【連載小説】第68話 嵐の前夜

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それからしばらくして、
和美ちゃんから一本の電話があった。

突然銀座を去った理由は、
誰も想像していなかったものだった。

恋人との別れ。

やけになって切った長い黒髪。

そして思い切った変身。

だがそれが運悪く環ママの逆鱗に触れた。

銀座では時として、
たった一つの選択が人生を変える。

和美ちゃんは誰にも本当のことを言えないまま、
大阪へ去っていった。

人生の流れは、
時として残酷なほど急に向きを変える。

銀座の夜も同じだった。

昨日まで普通だった景色が、
今日にはまったく違う顔を見せる。

テレビで見た有名人が突然現れることもあった。

新聞を賑わせる人物と
昨日まで笑いながら酒を飲んでいたこともある。

銀座とはそういう街だった。

表舞台と裏舞台が
同じ場所に存在している。

そんなある日、
礼子さんという美しい女性が入店した。

近寄り難いほどの美貌。

多くのお客様を抱える売上のお姉さん。

だがどこか影があった。

その礼子さんには、
狭間さんという常連客がいた。

いつも大人数で来店し、
お店にとってはありがたい上客だった。

しかし美月は苦手だった。

理由は説明できない。

ただ本能が警戒していた。

そして礼子さんは、
ある日突然姿を消した。

誰にも理由を告げないまま。

だが狭間さんだけは残った。

まるで何事もなかったかのように。

その夜だった。

銀座に来て初めて、

本当の恐怖を知ることになる。

この日から数週間後、決戦の火蓋は切って落とされた。
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