第46話 親にペットがいる場合の終活で見落としやすい点

第46話 親にペットがいる場合の終活で見落としやすい点

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親の終活について考える時、

預貯金。

保険。

自宅。

介護。

相続。

お墓。

こうしたことには目が向きやすいと思います。

しかし、意外に見落とされやすいものがあります。

それが、親が飼っているペットのことです。

犬や猫などのペットは、親にとって大切な家族です。

特に一人暮らしの高齢者にとっては、

毎日の話し相手。

散歩へ出るきっかけ。

生活の張り。

孤独を和らげてくれる存在。

になっていることもあります。

だから、「高齢だからペットを飼うべきではない」という単純な話ではありません。

一方で、考えておかなければならない現実があります。

もし明日、親が救急搬送されたら、その日の夜から犬や猫のご飯は誰があげるのでしょうか?

親が施設へ入ることになったら。

認知症が進んで世話ができなくなったら。

そして、ペットより先に親が亡くなったら。

その時になってから、「この子をどうしよう」と考えるのでは遅い場合があります。

ペットがいる親の終活では、「親に何かあった後、ペットの暮らしを誰が引き継ぐのか?」まで考えておく必要があります。

一番怖いのは「突然の入院」

ペットと終活というと、「飼い主が亡くなった後」を想像しがちです。

しかし、実際に先に考えておきたいのは、もっと手前の出来事です。

それが、突然の入院です。

親が救急車で運ばれ、そのまま入院する。

本人は自宅へ戻れない。

子どもは遠方に住んでいる。

すると、その日のうちに、

犬の散歩。

猫の食事。

水。

トイレ。

薬。

などの世話をする人が必要になります。

親が一人暮らしで、家にペットがいることを周囲が知らなければ、発見が遅れる可能性もあります。

だからこそ、「亡くなった後どうするか?」より先に、「今日、突然帰れなくなったらどうするか?」を考えておくことが大切です。

最初に決めたいのは「緊急時に誰が家へ入るか?」

親が入院した時、ペットの存在が分かっていても、「誰も家に入れない」
という問題が起こることがあります。

そこで確認しておきたいのが、「緊急時に誰が実家へ入れるのか?」ということです。

子ども。

親戚。

近所の信頼できる人。

友人。

ペットシッター。

など、候補を考えておきます。

そして、

合鍵はどうするのか?

連絡先はどこに残すのか?

誰にペットのことを伝えておくのか?

まで事前に考えておくことが大切です。

「何かあったら子どもが行けばいい」では、遠距離の場合すぐに対応できません。

ペットがいる家庭では、緊急時に家へ入れる人を一人以上決めておくことが重要です。

ペットの情報も「介護情報」と同じように整理する

親の医療情報を整理するように、ペットについても最低限の情報を残しておきます。

たとえば、

名前。

種類。

年齢。

性別。

かかりつけの動物病院。

持病。

飲んでいる薬。

食べているフード。

一日の食事量。

散歩の回数。

トイレの習慣。

性格。

苦手なこと。

他の犬や猫との相性。

これらです。

さらに、

ペット保険。

ワクチンなどの記録。

マイクロチップ。

登録関係の書類。

なども確認しておくと安心です。

親にとっては毎日の習慣なので、「言わなくても分かる」と思っているかもしれません。

でも、初めて世話をする子どもには分かりません。

飼い主には当たり前の情報ほど、他の人には分からないのです。

マイクロチップの情報も確認しておく

犬や猫の場合、マイクロチップが装着されていることがあります。

そこで、

マイクロチップが入っているか?

誰の情報が登録されているのか?

登録証明書はどこにあるのか?

