間違った因果応報観

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かなり昔のことですが、米国のある女優が中国・四川に発生した大地震について「地震はチベット問題への対応が悪いため起きたカルマじゃないの」と発言し、ちょっとした騒ぎになったことがあります。

その後、謝罪表明が出たと思ったら、本人はCM契約しているディオールが勝手にしたことだと否定したり、ドタバタ劇を繰り広げました。

そして、この発言のために彼女が蒙った損害は60億円に上るとのことです。

まあ、この辺の数字はマスコミ得意の誇張でしょうからそのまま信用はできませんが。

いずれにしても馬鹿ですねえ。

中途半端な因果応報思想を持ち出すと禄なことがありません。

大体、地震や津波といった大災害があるとこんなことを言い出す人が必ずいます。

神または自然が人間を罰しているんだといった感じですね。

そしてカルマとの言葉が使われます。

しかし、こうした災害の犠牲者の中には当然ながら沢山の子供たちがいたはずですが、カルマとはそうした罪もない命にも働くのでしょうか。

そういえば、エイズ問題が注目されるようになった時にも、ある有名歌手(大変高齢の紫の女装シャンソン歌手です)は、性に無軌道になっている現代の人間に対する神からの警告だといった発言をしています。

これも同じことでしょう。

当初は確かに特定の性的志向を有する人たちに、エイズ患者が比較的多く見られました。

しかし、今ではたとえば輸血等でも感染することがわかっています。

また、母親の胎内にいた時から感染している赤ん坊も沢山いるんですね。

彼らも人類の罪を背負わされているのでしょうか。

そんなはずがありません。

何か大きな災害、災厄がおきるたびにカルマを持ち出すことは止めて欲しいものです。

ここまで書いてきて、昔読んだ本に書いてあった有名な投資家の言葉を思い出しました。

「相場の神様は、人を出し抜く、ずるさを主とした才能は許されないんです。

たとえば予測不能なアクシデントが起きて、世界的な株安になったとします。

それを本当に神がかり的な才覚で売り抜いて最小限のダメージで済ます。

あるいは逆にプラスに転じたとしますね。そんな人間は後にとんでもない目に遭います。

ケネディ一家がそうで、J.Fケネディの父親はプラスのまま人生を終えましたが、息子たちはご存じの通りです。

相場の神様は、負ける時は潔く負けろ、と云っているんですね」

一流の相場師やギャンブラー(相場もギャンブルのようなものですが)は往々にしてこうした考え方に陥りがちです。

ジンクスを信じ、ゲンを担ぎ、宿命論に走る。

そして、この人はケネディ一家みたいなわかりやすい例を引き合いに出しています。

しかし、これは一見もっともらしいようですが、非常に浅い痩せた因果応報の考え方です。

しかもケネディ一家の人たちに対して大変失礼でしょう。

あなたたちのおじいさんのせいであなたたちは今不幸なんです。

仕方ないから我慢してください、とでも言うんでしょうか。

よく親の因果が・・・なんてことを言いますが、人が親や祖先のしたことのために不幸にならなければいけないとするのなら、個人の努力は何の関係もないことになります。

自分の人生を自分で切り開くことができないなんてことはあってはいけないでしょう。

大体、どうしてケネディの父親だけを考えるのでしょう。

もっと昔からの沢山の祖先たちの人生すべてに遡って考えなければいけないはずです。

また、ケネディ一家の歴史もこれで終わったわけではありません。

たとえ凶弾に倒れたとしてもケネディの人生がマイナスだったと誰が言い切れるのでしょうか。

人間万事塞翁が馬という諺をお聞きになったことがあると思います。

簡単に説明すると、禍福はあざなえる縄のごとしということです。

余計わからないですか。

良いことの後には、それが原因で悪いことが起き、また、この悪いことの後には、それが原因で良いことが起きるいった感じでしょうか。

悪いこと、良いことは簡単には判断できないと言うか。

たとえば、競馬等で数十万円勝つと普通はついていると思います。

しかし、そのためにギャンブルにはまってしまい、結局は財産を失ってしまう。

幸不幸のからまりは簡単なものではありません。

普通の人間には理解できないと思ったほうがいいでしょう。

その時の不幸で落ち込むこともないし、一時の幸せで有頂天になることもない。

ずいぶん抹香臭い説教で申し訳ありませんが、真実です。

もう一度書くと、運不運を近視眼的に判断していけないということですね。

では。

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