プロはレシピをどう作っているのか

プロはレシピをどう作っているのか

記事
コラム
お菓子のレシピって、どうやって作るんだろう。


何もないところから材料と分量を思いついて、いきなり完成形を作っている。

そんなイメージを持つ人もいるかもしれません。


実際は、かなり地道です。


前回、「お菓子作りは理系か、感覚か」という話を書きましたが、

結論としては、どちらも必要。


そして、その「理屈と感覚」をかなり使うのが、レシピを作るときです。


まず「何を作りたいか」を決める


例えば、マフィンを作るとします。

でも、「マフィンを作る」だけではレシピは決まりません。

ふわっと軽くしたいのか。
しっとりさせたいのか。
むっちりさせたいのか。
ほろっと崩れるようにしたいのか。


同じマフィンでも、目指す食感によって配合は変わります。

さらに、

焼きたてを食べてほしいのか。
翌日販売するのか。
冷蔵するのか。
持ち歩く商品なのか。


こうした条件でも変わります。

なので私は、材料を考える前にまず、

**「最終的にどういうお菓子にしたいのか」**

を決めます。


次に、ベースになる配合を考える



完全なゼロから数字を決めることは、実はそれほど多くありません。

これまで作ってきた配合や、基本的な製法をベースにして考えます。


そこから、

「もう少ししっとりさせたい」
「口溶けを軽くしたい」
「この素材をもっと感じさせたい」


と調整していきます。

例えば、砂糖を変える。

油脂の種類や量を変える。

卵や水分を調整する。

粉の種類を変える。


それぞれの材料には、甘くする、香りをつける以外にも役割があります。

だから一つ動かすと、別の部分にも影響が出ます。

ここはかなり「理系」っぽいところです。



味の組み合わせは、少し感覚的


一方で、

「この素材と、この素材を合わせたら面白そう」

という部分は、経験や感覚から始まることも多いです。


食べたことのある料理だったり、
季節だったり、
香りだったり、
色だったり。


全然違うところからアイデアが出ることもあります。

ただ、思いついた組み合わせをそのまま全部入れるわけではありません。

甘い。
酸っぱい。
苦い。
香ばしい。
塩味がある。

それぞれがどう作用するのかを考えて、足したり引いたりします。


レシピを作るというより、

**味を整理していく**

という感覚に近いかもしれません。



一回で完成することは、ほぼない


試作してみると、

「思ったより膨らまない」
「香りが弱い」
「翌日になるとパサつく」
「一個食べきると重い」


なんてことは普通にあります。


そこで大切なのが、

一度に全部変えないこと。


原因が粉なのか、水分量なのか、油脂なのか。


いくつも同時に変えてしまうと、何が良くて何が悪かったのか分からなくなります。


一つ変える。
焼く。
食べる。
考える。


また少し変える。

レシピ開発は、この繰り返しです。
科学の実験と同じですね。笑



数字だけでは決められない


ここまで書くと、レシピ作りはかなり計算っぽく見えるかもしれません。

でも最後は、やっぱり食べます。


数字上はきれいな配合でも、美味しくなければ意味がない。

逆に、理屈では少し不思議でも、食べたときにすごく良ければ残すこともあります。


だから私は、

理屈で組み立てて、最後は感覚で決める。


というのが、レシピ作りに近いと思っています。


長くお菓子を作っていると、その「感覚」の中にも経験が蓄積されていきます。


なんとなく、こうした方が良さそう。


そう感じることにも、実は今まで作ってきた何百、何千というお菓子の経験が隠れているのかもしれません。


レシピは、材料と数字を並べただけのものではありません。

「こういうお菓子を作りたい」

というところから始まって、

考えて、作って、食べて、また考える。

その繰り返しの結果が、一つのレシピになっていきます。

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