第44話 ひとりっ子が親介護で備えるべきこと

第44話 ひとりっ子が親介護で備えるべきこと

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ひとりっ子の方から、親の介護についてこんな声を聞くことがあります。

「兄弟がいないので、全部自分がやることになる気がする」

「親に何かあった時、相談できる家族がいない」

「仕事をしながら一人で対応できるのか不安」

「施設に入れるかどうかも、自分だけで決めることになるのでは...」

こうした不安は、とても現実的です。

兄弟姉妹がいれば必ず介護を分担できるわけではありません。

それでも、

相談できる人がいる。

意見を聞ける。

緊急時に交代できる。

という可能性はあります。

ひとりっ子の場合は、その役割が最初から限られています。

だからこそ大切なのは、「自分一人で頑張る準備」ではなく、「一人で抱えない仕組みをつくる準備」です。

ひとりっ子介護で一番重いのは「判断が集中すること」

介護というと、

食事。

排泄。

通院。

買い物。

など、身体的な支援をイメージしがちです。

しかし実際には、それ以上に負担になるのが、「判断すること」です。

在宅を続けるのか?

施設を探すのか?

どの病院にするのか?

介護サービスを増やすのか?

親の希望をどこまで優先するのか?

お金をどう使うのか?

仕事をどこまで調整するのか?

兄弟姉妹がいれば、意見が違って大変なこともあります。

一方、ひとりっ子の場合は、「意見が割れない代わりに、判断の重さがすべて自分に集まりやすい」という特徴があります。

「これで本当によかったのか?」と後から悩むこともあります。

だからこそ、判断を一人で抱えないための相談先を持っておくことが重要です。

「自分がやるしかない」と思わない

ひとりっ子の方ほど、「親のことは自分がやるしかない」と思いやすいかもしれません。

でも、介護は家族だけで行うものではありません。

介護保険サービス。

地域包括支援センター。

ケアマネジャー。

訪問介護。

デイサービス。

ショートステイ。

医療機関。

自治体の相談窓口。

こうした社会資源を使いながら支えることが前提です。

ひとりっ子だからといって、「自分が介護者にならなければならない」わけではありません。

むしろ、「家族の人数が少ないからこそ、早い段階から外部サービスを使う」という考え方が大切です。

家族の代わりになる「支援チーム」をつくる

ひとりっ子介護で特に大切なのは、「家族以外の支援者を早めにつなげておくこと」です。

たとえば、

地域包括支援センター。

かかりつけ医。

ケアマネジャー。

近所の親しい人。

親戚。

民生委員。

介護サービス事業者。

こうした人たちが、親を支えるチームになります。

もちろん、全員に介護を頼むわけではありません。

それぞれが、

健康を見る人。

介護サービスを調整する人。

日常生活を支える人。

緊急時に連絡できる人。

という役割を持ちます。

ひとりっ子の場合、

「家族を増やす」ことはできなくても、「支援者を増やす」ことはできます。


親の住んでいる地域の地域包括支援センターを知っておく

親がまだ元気でも、ぜひ調べておきたいのが地域包括支援センターです。

地域包括支援センターは、高齢者の暮らしや介護について相談できる地域の窓口です。

介護が必要になってから探すのではなく、「親の地域ではどこが担当なのか?」だけでも確認しておきます。

電話番号。

所在地。

相談時間。

をスマートフォンなどに保存しておく。

それだけでも、突然親が倒れた時の初動が変わります。

ひとりっ子の場合は、「誰に相談すればよいか分からない」という状態を避けることがとても重要です。

親の医療情報は早めに共有しておく

突然の入院で困りやすいのが、医療情報です。

かかりつけ医。

持病。

服用している薬。

アレルギー。

過去の入院歴。

緊急連絡先。

こうした情報を、可能な範囲で把握しておきます。

親が自分で説明できる間は問題ありません。

しかし、急病や認知症によって説明できなくなると、子どもが代わりに確認しなければならない場面が出てきます。

ひとりっ子の場合、その確認役も自分一人になりやすいからこそ、「何かあったら聞けばいい」ではなく、「元気なうちに分かるようにしておく」ことが大切です。

お金は「金額」より「所在」を知っておく

ひとりっ子の場合、将来的に親のお金の管理や手続きを担う可能性が高くなります。

だからといって、いきなり、「貯金はいくらあるの?」と聞く必要はありません。

まずは、

どこの銀行を使っているのか?

