【文献紹介#10】新型コロナ患者における心筋炎の病理的特徴

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こんにちはJunonです。
本日公開された研究論文(英語)の中から興味のあったものを一つ紹介します。

出典

タイトル:Pathological Evidence for SARS-CoV-2 as a Cause of Myocarditis
JACC Review Topic of the Week
著者:Rika Kawakami, Atsushi Sakamoto, Kenji Kawai, 他
雑誌:J Am Coll Cardiol.
論文公開日:2021年1月26日

どんな内容の論文か?

「SARS-CoV-2による心筋炎が心臓障害の重要なメカニズムを構成しているかを明らかにするために、SARS-CoV-2感染で死亡した16例の剖検結果を検討した。」

背景と結果

以前の疫学的データによると、SARS-CoV-2感染後、約20%の入院患者において高感度トロポニン値が上昇し、心臓障害が認められました。しかし、COVID-19患者における心筋損傷が生じるメカニズムについては、多くのことが不明なままです。
COVID-19誘発性心筋炎の発症にはいくつかのメカニズムが関与していると報告されています。心筋細胞の直接的な破壊を支持する証拠はほとんどなく、ウイルスの媒介による心筋構造への損傷と心機能障害をもたらしていると考えられています。そしてもう一つの考えは、インターロイキン、腫瘍壊死因子などを含む複数の炎症性メディエーターの放出を特徴とする免疫系の過剰活性化を介して心臓損傷が誘発されるというものです。これらの因子の循環レベルが正常な範囲を超えると、組織に損傷が生じることがあります。サイトカインストームという用語は、この状態を説明するために使用されており、重症のCOVID-19患者において報告されています。血小板、好中球、および他のタンパク質の活性化に起因する微小血管および大血管血栓は、血管閉塞および細胞死に寄与する可能性があります。
しかし、COVID-19感染によって誘発された心臓障害の正確な病態はまだ解明されていませんが、最も説得力のある証拠はサイトカインストームに関連した影響を示唆していると考えられています。

スライド

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最後に

COVID-19感染者におけるウイルス性心筋炎の診断による治療効果はまだ明確ではありません。そのため心内膜心筋生検(EMB)を日常的に使用すべきではないと考えられますが、COVID-19感染が確認された場合、炎症性細胞の血中動態の悪化を伴う劇症型心不全患者などの最悪のケースを想定しておくべきではあると思います。

おしまいです。
次の記事までお待ちください。

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