惑星ニビル

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小説
暗闇の中にも希望はある。
というお話。
 そんな惑星をご存知ないでしょうか。
 太陽の衛星のように月の真似事をする虚構の惑星、ニビル。
 それが私の在り方でした。
 簡単に「惑星X」とも呼ばれる事もあります。
 ですがニビルは惑星では御座いません。
 存在すらしていないのだから当然です。
 私は私の未来を全て、夢に賭けました。
 その結果が敗北です。
 夢に敗れ、限界を知ったのです。
 所詮、偽物は偽物。私は月にすらなれなかった虚構の存在。
 何も残す事は出来ず、誰の心にも残らないニビル。
 星にすらなれなかった存在。
 だから私は星を見上げる。
 今もまだ命を燃やして瞬く星を、そう在れなかった私を見つめるのです。
 夢の為なら命など惜しくは無いと思っていました。
 けれど私は貴方の様に生きれませんでした。
 激しく命を燃やす、あの紅い炎にはなれなかったのです。
 ですから、私はこの呼吸すら儘ならない海の中を死ぬ様に生き続ける事になったのでした。
 惨めったらしく最期をの刻を恐れながら安穏な日々を願うのです。
 そこは私の望んだ世界ではないというのに。
 瞬く星をこの息苦しい世界の中で溺れながら見上げるのです。
 けれど、其処に貴方が居るのなら幸せです。
 私は星になれなくても、月になれなくても、太陽になれなくても、貴方が居るのならそれで良いのです。
 誰も私を選ばなくても、それで良かったのです。
 幸せでした。幸せでした。私の人生は幸せでした。
 それなのにどうしてでしょうか。貴方は消えてしまいました。
 空に星は無く、月も無く、ただ暗闇だけが広がっているのです。
 何もかもが虚構でした。
 私の世界にある何もかもが偽物だったのです。
 それに気付いたのは既に後戻りは出来ない所にまで来てからでした。
 私がニビルなのではなく、
 この双眸に映る世界そのものがニビルだったのです。
 虚構の中に生きている。
 虚構を信じて生きてきた。
 それが私。
 それが私の人生。
 なにもない。
 とても恐ろしい事でした。
 私が今までしてきた月の真似事さえもが無意味だったのです。
 瞬く星は一つ、一つと消えてゆくのです。
 全ては無。全て無駄事。
 貴方への惜しみない愛情も尊敬も何もかも届いてさえいなかったと誰が想像出来たでしょうか。
 哀れな惑星ニビルは誰からも愛されずに消えてゆくのでしょう。
 この声は誰にも届かない。
 私が今まで振り絞って来たこの声は誰にも聞こえない。
 聞こえていたとしても、虚構を認識する事を人は出来ないのですから。
 それでもニビルはそこに在る。
 だって貴方はもうその惑星を知ってしまったのだから。
 月の衛星、虚構の星、ニビルの事を。
 何者にもなれなかった私の事を。
 だから、私は今日もここに在る。

短編です。
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