どこの保険会社に入っているのか?

年金関係の書類はどこにあるのか?

不動産の書類はどこにあるのか?

重要書類をどこに保管しているのか?

を知っておきます。

第32話でもお伝えしたように、「最初に必要なのは、金額より所在」です。

突然の入院や介護で、「親のお金はあるはずなのに、どこに何があるのか分からない」という状態を避けるためです。

「緊急連絡は自分だけ」にしない

ひとりっ子の場合、病院や施設からの緊急連絡先が自分一人になることがあります。

しかし、

仕事中。

出張中。

旅行中。

自分自身が病気。

ということもあり得ます。

そこで、可能であれば、

親戚。

配偶者。

信頼できる近しい人。

など、第二連絡先を考えておきます。

必ずしも介護をお願いする必要はありません。

「本人と連絡が取れない時だけ、こちらへ連絡してください」という役割でも意味があります。

「ひとりっ子だからこそ、連絡経路を一つにしない」ことが大切です。

遠距離のひとりっ子は特に「現地の人」をつくる

親と離れて暮らしている場合、さらに準備が必要です。

電車で2時間。

新幹線が必要。

飛行機が必要。

この距離では、何かあるたびにすぐ駆けつけることはできません。

そこで、

近所の親しい人。

地域包括支援センター。

ケアマネジャー。

民生委員。

訪問サービス。

など、親の近くにいる人とのつながりが重要になります。

遠距離介護では、「自分が駆けつけることより、現地で動ける人やサービスをつくること」大切です。

仕事を辞めることを最初の選択肢にしない

ひとりっ子介護で特に注意したいのが、介護離職です。

「自分しかいない」と思うと、

仕事を減らす。

配置転換を申し出る。

正社員を辞める。

といった判断を早くしてしまうことがあります。

しかし、一度仕事を辞めると、

収入。

社会保険。

将来の年金。

キャリア。

に長期的な影響が出る可能性があります。

親の介護が何年続くかも分かりません。

だから、「介護が始まった=仕事を辞める」と考えないことが大切です。

まず、

勤務先の介護支援制度。

介護休業。

介護休暇。

短時間勤務などの制度。

在宅勤務の可能性。

上司や人事への相談。

を確認します。

そして介護サービスと組み合わせて、仕事を続ける方法を探します。

「親の希望を全部かなえる」ことも背負わなくていい


親から、

「絶対に施設には入りたくない」

「最後まで家にいたい」

と言われることがあります。

ひとりっ子の場合、その希望を聞くと、「自分が何とかしなければ」と思ってしまうかもしれません。

でも、「親の希望を尊重すること」と、子どもが人生を犠牲にして全部かなえることは違います。

たとえば、

24時間の見守りが必要。

夜間にも介護が必要。

遠距離介護。

仕事を続けられない。

自分の健康も悪化している。

という状態では、親の希望を100%かなえることが現実的でない場合があります。

大切なのは、「親の希望と、支える側が続けられる現実の両方を考えること」です。

 「私しかいない」は心理的にも重い

ひとりっ子介護では、実務だけでなく精神的な負担も大きくなりやすいものです。

入院の判断。

手術の説明。

施設選び。

お金。

終末期。

いろいろな場面で、

「自分が決めてよかったのか」

と悩みます。

そんな時、相談できる人が一人いるだけでも違います。

専門職。

友人。

親戚。

配偶者。

介護経験者。

誰でも構いません。

重要なのは、「自分の中だけで答えを出さない」ことです。

介護には、唯一の正解がない判断もたくさんあります。

だからこそ、誰かに話しながら整理することに意味があります。

親の希望を「言葉」で残しておく

ひとりっ子の場合、将来判断を求められた時に、「親はどうしたかったのだろう?」と悩みやすくなります。

そこで、親が元気なうちに、

介護が必要になったらどこで暮らしたいか?

