こんばんは!
社会派FPのコウダイです。
今回は、離婚後の共同親権について取り上げる番外編の第4回です。
今回のテーマは、少し聞き慣れない言葉、
「先取特権(さきどりとっけん)」
です。
「先取特権って何?」
と思われた方も多いのではないでしょうか。
僕も昨日まで知りませんでした(笑)
実はこの制度、2026年4月1日から始まった離婚後の養育費に関するルールの中でも、お金に関わる重要な変更なんです。
今回は、できるだけ簡単に説明してみたいと思います。
■ そもそも「先取特権」って?
一言でいうと、
養育費を受け取る権利を、これまでより強く守るための仕組み
です。
これまでは、離婚した父母の間で
「毎月5万円の養育費を支払います」
と約束していたとしても、実際に支払われなくなった場合、相手の財産を差し押さえるためには、原則として公正証書や調停調書、審判書などの「債務名義」が必要でした。
つまり、
「約束はしているけど、払ってくれない」
こういう場合に、実際にお金を回収するまでには、さらに手続きが必要になることがありました。
非常に面倒くさいですね!
今回の改正では、養育費について**「先取特権」**が付与されることになりました。
■ 何が変わったの?
今回の大きなポイントは、
一定額の養育費については、債務名義がなくても差押えの申立てができる
ようになったことです。
例えば、
「毎月5万円の養育費を支払う」
という取り決めを父母の間で文書にしていたとします。
ところが、相手が養育費を払ってくれなくなった。
このような場合、一定の条件のもとで、その取り決めを記載した文書を使って、差押えの手続きを申し立てることができるようになりました。
以前よりも、養育費を実際に受け取るためのハードルが下がったということですね。
■ 「先取特権」の金額には上限があります
ここは大事なポイントです。
先取特権が付く養育費には、上限があります。
子ども1人につき、月額8万円まで。
例えば、
子どもが1人なら → 月8万円まで
子どもが2人なら → 月16万円まで
子どもが3人なら → 月24万円まで
という仕組みです。
ただし、
「養育費は月8万円までしか請求できない」
という意味ではありません。
あくまで、先取特権によって差押えなどをしやすくなる金額に上限があるということです。
ここは少し紛らわしいので、注意したいところです。
■ そもそも「先取特権」の「先取」って?
「先取」と書いてあるので、
「何を先に取るの?」
と思いますよね。
先取特権は、簡単にいうと、
他の一般的な債権者よりも優先して弁済を受けられる権利
です。
つまり、養育費について一定の条件を満たした先取特権があることで、養育費を受け取る側の権利がより強く守られることになります。
法律の世界では少し難しい言葉ですが、
「子どもの生活に必要なお金だから、きちんと確保できるようにしよう」
という考え方が背景にあると考えると、分かりやすいかもしれません。
■ では、口約束でも大丈夫?
ここも注意が必要です。
今回の制度では、父母間の取り決めを記載した文書に基づいて差押えの手続きを申し立てる仕組みになっています。
ですので、
「口約束で毎月5万円って言っていた」
というだけではなく、
養育費について、きちんと文書に残しておくこと
が重要になります。
「言った・言わない」にならないためにも、離婚時に養育費について具体的に取り決め、その内容を残しておくことが大切ですね。
■ 2026年4月より前に決めた養育費は?
ここも今回の改正で気になるところです。
すでに養育費の取り決めをしていた場合でも、2026年4月1日以降に発生する養育費については、一定の条件のもとで先取特権の対象になります。
一方、2026年3月31日以前に発生した養育費まで、今回の先取特権がさかのぼって付くわけではありません。
このあたりは、すでに離婚して養育費を受け取っている方にとっても重要なポイントです。
■ FPとして思うこと
今回の「先取特権」について調べてみて、改めて感じたのは、
「養育費は、約束するだけではなく、実際に受け取れる仕組みまで考えておくことが大切」
ということです。
家計を考えるとき、
「毎月5万円もらえる予定」
と、
「毎月5万円が実際に家計に入ってくる」
では、まったく違います。
子どもの食費、住居費、学校にかかるお金、習い事、将来の教育費……。
子どもを育てるには、毎月さまざまなお金がかかります。
だからこそ、離婚時には、
① 養育費はいくらなのか
② いつまで支払うのか
③ どのように支払うのか
④ 支払われなかった場合はどうするのか
まで考えておくことが大切なのだと思います。
■ 今回のまとめ
今回は「先取特権」という少し難しい言葉について見てみました。
ポイントをまとめると、
・2026年4月1日から養育費に先取特権が付与された
・一定額については、債務名義がなくても差押えの申立てが可能になった
・先取特権の対象となる養育費は、子ども1人につき月8万円が上限
・養育費の取り決めは、文書に残しておくことが重要
ということです。
「先取特権」という言葉だけを見ると難しく感じますが、
子どものための養育費を、より確実に受け取れるようにするための新しい仕組み
と考えると、少し身近に感じられるのではないでしょうか。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。