を確認しておきます。

将来、新しい飼い主へ引き継ぐことになった場合には、所有者情報などの変更手続きが必要になることがあります。

ペットそのものだけでなく、登録情報も一緒に引き継ぐという視点を持っておくことが大切です。

「子どもが飼えばいい」は簡単ではない

親は、「私に何かあったら、この子をお願いね」と簡単に言うことがあります。

しかし、子ども側には子ども側の事情があります。

マンションがペット禁止。

家族にアレルギーがある。

すでに別のペットがいる。

犬同士の相性が悪い。

仕事で留守が多い。

大型犬を飼える環境ではない。

遠方に住んでいる。

こうした事情があります。

それでも親は、「子どもなら当然引き取ってくれる」と思っている場合があります。

だから、「誰が引き取るか?」は親の希望だけで決めてはいけません。

実際に引き取る人の同意が必要です。

第一候補だけではなく「第二候補」まで考える

たとえば、「姉が犬を引き取る」と決めていたとします。

でも、その姉自身が、

病気になる。

引っ越す。

住宅事情が変わる。

家族の反対を受ける。

ということもあります。

10年後の状況は分かりません。

だから、

第一候補。

第二候補。

できれば相談できる団体やサービスまで考えておくと安心です。

人間の介護と同じで、一人の善意だけに依存した仕組みにしないことが大切です。

ペットの寿命と親の年齢を一緒に考える

ペットを飼い始める時には、

「かわいい」

「一緒に暮らしたい」

という気持ちが先に立ちます。

しかし、高齢の親が新しくペットを迎える場合には、親の年齢とペットの寿命を一緒に考える必要があります。

たとえば親が75歳の時に、まだ若い犬や猫を迎えたとします。

10年後。

15年後。

親は何歳になっているでしょうか?

もちろん、元気に暮らしているかもしれません。

一方で、

介護が必要になっている。

施設へ入っている。

散歩が難しくなっている。

という可能性もあります。

大切なのは、「高齢者はペットを飼ってはいけない」ということではなく、自分(親)が最後まで世話できない可能性まで含めて、迎える前に考えておくことが重要です。

親の身体の変化は、ペットの生活にも影響する

親が介護状態になる前でも、ペットの世話が少しずつ難しくなることがあります。

犬の散歩時間が短くなった。

重いペットフードを買いに行けない。

猫のトイレ掃除がつらい。

動物病院まで連れていけない。

薬を正しく与えられない。

こうした変化です。

本人は、「まだ大丈夫」と言うかもしれません。

でも、ペットの側から見ると、生活環境が変化している可能性があります。

ペットを買っている親の介護準備では、「本人が生活できているか?」だけでなく、「ペットの世話まで安全に続けられるか?」という視点も必要です。

認知症が進むとペットの世話にも変化が出る

特に注意したいのが認知症です。

たとえば、

ご飯をあげたことを忘れて何度も与える。

逆に、食事を与え忘れる。

水を交換できない。

薬を飲ませたか分からなくなる。

散歩に出て帰れなくなる。

ドアや窓を開けたままにしてしまう。

動物病院への受診ができなくなる。

こうしたことが起こる可能性があります。

そして難しいのは、本人は「ちゃんと世話している」と思っている場合があることです。

親の尊厳を守りながら、ペットの健康と安全も守らなければなりません。

必要に応じて家族や支援者が世話を補う。

ペットシッターを利用する。

散歩だけ誰かにお願いする。

フードを定期配送にする。

など、親からすぐにペットを離すのではなく、支援を追加する方法も考えられます。

施設に入れば、ペットも一緒に暮らせるとは限らない

親が施設へ入ることになった時、大きな問題になります。

「この子も一緒に連れて行きたい」という希望です。

しかし、すべての高齢者施設でペットと暮らせるわけではありません。

ペット可の高齢者住宅などもありますが、

種類。

大きさ。

頭数。

飼育方法。

本人が世話できなくなった場合の対応。

など、条件は施設によって異なります。

そのため親が、「ペットと離れるくらいなら施設へ行かない」と言う可能性もあります。

ペットがいる場合の介護施設選びでは、「本人だけではなく、ペットと一緒に暮らせるか?」も早い段階から確認しておく必要があります。

ペットとの別れが、施設入所を難しくすることもある

子どもから見れば、「もう一人暮らしは危険だから施設へ」という合理的な判断でも、親にとっては違います。

長年一緒に暮らした犬や猫と離れる。

これは、単なる住み替えではありません。

大切な家族との別れです。

だから、「ペットはこっちで引き取るから大丈夫」だけでは、親が納得できないことがあります。

誰が引き取るのか?

会いに行けるのか?

写真や動画を送れるのか?

施設からオンラインで様子を見られるのか?

など、

「親とペットの関係をどう残すか?」まで考えることが大切です。

ペットにも「介護費用」もかかる可能性が...

