態(永久停止/審査中)と、共通する停止理由・共通する反論を整理しました。書面で整理してお伝えしたのは、主に次の点です。
・通知された理由が抽象的で、自身の投稿に具体的な違反箇所の指摘が一切ないこと
・3アカウントとも個人利用で、投稿内容に規定違反が存在しないこと
・Meta社自身が公表する段階的施行・比例性の原則に反すること
・同一時刻の一斉停止は、自動検知による「関連アカウント」一括処理の誤検知の蓋然性が高いこと
・他県からの不審なログイン試行の記録と、第三者の行為が帰責された可能性
・1つ目の永久停止は本人確認のシステムエラーが原因で、違反認定に基づく処分ではないこと
・認証コードの受信先に登録と異なるメールアドレスを使った事情を自主的に開示したこと
・自動判定によらない人的審査の再実施を求め、二段階認証の設定など今後の対策を表明したこと
なお、当事務所が行うのは、お客様ご本人の主張を整理した書類(アカウント停止解除申請書・書留郵便物など)の作成・発送の代行です。行政書士はMeta社との交渉・代理を行うことはできません。また、書面の送付により必ずアカウントが復活することをお約束するものではなく、解除を保証するものではありません。
今回の結果:発送から約2か月で3アカウントすべてが復活
発送手続きの完了時点で、当事務所からは「最近の傾向では、1か月から2か月ほどでMeta社からご依頼人宛にメールまたは書簡が届き、その指示に従うことで解除されることが多い」という見通しをお伝えしていました。その後、発送から約2か月が経過した9月初旬、ご依頼人より「9月1日付で全アカウントが返ってきました」とのご連絡をいただきました。永久停止となっていた2つのアカウントと、審査中となっていた1つのアカウントの3つすべてが復旧したかたちです。
本人確認のエラーや異議申立ての完了によってかえって永久停止が増えていった経緯を踏まえると、書面の到達をきっかけに人的な再審査が行われ、復旧に至ったことは一つの重要な成果と受け止めています。なお、復旧に至るまでの期間や結果は個々のケースによって大きく異なり、必ず同じ結果・同じ期間になるとは限りません。
同じケースで停止された際の対応の考え方
・「別のアカウントに関連付けられている」通知は、停止時刻とあわせてスクリーンショットで保全する(同時刻の一斉停止という事実自体が、人的審査を経ていないことを示す材料になります)
・本人確認は落ち着いて行い、エラーが出たらエラー画面も残す
・不審なログイン・パスワード変更などのセキュリティ通知を消さない
・異議申立てでは登録情報と一致する連絡先を使う。使えなかった場合は経緯を記録し、書面で正直に説明する
・関連する複数アカウントは、1通の書面で一括して申し立てる
・同じ内容の異議申立てを短期間に何度も繰り返さない。動かない場合は、事実関係を書面で整理し外部から届ける別ルートを検討する
ご相談について
Instagram・FacebookをはじめとするSNSの凍結・停止でお困りの方は、ココナラの出品サービスよりお気軽にご相談ください。個人アカウントの解除実績も多数ございます。停止画面・通知メール・過去のセキュリティ通知のスクリーンショットをもとに、対応の可否や進め方を確認のうえでご案内いたします。
※本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の法的助言を構成するものではありません。掲載した事例は実際のご相談をもとに、個人が特定されないよう内容を一般化して再構成したものです。結果は個々の状況により異なります。当事務所は書類の作成・発送代行を行うものであり、相手方との交渉・代理は行いません。