論破ではなくエンタメを 『ケアの物語 フランケンシュタインからはじめる』(小川公代著、岩波新書)

論破ではなくエンタメを 『ケアの物語 フランケンシュタインからはじめる』(小川公代著、岩波新書)

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ケア、といっても福祉関係の本ではありません。
本書では「ケア」という言葉を幅広い意味で使っていて、それを私なりに解釈しますと、

「弱い立場にある人に、手を差し伸べること」

の、全般を「ケア」と言っているのだな、と思いました。
そういった意味での「ケア」という視点から、古今東西の様々な作品を読み解いていきます。

私が大好きな『フランケンシュタイン』はもちろん、『鬼滅の刃』をはじめとする最近のエンタメ、さらには記憶に新しい、松本人志さんや中居正広さんの性加害問題まで扱う。
そういった作品の紹介や、社会評論として楽しむだけでもいいのですが、本書で一貫しているのは、あくまで「ケア」を求める人々に、どう向き合うか、という問題です。

とくに私が、「そうだそうだ!」と強く共感したのが、

近年よく議論の俎上に載る「論破」は、「正義」を押しつける点で(中略)暴力性を孕む。

という点。
本当に私は、この「論破」の風潮が嫌いで、そういった類の動画も苦手。
しかし、SNSが全盛でタイパが重視される昨今、そのような(醜悪な)様相は加速するばかりで――
長いコンテクストを読み込んで、自分と立場の異なる人の意見を理解しよう、などという姿勢は薄れる一方です。

と、いう時代だからこそ、求められるのは、エンタメの力なのだな、と思いました。
例えば、本書でも触れられているポリアモリーやらゼロサム的愛やら、といった文章は、きっと多くの人にとって「は?」という感じで流されてしまう。
しかし、それが『鬼滅の刃』で宇髄天元として描かれば、あっという間に「推し」になるのだ。

他にも、本書では「ケア」を必要とする人たちの実例が多数紹介されています。
TOP画は、そんな苦しい状況に置かれた人(女性)をイメージして描いてみました。

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