vs反抗期息子⑪

vs反抗期息子⑪

記事
コラム
〜中学生になった愛息子との闘いの記録〜⑪

本当に欲しい漢方薬【十味敗毒湯】を処方してもらえるのだろうか...。
内心、不安でいっぱいになりながらも息子と一緒に
教えてもらった病院へ向かった。
病院は住宅街にある内科の個人病院だった。

初めて受診するうえに、内科の先生への相談がニキビ...。
しかもこちらから処方してもらいたい薬を言うなんて...。
正直、どんな反応をされるだろうかと怖かった(T_T)
でも、会社の同僚の言葉:「あの先生なら出して(処方して)くれるよ」を信じた。
いや、もう信じるしかなかった。

まず、受付けで事情を説明した。
予想通りの反応だった...。
「えっ?...」
でも、受付けの人や看護師さんはとても優しく、
私の思いを一緒に受けとめてくれた。

そして、私達の順番が来て診察室へ通された。

そこには、バック・トゥ・ザ・フューチャーのドクにそっくりな
先生が座っていた。
会社の同僚から薬の事を聞いたこと、先生ならば処方してくれるだろうと勧められて来ていることなど、ざっとだったが事情を説明した。
先生は【十味敗毒湯】のことをあまり知らないようだったが、WEBで効果効能や飲み方等を調べてくださり処方してもらえることになった。
私は一先ずホッとした。
この時点まで、マスクをしている息子のニキビを一度も見ようとはされなかったため、専門外だとこんなもんなんだなぁ〜なんて、私はちょっと拍子抜けしていた。

だが、この先生の凄いところはここからだった。
息子へ一言。

「学校楽しい?」
「...。」無言の息子...。
「勉強は面白い?」
「まぁ...。」
「部活は何かやってるの?」
「はい、吹奏楽です。」
「へ〜!すごいじゃないか!楽器は何?」
「クラリネットです。」
「クラリネット良いよね〜!僕の知り合いの子がこの前の大会で金賞取っててね、すごく頑張ってたよ〜。部活は楽しい?」
「はい。」
「おぉ〜!それは良いことだ!何か一つでも楽しいって思えることがあるのは、最高なことだよ。他に何か好きなこととかあるのかい?」
「ゲームが好きです。」
「わぁ〜そりゃ〜良い!夜遅くまでやってたりするんじゃないのかい?」
「はい、まぁ。(笑)」

マスク越しにでもわかるほど不機嫌そうだった息子が、
先生と話しているうちにだんだんと笑顔になっていってるのがわかった。

「何度注意しても、いつも夜遅くまでゲームをしていて、全然言うことを聞いてくれないんですよね...。」と、私が伝えると

「それが中学生ですよ、お母さん。これが普通です!中学生らしいんです。」

先生のこの一言に、すごく驚いた。
私はてっきり、私の子育てを注意されると思った。
もしくは、夜ふかしもニキビの原因の一つなんだよ、などと言って
息子へ注意してくれるのかもと思った。
でもどちらも違っていた。

そのドクに似た先生は、私達親子のことをただただ受けとめて
くれているように感じた。

それから先生は突然こんなことを話し始めた...。
「学校に行きたくないなら無理に行かなくていいんだよ!
ぼくもね、学校は嫌で嫌でたまらなかったし、全然行かなかったよ。
自分の嫌だっていう気持ちをちゃんと表現できてる君は本当に素晴らしいよ!世の中にはね、嫌なことを嫌だって言えずに一番やっちゃいけない方法で
終わらせてしまう子もいるんだよ。
だからね、君はちゃんと自分の気持ちを正直に言うことができて
本当に偉いよ!」

息子の不登校のことは一言も言わなかったのに、どうしてわかったんだろう...。
先生は私達親子から何かを察知したかのようだった。

私は、息子のことを肯定してもらえたことが嬉しかった。
いや、多分...自分の子育てを肯定してもらえたような気がして
嬉しかったのだ。
私はいつの間にか涙が溢れていた。
どうにも止まらなくなってしまうほどだった。
途中、通り過ぎていった看護師さんはびっくりしていた。
そのくらい、私のマスクはびっしょり濡れてしまっていた。

待合室に戻った時、
他の患者さんも私を見てとても驚いた。
だって、ここはただの内科ですもん...。
そりゃ誰だってそんな反応をするわよね...。
私は心の中でそんなことを思いながら椅子に座った...。

それから、私達親子は3ヶ月ほどその病院に通い
漢方を処方してもらった。
飲んでいた間は良くなったり悪化したりを繰り返していた...。
結局、処方してもらっていた漢方の効果はあまり感じられず
いつの間にかその病院には通わなくなってしまった。
ニキビは相変わらず出来ていたが、でも不思議と、ニキビに対して
以前ほど嫌気を感じなくなっていた。

あのドクにそっくりな先生はきっと最初からわかっていたに違いない。
私達親子に一番必要なのは、にきびに効く薬なんかじゃなくて
今のままで大丈夫だって存在を肯定することだったんだって。

こんな素敵な先生と出会えたことを私は一生忘れないと思う。

















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