忘れてはいけないのがお金です。

ペットを引き継ぐということは、飼育費用も引き継ぐということです。

フード。

トイレ用品。

トリミング。

ワクチン。

動物病院。

薬。

ペット保険。

高齢になれば、医療費が増える可能性もあります。

「犬は娘にお願いする」と決めても、その娘が10年間、15年間にわたり費用をすべて負担することになるかもしれません。

だからこそ、「誰が世話する?と、誰がお金を負担するか?を別々に考える」
必要もあります。

「ペットのためのお金」をどう残すかも考える

親の希望として、「自分が死んだ後も、この子にはちゃんと暮らしてほしい」という思いがあるでしょう。

その場合には、

ペットの飼育を引き継いでくれる人。

その人にどの程度の費用を託したいのか?

どのような方法で残すのか?

まで検討します。

状況によっては、遺言や信託などを活用する方法が検討されることもあります。

ただし、財産や家族構成によって適切な方法は異なります。

そのため、「ペットのためにお金を残したい」場合には、元気なうちに専門家へ相談して仕組みをつくっておくことが大切です。

単に、「このお金で犬をよろしく」という口約束だけにしておかないことです。

「かわいがってくれる人」だけで決めない

新しい飼い主候補を考える時、「この人は動物好きだから」だけで決めない方がよいでしょう。

確認したいのは、

住環境。

家族の同意。

経済的負担。

現在飼っているペットとの相性。

仕事や生活時間。

今後も継続して飼える可能性。

などです。

ペットを引き継ぐことは、一時的に預かることとは違います。

なぜならば、その命が終わるまで生活を支えることだからです。

ペットの「もしものカード」を作っておく

ペットがいる親にぜひ作ってほしいものがあります。

それが、ペットの緊急情報カードです。

難しいものではありません。

たとえば、

「自宅に犬が1匹います」

「名前は○○です」

「かかりつけ動物病院は○○です」

「緊急時は娘○○へ連絡してください」

「娘と連絡が取れない場合は○○さんへ」

といった情報を一枚にしておきます。

財布。

スマートフォン。

玄関付近。

重要書類。

など、家族で決めた場所に置いておきます。

親が外出先から救急搬送された場合でも、「自宅にペットがいる」ことが分かる可能性を高められます。

これは、ペットがいる高齢者にとって非常に実践的な終活の一つです。

今やっておきたいことは3つ

一つ目は、「今日、親が入院したら誰がペットの世話をするか?」を決めることです。

死亡後ではなく、まず24時間後を考えます。

二つ目は、ペット情報を一枚にまとめることです。

フード。

薬。

動物病院。

性格。

緊急連絡先。

登録関係。

最低限これだけでも残します。

三つ目は、親がペットの世話をできなくなった後の飼い主候補と費用を考えることです。

本人だけで決めず、実際に引き受ける可能性がある人とも話し合っておきます。

ペットの終活は「飼い主の死後」だけの話ではない

親にペットがいる場合の終活で、一番大切なこと。

それは、飼い主が亡くなった後だけを考えないことです。

その前に、

突然の入院。

身体機能の低下。

認知症。

施設入所。

があります。

そして、そのどの段階でも、

ペットは毎日、

食べる。

水を飲む。

排泄する。

散歩する。

薬を飲む。

人とのつながりを求める。

生きています。

人間の手続きが落ち着くまで、ペットは待ってくれません。

だからこそ、ペットがいる親の介護準備では、親の人生と、その親と一緒に暮らしている小さな命のその後をセットで考えておくことが必要です。

「何かあったら誰かが何とかしてくれる」

ではなく、

誰が。

いつ。

どうやって。

どの費用で。

引き継ぐのか。

そこまで決めて初めて、ペットについての終活が一歩前へ進みます。

親も安心できる。

子どもも慌てない。

そして何より、残されたペットが困らない。

ペットの終活とは、飼い主のためだけではなく、最後までその命を守るための準備なのだと思います。

第47話では、「免許返納の話を家族でどう進めるか?」というテーマで、

「危ないからもう運転しないで」

だけではうまくいかない高齢の親との話し合いについて、本人の自尊心や生活手段を守りながら、どう安全な方向へ進めればよいのかを考えていきます。

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