知識は「生まれつき」or「経験」か?
こんにちは。セールスコピーライターの岩井直樹です。
この前お話したデカルトは、「我思う、ゆえに我あり」という言葉で、
すべてを疑った末に、確実な「理性」の存在を見つけました。
しかし、デカルトが「生まれつき備わった知識」があると考えたのに対し、
ある男は「いや、知識はすべて経験から生まれるのだ」と主張しました。
今回ご紹介するのは、
イギリス経験論の父とも呼ばれるジョン・ロックです。
ジョン・ロックとはどんな人?
ジョン・ロックは、17世紀後半のイギリスの人物です。
日本の歴史でいうと、江戸時代にあたります。
彼は哲学者であり、医師であり、政治思想家でもありました。
彼の思想は、後にアメリカ独立宣言やフランス人権宣言に大きな影響を与え、近代社会の基礎を築いたと言われています。
彼は、
・人間とは何か?
・知識はどこから来るのか?
という根本的な問いを、徹底した観察と経験に基づいて
解き明かそうとしました。
ロックの哲学「白紙の心(タブラ・ラサ)」
ロックは、人が生まれたばかりの時、
その心は何も書かれていない「白紙」のようなものだと考えました。
この有名な比喩は、ラテン語で「タブラ・ラサ」と呼ばれます。
彼は、「生まれつき持っている知識(生得観念)」が
あると考えたデカルトの考え方を否定し、
知識とは、私たちが五感を通して得られるすべての「経験」によって、
この白紙に少しずつ書き込まれていくものだと主張しました。
バラの赤さや香りは、実際にバラを見て、
触れて、匂いを嗅いで初めて分かる。
善悪の区別は、親や社会からの教えや、
自身の体験を通して初めて学ぶ。
ロックにとって、私たちの心は、
外の世界からの経験というインクで
満たされていく白紙のノートだったのです。
哲学は「経験」という出発点へ
ロックの哲学は、知識の源泉を「理性」から「経験」へと転換させました。
この考え方は、
「天才は生まれつき決まっている」という宿命論的な思想を否定し、
「人は誰でも、努力次第で知識を得て、成長できる」という、
非常に現代的な希望を提示するものでした。
彼の哲学は、今日の私たちが
「努力は報われる」「学ぶことに終わりはない」と
信じることの基礎を作ったと言っても過言ではありません。
ロックから学ぶ3つのヒント
ロックの哲学は、現代を生きる私たちにも大切なヒントをくれます。
彼の思考を、身近な例で見ていきましょう。
①新しい「経験」を大切にする力
本やインターネットで得た知識だけでなく、
新しい場所へ行ってみる、新しい人と話してみるなど、自ら経験を積むこと。この姿勢が、心を豊かにし、新たな学びを与えてくれます。
②失敗を「学び」として捉える力
失敗を「ダメな経験」として避けるのではなく、
「成長するための貴重な経験」として受け入れること。
転んだり、間違えたりするたびに、
あなたの白紙のノートには、新しい知恵が書き込まれていきます。
③物事を客観的に「観察」する力
感情や思い込みに流されず、事実をありのままに捉えようとすること。
ロックが自然科学を観察したように、冷静に物事を分析する姿勢は、
問題解決に役立ちます。
哲学は「成長」の物語へ
いかがでしたか?
ロックの哲学は、
私たちの心は生まれつきの才能や知識ではなく、
日々の経験によって形作られていくことを教えてくれます。
彼の思想は、外の世界への探求を、
私たち自身の成長へとつなげる物語へと発展させていきました。
さあ、次は誰の物語を紐解いていきましょうか?
【ちょっと補足】
ロックは、人間は生まれながらにして、
平等で自由な権利を持っていると主張しました。
この「自然権」という考え方は、
政府が個人の権利を保護するために存在するという
「社会契約説」へと発展し、後のアメリカ独立宣言の
「生命、自由、幸福の追求」という文章の基礎となりました。
彼の思想は、哲学だけでなく、
民主主義社会のあり方にも大きな影響を与えたのです。