あなたの最初の記憶はいつですか?~ちょっぴり不思議な幼児期健忘~

あなたの最初の記憶はいつですか?~ちょっぴり不思議な幼児期健忘~

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 みなさんは一番幼い時の記憶っていつになりますか?

 RyU先生は幼稚園の年長?の時に、友だちとふざけていてドアで手を挟んで、担任の先生に怒られながらも優しくしてもらった記憶が最も幼い時になります。

 おおよその方の、最も早い記憶というのは3,4歳前後と言われています。

 それ以前の記憶というのは、両親に聞けば少しふわっと思い出されるかもしれませんが、自発的なエピソードの想起という部分で見ると3歳以前の記憶というのは自然と無くなっているものなんです。

 これを、専門用語では【幼児期健忘(ようじきけんぼう)】と言い、記憶力とは関係なく誰にでも起こっているものなんですね。ちなみに、3歳以前の記憶や、中には胎児の頃の記憶があると言う方もたまに居ますが珍しいケースになります。

 今回はそんな、ちょっと不思議な幼児期健忘について、甲南女子大学の森 津太子さんの論文を簡単にまとめて紹介します。

 そして、保育士というのは幼児期健忘の範疇に入ることもあるわけですが、そのことについても個人的に思うことをお伝えできればと思います。

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 それでは、本題に入りましょー! 

ちょっと不思議な【幼児期健忘】

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 今回は、人間の記憶・・・・・・その中でも最も幼い時の記憶にまつわるちょっと不思議な研究結果を紹介しようと思います。

 今回参考にさせてもらうのは、甲南女子大学人間科学科 森 津太子さんの2003年3月18日発行の論文『幼児期健忘と最初期記憶に関する研究の現在』になります。この論文は、それまでに出された論文から考察をするいわゆるメタ分析を行っています。

 メタ分析は、これまでに実験や実地調査、アンケート収集など統計学的なアプローチなど様々な観点から論じられた論文を使うので、学者の中でも信ぴょう性の高い論文と言われるようです。


 まず簡単に論文のタイトルについてですが、【最初期記憶】とは人がもつ最初の記憶=最も幼い頃の記憶のことです。幼児期健忘は、個人差がありますが、おおよそ3,4歳以前の記憶が記憶力に関係なく消失することを言います。つまり、一番幼い時の記憶=最初期記憶というものが、幼児期健忘によって記憶が消失している期間の出口ということになります。

 まずは、そんな不思議な幼児期健忘の特徴について、上記の論文を参考に簡単にまとめていきます!

幼児期健忘の不思議な5つの特徴と+α

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1.一般的な記憶力に関係なく誰もが幼い時の記憶を忘れている
2.おおよそ3,4歳前後に最初期記憶をもつ人が多い
3.ネガティブなエピソードが最初期記憶になりやすい
4.特定のテーマをもらうと思い出せる時期が早くなることもある
5.女性の方が少しだけ早い傾向がある
+α.記憶は外部から植え付けることができるかもしれない・・・

 【幼児期健忘】の興味深い特徴として以上のようなことがあるのではないかとされています。
 個々の研究については今回は言及しません。

 ちなみに、RyU先生の最初期記憶を例にしてみても、かなり当てはまっていますよね。
【1.】幼稚園の記憶以前のことは思い出せません
【2.】3,4歳前後と書きましたが5,6歳になるのも一般的とされており、RyU先生の記憶は定かではないのですが4歳か5歳(おそらく5歳)
【3.】幼稚園のドアで手を挟んで痛さや、怒られたことなどネガティブな記憶という部分も当てはまります。優しくされたこともセットなのでどちらが主たるものなのかの判断は難しいですが
【4.】以下については、僕のエピソードだけでは検証できませんが、実際にみなさんもお友達や、ママからパパに、パパからママになんて最初期記憶について聞いてみるのも面白そうです。身近な人に聞いてみて、パパよりもママの方が幼い記憶をもつケースが多ければ
【5.】についても検証できますね!

