「来週には退院できます」
病院からそう言われた瞬間、ほっとする気持ちと同時に、不安が一気に押し寄せてくることがあります。
「えっ、もう退院?」
「家で本当に大丈夫なの?」
「仕事はどうすればいいのだろう...」
親の入院中は、病院に任せられる部分もあります。
しかし、退院後は家族が現実的な対応を迫られます。
特に、仕事をしている方にとっては、「親の退院が介護と仕事の両立の始まり”になる」ことも少なくありません。
今回は、親の退院が突然決まったときに、仕事を休む前に確認しておきたいことを整理してお伝えします。
1.まず考えたいのは「退院できる」ことと「元の生活に戻れる」ことは同じではないということ
「退院」と聞くと、つい「良くなった」と思いたくなります。
もちろん、入院が長引かずに済むことは良いことです。
ただし、退院できることと、退院後にこれまでどおり生活できることは、必ずしも同じではありません。
例えば、
①一人でトイレに行けるのか
②食事は自分でできるのか
③薬の管理はできるのか
④通院はどうするのか
⑤夜間の見守りは必要なのか
こうした点によって、家族の負担は大きく変わります。
つまり、退院後の生活を具体的にイメージしないまま「とりあえず家に帰る」という形になると、家族が後から非常に苦しくなることがあります。
2.仕事を休む前に、病院へ確認したいこと
親の退院が決まったら、まず病院側に確認したいことがあります。
① 退院後の生活で、どこまで自分でできるのか
医師や看護師、リハビリ職などに、退院後の日常生活について確認しましょう。
- 歩行はどの程度できるのか
- 入浴や排せつに介助が必要か
- 食事や服薬は自力で可能か
- 認知機能に不安はないか
家族の「たぶん大丈夫だろう」という思い込みは危険です。
退院後の現実を正しく把握することが重要です。
② 医療的なケアが必要かどうか
退院後も、
- インスリン注射
- 酸素療法
- 褥瘡(床ずれ)の処置
- 服薬管理
- 食事制限や水分管理
などが必要になる場合があります。
こうした医療的対応が家族だけで可能なのか、訪問看護などの支援が必要なのかを確認しておきましょう。
③ 退院後に必要なサービスや相談先
病院には、医療ソーシャルワーカーや退院支援担当者がいる場合があります。
退院後の生活に不安がある場合は、
- 介護保険の申請
- ケアマネジャーの相談
- 地域包括支援センターへの連絡
- 訪問看護や福祉用具の利用
- 施設入所の可能性
などについて、早めに相談することが大切です。
3.家族だけで抱え込まないために整理したいこと
親の退院が決まると、「自分が何とかしなければ」と思ってしまう方は少なくありません。
しかし、ここで一人で抱え込むと、仕事にも介護にも無理が生じやすくなります。
そこで、次の3点を整理してみてください。
① 誰が何を担うのか
兄弟姉妹、配偶者、親族がいる場合、役割分担を話し合えるかを考えましょう。
- 通院の付き添い
- 買い物や食事づくり
- 金銭管理
- 緊急時の連絡対応
すべてを一人で背負う必要はありません。
② 家での生活に何が必要か
退院後の生活には、思った以上に準備が必要です。
- ベッドや手すりは必要か
- 自宅内の段差は問題ないか
- トイレや浴室は安全か
- 食事の準備はどうするか
必要に応じて、福祉用具や住宅環境の見直しも考えましょう。
③ 仕事への影響はどこまでか
数日休めば対応できるのか。
一定期間、勤務時間を調整した方がよいのか。
あるいは、今後も継続的に通院や見守りが必要になるのか。
退院直後だけでなく、その後の見通しも考えておくことが大切です。
4.「とりあえず仕事を辞める」は避けたい理由
親の退院が急に決まると、頭の中が混乱してしまい、「もう仕事を辞めるしかない」と感じることがあります。
けれども、ここで感情だけで退職を決めてしまうのは、できるだけ避けたいところです。
なぜなら、退院直後は情報が少なく、状況もまだ固まっていないからです。
実際には、
- 介護サービスを使えば家で生活できる
- 家族で役割分担すれば対応できる
- 一時的に休暇や介護休業を活用できる
- 施設や在宅支援の選択肢がある
といった可能性もあります。
つまり、「退院が決まった時点では、まだ選択肢の全体像が見えていない」ことが多いのです。
仕事を辞めるという大きな決断は、使える制度や支援、家族の協力体制を確認してからでも遅くありません。
5.私自身も、退院後の現実は想定どおりにはいかないと実感しました
私自身も、父母の介護を経験してきました。
その中で強く感じたのは、「退院できる」と言われても、その後の生活がすぐに安定するとは限らないということです。
医療的な対応が必要になったり、家族が思っていた以上に支援が必要だったり、在宅での生活が難しくなることもあります。
だからこそ、退院はゴールではなく、次の生活をどう整えるかのスタートだと考えた方がよいのだと思います。
家族としては不安になりますし、仕事との両立も簡単ではありません。
それでも、慌ててすべてを自分一人で抱え込まないことが大切です。
6.親の退院が決まったら、まずは「相談すること」から始めてください
親の退院に直面したとき、必要なのは「完璧な答え」を一人で出すことではありません。
今の状況を整理し、
- 何が分かっていて
- 何がまだ分からず
- 誰に相談すべきか
を明確にすることが大切です。
病院、地域包括支援センター、ケアマネジャー、家族、そして勤務先。
相談すべき相手は一人ではありません。
仕事をしている方ほど、「まず整理してから相談したい」と思うかもしれませんが、実際には相談しながら整理していく方が現実的です。
7.親の退院後の不安を、一緒に整理しませんか?
私は国家資格キャリアコンサルタントとして、これまで5,200人以上のキャリア形成や就労支援に携わってきました。
また、自身の家族介護の経験を通じて、退院後の不安や、仕事との両立の難しさも経験してきました。
現在、ココナラでは、親の介護と仕事の両立に悩む方へ向けた60分のビデオ相談を行っています。
例えば、次のようなご相談に対応しています。
- 親の退院が決まったが、何から始めればいいか分からない
- 仕事を休むべきか、続けられるのか判断に迷っている
- 家族とどう役割分担すればよいか悩んでいる
- 介護サービスや相談先をどう考えればよいか整理したい
退職を急いで決める前に、まずは一度、今の状況を整理してみませんか?
一人で抱え込まず、まずは相談するところから始めましょう。
【次回予告
第3回「介護休業93日をどう使えばいい?仕事と介護の両立で知っておきたいこと」
次回は、介護休業制度をどのように理解し、どのように活用すればよいのかを分かりやすく整理してお伝えします。