Amazonでアパレル・雑貨の季節商材を自社ブランドで販売しているアキオです。
これまで2回、広告の止めどき(上限ACOSと2週ルール)と、除外キーワードの整理について書きました。今回はもう一歩踏み込んで、ACOSだけでなく在庫日数も見て止めどきを決めている話を書きます。
ACOSが不要という話ではありません。ACOSは「その広告が儲かっているか」を見る数字です。ただ、それだけだと広告が効いているのに損をする局面を拾えません。
■売れている最中に損が出ることがある
広告の調子が良い商品ほど、在庫は早く減ります。私の店で起きた順番はこうでした。
1. 広告が効いて売れる
2. 在庫が減る
3. 在庫切れになる
4. 検索順位が落ちる
5. 再入荷しても、すぐには元の順位に戻らない
痛いのは4と5です。在庫が切れている期間そのものより、そのあとの立ち上がりに時間がかかるほうが響きました。私の場合、再入荷後に元の販売ペースへ戻るまで2週間ほどかかったことがあります。もちろん、商材やカテゴリによってここは変わります。
売れている最中に広告費を足した結果、在庫切れを早めて、自分で順位を落とす。これは広告管理画面の中だけを見ていると気づきにくい種類の損です。
■在庫日数の出し方と、線の引き方
まず計算はこれだけです。
在庫日数 = 現在の在庫数 ÷ 直近7日の1日あたり販売数
問題は「何日を切ったら手を打つか」です。私は自社では30日を目安にしていますが、これは業界の基準ではなく、次の2つを足して決めた自社の数字です。
・補充のリードタイム:発注から納品されて販売可能になるまで。私の場合は中国の工場から仕入れてFBAに納品するので、ここがまとまった日数になります
・安全在庫:その間に売れ行きが想定より伸びても切らさないための余裕
リードタイムが3週間なら、在庫日数がそれを下回った時点で「発注しても間に合わない」局面に入ります。だから線はリードタイムより手前に引く必要があります。国内から短いリードタイムで補充できる方なら、30日より小さい数字で回るはずです。自分のリードタイムを知らないまま他人の閾値を借りると、この判断は機能しません。
■「止める」の前に取れる手が3つある
在庫日数が線を下回ったとき、広告を一律に止めているわけではありません。順番はこうしています。
1. 入札を下げる:露出を減らして販売ペースを落とす。順位への影響が一番小さい
2. キーワードを絞る:コンバージョン率の高い指名系だけ残し、広いキーワードを止める。在庫を「確実に売れる入口」にだけ使う
3. 価格を上げる:需要が強い商材なら、値上げで販売ペースを落としつつ利益を残せることがあります
3は在庫切れを遅らせる手として有効なことがありますが、価格を戻したときの反応が読みにくいので、私は慎重に使っています。
広告を完全に止めるのは、上の3つで間に合わないときです。止めると順位が落ちるので、それ自体にコストがあるという前提で順番を組んでいます。
■在庫処分期は「受取額」で判断する
季節商材をやっていると、シーズンを過ぎた在庫を抱える月が必ず来ます。このとき、ACOSの上限を守って広告を止めると、在庫が動かずFBAの保管料を払い続けることになります。局面によっては、ACOSが悪くても広告を回したほうが手元に残る金額が大きくなります。
そこで判断基準を「ACOS」から「1個売って手元にいくら残るか(受取額)」に切り替えます。
受取額に何を含めるかを決めておかないと、この判断はできません。仮の数字で出します(実在の商品ではありません)。
・販売価格:3,000円
・− 販売手数料(カテゴリにより変動):300円
・− FBA配送代行手数料:430円
・− 広告費(1個売るためにかかった額):400円
・= 受取額:1,870円
・(− 商品原価:800円 → 粗利 1,070円)
この例だとACOSは13.3%ですが、処分期に広告費を1個あたり800円まで積んだとすると、受取額は1,470円、粗利は670円まで落ちます。それでも在庫を持ち続けて保管料を払い、最後に廃棄するより手元に残るなら、広告を回す判断になります。
保管料は在庫量と期間で変わり、長期在庫には追加の手数料がかかります。だから「いくらまで広告費を積めるか」の答えは商品ごとに違います。先に受取額の下限を決めておくことが、迷わないためのコツです。
■切り替えは、必ず先に合意しておく
運用を人に任せている場合、この切り替えは事前の合意が要ります。ACOSが跳ね上がるので、数字だけ見ると運用が悪化したように見えるからです。
私がお客様と決めているのは次の3点です。
・何を:判断基準をACOSから受取額に切り替えること
・いつから:どの商品を、いつから対象にするか
・下限:受取額がいくらを下回ったら広告を止めるか
あとから説明すると、どれだけ正しい判断でも「勝手に広告費を使われた」という話になりかねません。逆にここを先に握っておくと、処分期の運用は一気にやりやすくなります。
■自社アカウントの数字
参考までに、私の店の通常運用期(2025年9〜10月)の広告費比率(TACOS=売上に対する広告費の比率)は12.4〜12.7%でした。この2ヶ月の実績を、2026年9月にSP-APIと広告コンソールの請求書から再集計した数字です。加工はしていません。
この数字は、上限ACOSの設定・除外キーワードの整理・在庫日数を見た入札調整が同時に動いた結果です。在庫の見方だけで出たものではありません。
■お知らせ
Amazonスポンサープロダクト広告の運用代行を、月額で承っています(新規は毎月3社まで・広告費10万円程度から・契約の縛りなし)。
見積り相談では、現在の広告費・粗利率・補充のリードタイムをうかがったうえで、上限ACOSの目安、在庫日数の線をどこに引くか、そして最初に手を付けるべき箇所をお答えします。お引き受けできる商材かどうかも、その場で正直にお伝えします。
※本記事の数字は自社アカウントの実測値です。商品名・ASIN・ストア名は非公開にしています。売上・利益を保証するものではありません。