 では、簡単に上記5つの特徴と、ちょっぴり穏やかではない+αを簡単に解説します。

1.一般的な記憶力に関係なく誰もが幼い時の記憶を忘れている

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 根本的な原因に関しては未だ研究されているのですが、多くの人は自分の「最初期記憶」以前の記憶というのがありません。

 目まぐるしく成長・発達をする乳幼児期の記憶が自然と無くなるというのは不思議なことですよね。

 その原因としては諸説論じられていて、

 一説では、「これは”私”の記憶だ」と、自分が自分であるという【個の自覚】が形成される前の記憶は思い出すことが難しい。という立場であったり

 また、一説では、記憶そのものはちゃんと残っているんだけれど、検索をして取り出すことができないので、結果として最初期記憶として思いだせないのではないかと考える人もいたり、

 その他にも、一説では記憶そのもの保持することが難しいので、そもそも記憶自体されていないのでは、という立場からの見解もあります。

 この中に正解があるのかないのかも定かではありませんが、子どもの頃の記憶という誰もが経験するものにブラックボックスのような、未解明なことがおきているというのは面白いですよね。

2.おおよそ3,4歳前後に最初期記憶をもつ人が多い

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 大学生への聞き取り調査を行ったある研究では、一番初めの記憶である最初期記憶は3,4歳頃が最も多く、年齢が離れる程に減少する傾向が見られます。

 ただし、少なからず0-1歳の記憶がある人もいますし、8-9歳が最も幼いころの記憶という人もいて、どの時期が普通だとか、記憶能力に優劣があるわけではありませんので、そこはご理解いただければと思います。

 さて、この記事を読んでくれているあなたの最初の記憶はいつでしょう?

3.ネガティブなエピソードが最初期記憶になりやすい
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 一般的な記憶においても、大きなイベントと言うのは記憶に残りやすいとされています。

 結婚や何かの試験に合格したりとポジティブなイベント(出来事)もそうですし、反対に大病を患ったり、事故にあったり、リストラにあったりネガティブなイベントも記憶に残りやすいとされています。

 最初期記憶に関しては、そうした大きなイベントとして思い出されるものが多いようです。以下が大きな枠として、記憶に残りやすい、最初期記憶になりやすい傾向のあるイベントとされています。

A.個人的な経験、感情、態度に関する記憶
B.家族に関連した記憶
C.近所の人々に関連した記憶
D.学校や教会に関連した記憶
E.レクリエーション活動に関連する記憶

 こうした、イベントカテゴリーの中でも例えば、家族の死別であったり、叱られたこと、自身の病気や怪我、災害にあうなどネガティブなイベントが思い出される傾向があったということになります。

 なんとなく、感覚値としてもネガティブな記憶が強いのって分かりますよね。

4.テーマをもらうと思い出せる時期が早くなることもある
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 これは、どういう形で質問をするかによって結果に若干のばらつきが見られることを表しています。例えば、この記事の冒頭のように「あなたの最初の記憶はいつですか?」と開けた質問をした場合と比べて、

 3.で挙げたようなカテゴリーの中でも特に「弟妹の誕生」、「入院」についての質問をした時には2歳以前であっても記憶を思い出すことができるケースがあったとされています。それだけ、強烈な記憶として残るイベントと言えるかもしれません。

5.女性の方が少しだけ早い傾向がある

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 論文で取り上げられている研究の中では、女性の方が男性よりも最初期記憶の平均年齢が数か月ほど低いことが分かっています。この理由としては、男女の子育ての中で母親が子どもの記憶を共有する過程での、関わり方の違いがあるとされています。

 少し難しいですが、男の子との会話はなんとなくおおらかになりがちで、女の子との会話の中では細かい(精緻な)部分まで一緒に共有する傾向が高いのではないかと指摘されています。

+α.記憶は外部から植え付けることができるかもしれない・・・

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 幼児期健忘の理由についてはまだまだ研究される余地がありますが、ちょこっと怖い話をするとこの思い出している記憶ですらも本当の記憶であるのかは断言できない部分があります。けっこうなホラーですよね。。。苦笑

 例えばRyU先生のエピソードは強烈な痛みや、優しさに触れた記憶であると感じられますが、もしかしたら僕が覚えていないだけで親から「年長さんの時に幼稚園でドアで手を挟んで号泣して、〇〇先生に手当されたんだって」と聞かされていて、記憶として残っていないのにそうした事実があったと考えている場合があるかもしれません。

 とはいえ、5歳頃の記憶なのでそこまで親の話を鵜呑みにしているわけではないと思うのですが、これがもし「2歳の時に親戚とスキーに行ったんだよ」とか言われていたら記憶を生み出している可能性が上がりそうな気がしますよね。

 また、例えばですが性的虐待のように強烈なトラウマを伴う様な記憶であれば、自己防衛の中で記憶を消したりするのも珍しいことではありませんし、セラピーの中でカウンセラーなどの誘導や働きかけの中で記憶の改ざんが起こるケースも無いとは言えないわけです。


保育士は幼児期健忘で子ども達の記憶から消える?