施設についてどう思っているか?

医療について何を大切にしたいか?

誰に連絡してほしいか?

などを少しずつ聞いておきます。

完璧なエンディングノートでなくても構いません。

メモでもいい。

日付を入れて残す。

それだけでも、「自分が勝手に決めた」という不安を減らすことができます。

親の支援者と「顔の見える関係」をつくる

実際に介護が始まったら、サービスを利用するだけでなく、支援者との関係も大切です。

ケアマネジャー。

訪問介護職。

デイサービス職員。

主治医。

訪問看護師。

こうした人たちに、

子どもが遠距離なのか?

仕事をしているのか?

どこまで対応できるのか?

を伝えておきます。

「何かあれば全部子どもに」ではなく、「ここまではサービスで対応し、ここからは家族へ連絡」という線引きをつくります。

ひとりっ子の場合は特に、「支援者との連携そのものが介護力」になります。

自分が倒れた時のことも考える

ひとりっ子介護で意外に忘れられやすいのが、「介護する自分に何かあった場合」です。

自分が入院したら。

出張したら。

体調を崩したら。

親の支援はどうなるのか。

介護者も人間です。

いつでも動けるとは限りません。

だから、

ショートステイ。

見守りサービス。

親戚。

緊急連絡先。

など、代替手段を考えておきます。

「私がいないと何も回らない」という介護体制をつくらないことが、自分自身を守ることにもつながります。

ひとりっ子だからこそ、早めの準備に価値がある

兄弟姉妹がいる場合には、「誰かが知っているだろう」となることがあります。

ひとりっ子の場合、その期待はできません。

だからこそ、親が元気なうちに、

情報。

相談先。

医療。

お金。

住まい。

支援者。

を少しずつ整理しておく意味があります。

突然介護が始まってから一人で全部調べるのと、事前に相談先や情報を持っているのとでは、負担が大きく違います。

ひとりっ子に必要なのは、強くなることではありません。

「準備を前倒しすること」です。

今やっておきたいことは3つ

一つ目は、親の地域の相談先を確認することです。
地域包括支援センターなど、最初に相談できる場所を調べておきます。

二つ目は、最低限の親情報を整理することです。
かかりつけ医。

薬。

利用している銀行や保険会社。

重要書類の場所。

緊急連絡先。

このあたりから始めます。

三つ目は、家族以外の支援者候補を書き出すことです。
親戚。

近所の人。

医療・介護職。

地域の相談機関。

「誰にも頼れない」と思う前に、つながれる人や制度を探しておきます。

ひとりっ子介護で大切なのは「一人でやり切ること」ではない


ひとりっ子だから、「親の介護は全部自分」そう考える必要はありません。

むしろ、最初から一人で抱えてしまえば、

仕事。

家庭。

健康。

収入。

自分の人生そのものが大きく揺らぐ可能性があります。

ひとりっ子介護で大切なのは、「一人で介護できる人」になることではありません。

相談できる人をつくる。

サービスを使う。

情報を整理する。

支援者とつながる。

仕事を続ける方法を探す。

自分が動けない時の代替手段を持つ。

こうして、「自分一人しかいない」から、「自分を中心に支援チームがある」へ変えていくことが大切です。

親の人生を守るためにも。

そして、子どもである自分の人生を守るためにも。

ひとりっ子だからこそ、介護が始まる前の準備には大きな意味があります。

第45話では、「遠距離介護になる可能性がある人の準備法」というテーマで、実家まで離れて暮らしている場合に、交通費、仕事、緊急対応、現地の支援者などをどう準備しておけばよいのかを具体的に整理していきます。

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