Claude Desktop + MCPサーバー19台運用 現場で得た5つの教訓
記事
IT・テクノロジー
Anthropicが提唱したModel Context Protocol(MCP)を本格運用し始めて10ヶ月。気付けば自社運用するMCPサーバーは19台、実装ツール数は約300個まで膨らんでいた。
「思いつきで増やしていたら気付けば19台になっていた」というのが正直なところで、増やす過程で何度もハマった。今回は、19台規模で運用してきて初めて見えてきた「もう一度ゼロから始めるなら絶対にこうする」という5つの教訓を共有したい。
【教訓1】MCPサーバーは「業務領域」で分けない、「データソース」で分ける
最初に作ったMCPは「EC運営MCP」という巨大な1台だった。Amazon・Yahoo!・Qoo10・NETSEAの全モール処理を1つに詰め込んだ。
これが地獄の始まりだった。
各モールのAPI仕様は全く違う(Yahoo!ショッピングはXML、Qoo10は古いSOAP風、AmazonはOAuth+RESTでカテゴリーで挙動が違う)。1つのサーバーに混ぜると、Yahoo!のレスポンス形式変更があるたびにEC運営MCP全体をデバッグしなければならない。
結局、amazon-sp-api、yahoo-shopping-api、qoo10-api、netsea-apiの4台に分割した。データソース1つにつきMCPサーバー1台が運用上の最適解になる。
【教訓2】CLAUDE.md に「絶対に書いてはいけないこと」がある
Claude DesktopやClaude Codeで使うCLAUDE.mdには、つい全部書きたくなる。社員情報・取引先情報・APIキー・パスワード…。
でも公開GitHubにpushしたり、AIアシスタントとの会話履歴を残すリスクを考えると、CLAUDE.mdに書いてはいけない情報があることに気付いた。
具体的には:
・API Key、Refresh Token等の認証情報 → .envまたはOS Keychainへ
・取引先の固有名詞 → ぼかして書くか、ナレッジベース別建て
・顧客の個人情報 → 絶対NG
・社内の機密プロジェクト名 → 別ファイル管理
CLAUDE.mdは「会社案内パンフレット」感覚で書く。誰に読まれてもいい内容だけ。
【教訓3】MCPツールは「読み取り系」と「書き込み系」を意図的に分ける
Anthropic公式のCowork(旧Claude Code)はツール呼び出し時にユーザー承認を求めるが、書き込み系ツールが暴走したときの被害は読み取り系の何倍も大きい。
例えば「商品在庫を全件0にする」というオペレーションが事故で発火すると、即時に売上停止+顧客クレームに直結する。
我々は段階的にこういう運用ルールを敷いた:
・読み取り系ツール:自由に呼び出してOK
・更新系ツール:プロンプト先頭で--dry-runモード強制、最後に明示的に--commitフラグ
・削除系ツール:MCPサーバーから「削除ツール」自体を物理的に外す
ツールの命名にも気を配る。amazon_sp_api_update_listingではなくamazon_sp_api_update_listing_DANGEROUSと命名するだけで、Claudeも「これは慎重に呼び出すべきツール」と認識してくれる。
【教訓4】MCPの起動失敗ログは Claude Desktop の隠しフォルダに眠っている
これは技術ハマりポイント。MCPサーバーの起動に失敗してClaude Desktopで「MCPツールが使えない」状態になった時、原因がわからず1時間以上溶かしたことが何度もある。
実はClaude Desktopのlogsフォルダに、MCPサーバーの起動失敗ログが時系列で残っている。
特に「Claude Desktopを再起動してもツールが出てこない」場合、9割は以下のいずれか:
・Pythonパス間違い(仮想環境の絶対パスでなく「python」だけになっている)
・claude_desktop_config.jsonのJSON構文エラー
・依存パッケージ未インストール
【教訓5】MCPサーバーは増やすほど Claudeの判断力 が落ちる
19台運用してみて気付いた逆説的な事実:MCPサーバーを増やせば増やすほど、Claudeが「どのツールを使えばいいか」を迷い、回答精度が落ちる。
300ツールある状態で「Yahoo!の今日の売上を教えて」と聞くと、たまにamazon-sp-apiの売上ツールを呼び出してしまう。ツール名のキーワード被りで誤認識する。
対策として:
・ツール説明(description)に明確な「使うべき場面」を書く
・ツール名は冗長でも領域を明示(get_salesではなくyahoo_get_today_sales)
・必要なMCPだけClaude Desktopに登録
【まとめ】
MCPは魔法のツールだが、19台規模で運用して初めて運用設計の重要性に気付いた。これからMCPを始める方には、特に教訓1(データソースで分ける)と教訓5(増やしすぎない)を強くおすすめしたい。
弊社では、自社運用してきたMCP実装ノウハウをそのままお客様の業務改善にお届けしています。「自社にもMCP導入したいけど、設計から運用まで自分で組むのは厳しい」という方は、ココナラのDMでお気軽にご相談ください。