昨晩の振り返り
注目されたアメリカ11月の雇用統計は、雇用者数が前月比+6.4万人と予想の+5万人を上回った。しかし10月分の雇用者数が10.5万人だったことも明らかになり、ドルを買い進めるまでには至っていない。
10月分の雇用については、政府職員の早期退職プログラムへの応募者が正式に外れたことが影響している。それらを除くと民間での雇用者数は5.7万人程度の増加だったと解釈でき、材料的にはドル買い要因となる。
一方、失業率は前回の4.4%から4.6%へ悪化し、平均時給は前月比+0.1%と低調な伸びにとどまった。全体では強弱が入り混じる結果となり、ドルは方向感を欠いたまま朝方を迎えている。
また昨晩は小売売上高やPMIも公表された。小売売上高では自動車の消費が落ちたものの全体での底堅さは示されている。ただしインフレ率を考慮すると力強さは感じられず、その後にPMIの鈍化も重なってドルの上値の重さが目立った。
12月18日10時30分時点のドル円は154円60銭付近を推移し、下落基調がやや感じられる動きとなっている。
今夜の注目ポイント
今夜は重立った経済指標がなく、昨晩の雇用統計や小売を悲観視したドル安トレンドに沿う展開が予想される。
住宅ローン申請件数
唯一公表される経済指標はMBA(全米抵当貸付銀行協会)の住宅ローン申請件数。住宅価格が高止まりする現状において、購入意欲は住宅ローン金利の推移に左右されがちだ。
アメリカでは景気の過熱が加速しやすいため、変動金利よりも固定金利が好まれる傾向にある。直近の30年固定住宅ローン金利は6.33%と、年初の7%台から順調に下落している。住宅ローンの申請件数が増加すればドル買い材料となる。住宅購入には家具や家電の購入、DIY材料、引っ越し業者の利用なども伴い、景気拡大が高金利やインフレ率の維持につながるためだ。
ただし住宅需要の話題は雇用や物価と比較するとフォーカスされにくい。昨晩に雇用統計が出たばかりで、明日には消費者物価指数(CPI)も控えるため、過剰な期待は禁物。前週比で±10%を超えるような大幅変動があれば別だが、基本は住宅需要の方向感を探る程度に見ておきたい。
要人発言
22時15分:ウォラーFRB理事の講演
次期FRB議長候補に名前が挙がっている人物。第一次トランプ政権時に民主党の猛烈な反対を押し切って就任した経緯があり、発言には政府の方針に沿った金融緩和路線が年初から感じられる。
直近の発言では「労働市場は依然として弱く失速寸前の状態」としており、関税によるインフレの影響は一時的とも述べている。また「雇用の増加は2つの業種に限った話で、全体としては良い兆候ではない」との指摘も出している。
昨晩の比較的良好な雇用統計に対し、来年早期の追加利下げを主張してくるか否かに注目。利下げを推奨する際はそのロジックに無理が生じていないかを注視し、政府への忖度が見えるなら、発言で売られたドルはむしろ買い場になるかもしれない。
26時30分:ボスティック・アトランタ連銀総裁の発言
来年2月末で退任の意向を示している。金融緩和・引き締めのいずれにも非常に慎重な姿勢を持つ人物だが、その意見は曖昧ではなくはっきりとしたものだ。退任を控えているだけに、政府への忖度なしの率直な発言が出ると思われる。
すでに今朝の段階でアトランタ連銀の論文として「前回のFOMC時点の金融政策を維持する方が望ましかった」と発しており、今夜の発言もドル買い材料に働きそうだ。来年1月の金利予想の変化を気にしておきたい。
明日の日銀会合について
明日12月19日は日銀による金融政策決定会合の初日。すでに0.25%の据え置きは織り込み済みとされるが、政策金利の発表を前に一部の据え置き派が土壇場で円買いに動く可能性もある。そのような動きが断続的に出ることでのじりじりとしたドル円の下落には警戒が必要だ。
材料不足の状況で発生する一方向の動きには、無理に逆らわない姿勢を保っておきたい。
本日のサポート&レジスタンス
レベル価格第2レジスタンス155円75銭第1レジスタンス155円24銭現在値154円60銭付近第1サポート154円31銭第2サポート153円89銭
全体的なレンジの切り下がりがムードを重くしている。今月中に何度も試した155円割れを終わり値ベースで達成したことが影響した様子だ。
第1サポートの154円31銭を割れると月内の安値更新につながる。その下に控える第2サポートの153円89銭は単なる通過点でしかないかもしれない。
反対に上昇する際は、第1レジスタンスが昨日の高値より下に位置しており、そもそもの上げにくさがある。朝方に試した若干の戻りで今日の上昇を終えた可能性すらある。
まとめ
このような状況ほど期待を先行させず、トレンドに沿った逆らわないトレードを重視していきたい。