YouTubeの面白動画に、「野球のIQの低いプレー集」というものがあります。
プロ野球の珍プレーを集めた動画なのですが、なかでも、目の前の得を取ろうとした結果、
かえって損をしてしまった――そんなプレーが紹介されています。
たとえば、当時、横浜の一塁手だった佐伯貴弘選手のプレーです。
場面は満塁。横浜にとっては、点を取られるかもしれないピンチです。
そのため、内野陣はホームでランナーをアウトにするため、前進守備をしていました。
そんなとき、相手の打者が一塁ゴロを打ちます。
ここで佐伯選手は、打者走者をアウトにすることを優先し、
一塁ベースを踏みにいってしまいました。
しかし、その間に三塁ランナーがホームへ帰り、得点を許してしまいます。
実況のアナウンサーも、
「佐伯、何をやってるんだ!何のための前進守備だ!」
と、声を荒らげていました。
目の前のアウトを一つ取ることに気を取られ、本来防ぐべき得点を許してしまった。
プロらしからぬプレーとして、面白動画になっているわけです。
★ ★ ★
さて――
この動画を見ている人は、佐伯選手のプレーを笑います。
しかし、いざ「人生」ということになると、僕らも同じようなことをしていないでしょうか?
人はどうしても、自分のことを中心に考えてしまいます。
当たり前ですよね。
自分の人生ですし、自分は幸せになりたい。できることなら、自分が得をしたい。
本当に当たり前のことです。
でも、もし本当に自分が得をしたいのなら、
「自分が得をすること」ばかり考えてはいけないんです。
なぜなら、それによって、かえって大きなものを失うからです。
佐伯選手の目の前には、ゴロが転がってきました。
打者走者も一塁へ向かってきています。
一塁ベースを踏めば、すぐにアウトを一つ取れる。
ところが、その目の前のアウトに気を取られたために、
ホームへ走り込む三塁ランナーへの意識が抜けてしまった。
目先では得をしたように見えても、試合全体で見れば、損をしてしまったわけです。
★ ★ ★
もし、これが小学生なら、まだわかります。
なぜなら、小学生は視野が狭いため、目の前のボールを一生懸命追いかけますからね。
そして、アウトを取れたらガッツポーズをして喜ぶ。
でも、その間に三塁ランナーがホームへ帰り、点を入れられてしまう……。
そのあと、チームメイトから、
「お前、何やってんだよ」
と言われ、悔しくて泣く・・・
それなら、ほほえましい話です。
そうやって失敗しながら、子どもは成長していくものですからね。
でも大人なら、視野を広く、
「目の前のこと」にとらわれない生き方ができるようになっていないと、
まずいですよね・・・
人生でも同じです。
「目の前のこと」の究極は、「自分」です。
自分が得をすること、自分が認められること、
自分が優位に立つことばかりを考えていると、
少しずつ人に嫌われ、信用を失い、チャンスも遠のいていきます。
その結果、幸せになるために取ったはずの行動が、
かえって自分を幸せから遠ざけてしまうんです。
★ ★ ★
とはいえ・・・
人間は弱いものです。
大人になっても、僕たちの中には子どものような部分が残っています。
だから、「目の前の得」をつい取りたくなってしまう。
でも、そんなときこそ、少し立ち止まって考えることが大切なんです。
「これは、本当に自分のためになるのだろうか?」
「目の前の得を取ることで、もっと大切なものを失わないだろうか?」
「自分のことばかりを考えていないだろうか?」
もしかすると僕たちも、知らないうちに
「人生の、IQの低いプレー」をしているのかもしれません。
もし思い当たることがあるなら、ときには目先の得を手放してみる。人に譲ってみる。
先に与えてみる。そうしたことを実践してみる必要があるでしょう。
それらを実践することが、結局は、
自分を幸せにするための「本当の知恵」なんですね。
最後に・・・
こんなことを書きながら、ふと思い出したことがあります。
私が高校生のときに使っていた、ある参考書。
その著者の名前が、「瀬下譲(せした・ゆずる)」さんでした。
当時の私は、その名前を見て思ったんです。
「“譲る”なんていう漢字を名前にするなんて、
この人の親は何を考えているんだろう?」と。
だって、もっと「俺、すげえ」と思えるような名前のほうがいいじゃないですか。
「自分はすごい」と思えるような、強そうな漢字を使うほうが普通だろう、と。
それなのに、「譲る」とは・・・
自分のものを人に譲る。自分のチャンスを人に譲る。
そんなことばかりする子どもになってしまうじゃないか。
つまらない人生になってしまうじゃないか。
「本当に、この人の親は何を考えているんだ?本人に嫌われるぞ?」
高校生の私は、それくらいに思っていました。
でも今になって考えると、「譲」という名前は、とても奥深いですよね・・・
もしかすると、
「目先の得にとらわれない、本当の知恵を持った人になってほしい」
そんな願いを、ご両親は託したのかもしれません。
★ ★ ★
そう・・・
本当に幸せになりたいなら、目の前の得だけを取ろうとしないこと。
自分のことばかり考えるのではなく、もう少し広く、本質を見ること。
譲ったほうが、かえって大切なものを得られることもあります。
少しでも参考になればと思います。
今日も、自分の心を整え、
自分の人生を前に進めていきましょう。
~ 発達障害 ASD ADHD 自己愛 アダルトチルドレン アスペルガー~