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 この記事では幼児期健忘の面白い特徴を5つあげましたが、どの特徴も触りの部分しか触れていません。詳しく論文を読むともっと興味深いことも多く書かれています。また、今回の論文の中で参考論文になっている研究についても過程や実験の中身を知ることでもっと多くの驚きや発見があるのは間違いありません。もし、更に論文を読んでみて興味深いことがあればいつかシェアできたらと思います。

 さて、最後に少し保育士とこの幼児期健忘について考えてみたいと思います。ここでの保育士は、保育園や幼保連携子ども園の様に0~6歳児との関りがある保育士に限定して話をしたいと思います。

 例えばですが、RyU先生は5年間の現場経験の中で1年だけ4歳児クラスを、後は1、2歳児クラスを担任していました。一緒に濃い日々を過ごした子ども達が大人になった時、大半の子は幼児期健忘によってRyU先生達と過ごした記憶を忘れてしまっていることになります。ちょっぴり淋しい気もしますね。

 ですが、保育士というのは記憶に残ることが目的ではありません。子ども達が健康的に育ち、精神的にも安定し、長い人生を歩いていく為に必要な土台となる身体や心、ソーシャルスキルを一緒に育んでいくことが大きな目的の一つです。そうした目標に向かって、一緒に歩んでいくこと、その手助けをさせてもらえる大切な役割を保育士は担っているのです。

 一緒に生活している時には、家に帰れば保育園の話をママパパに嬉しそうに話していると聞きます。例えば保育園を辞めてしまっても、次の年になっても数カ月は「○○先生は?」と話題になることが多いです。新しい関係を築く中で、次第に話題になる頻度こそ減っていきます。ですが、ふとした時に思い出したように前担任の話が出ることも少なくないことを考えると、やはり子ども達に与える影響というのはとても大きいと痛感します。

 しかし、その大きな影響力とは相反して、子ども達の記憶からは薄れていく存在であることは変えようのない事実です。ですが、ネガティブなエピソードによっては子ども達の記憶に残ってしまう可能性もないとは言えません。昨今は、保育園に通う保護者の方や、世間の意識が変わりつつあることで保育士による性的虐待や身体的虐待などの事件が明るみになるようになってきていますね。こうしたこれまでは隠れていた問題が出てくることで、問題のある保育士を排除したり、コンプライアンスなどを含め問題のある保育園が淘汰されたりすることも必要なことだと個人的には思っています。

 記憶の話に戻るなら、ある意味で記憶に残らないことが保育士としては正解なのかもしれませんね。ネガティブなイベントや、非道な事件の中で子ども達の記憶に刻まれることはあってはなりません。

 願わくは、時折でもママパパとの思い出話の中で保育園での生活を振り返ってもらって、ひと時の記憶でも良いので、ポジティブな思い出として関わってきた子ども達の中に薄っすらとでも、ほんの一瞬でも長く記憶の中に居させてもらえたら嬉しいなと思います。最初に、格好つけましたが、やっぱりみんなに忘れられてしまうのは淋しい気もするので。。。 

子ども達の記憶から薄れても、子ども達のことは色濃く記憶していく

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 カテゴリーを【ちょこっとコラム】にしましたが、ちょこっととはなんぞや?って感じのボリュームになりましたね。あれですね、論文好きが論文について話すのに、ちょこっとで済むわけがないという。。。

 今回は、幼いころの記憶が自然と無くなってしまう【幼児期健忘】の不思議な特徴を、論文を参考にして紹介し、保育士という仕事と子ども達の記憶との関係みたいなことにも言及してみました。

 子ども達の記憶から保育士との日々の大半が薄れてしまうのは自然なことです。ですが、少し寂しい気持ちがあるのは隠せない事実です。なので、保育士の多くは子ども達の記憶に色濃く残ろうなんてことは思っていませんが、どれだけ多くの子ども達と関わっていても、みんなのことを色濃く自分の記憶の中には残しておこうと思っています。

 なので、卒園や転園をしても、たまに話題に出たりしたら顔を見せたりしてもらえると凄く保育士は喜びます。今はなかなか生活圏以外に足を運ぶのは難しい状況ですが、たまにそんなことも考えてもらえたら嬉しいです!

 また、面白い育児にまつわる論文とか本を読んだらこうして記事にすることもあるかもしれませんので、楽しみにしていてください。




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