05.【終わりから始まる】トランジション(転機)理論/ブリッジス

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本日ご紹介するのは、アメリカの心理学者・人事コンサルタントのブリッジス。彼はトランジション(転機)理論における著名な研究者の一人です。

ブリッジスは、いわゆる人生の転機(トランジション)は年齢に関わらず起こると考え、トランジションのプロセスを3段階に分けて説明する「トランジションの3段階理論」を提唱したことで有名です。

▼トランジションの3段階理論
「転機」というと多くの人が、何か新しいことが始まる時を想像するのではないでしょうか。

しかし、ブリッジスは、トランジションの始まりは「何かが終わる時」であると言います。そして、トランジションが起こるプロセスを、下記のように3段階に分類して説明しています。

第1段階:何かが終わる時
「何かが今までのようにうまくいかなくなる・何かが終わる」ときがトランジションの始まり。これまでの活動・人間関係・環境などの変化により気持ちが混乱したり、空虚感を味わったり、苦しい時期ではあるが、確実に「終わる」というステップを踏むことが大切。

第2段階:中立圏(ニュートラルゾーン)
トランジションにおいて最も重要な時期。ここを乗り越えるためには、自分自身が「内面の方向性の明確化」ができるかどうかが鍵となる。

「今までの自分」と「未来の自分」の間に挟まれて空虚感を感じる時期であるが、一人の時間・静かな場所・言語化(記録)・休息などの確保を意識して行い、改めて自分と向き合うことを大切にする。

第3段階:何かが始まる時
何かが始まる時期であり、それは計画的・偶発的に関わらず新たに訪れる。
新しいことが始まるときは、「今までの安定が崩れてしまうのではないか」という不安にかられて、内的抵抗が起こりやすい時期であるものの、あらかじめ内的抵抗が起こることを前提とした「適切な対応」と「焦らない気持ちを持つこと」が、この段階を乗り切る秘訣。

仕事という観点から「何かが終わる時」を考えると、自己都合による退職・転職など自分の意思で終わる時と、企業都合による転勤・異動などの外部要因によって強制的に終わる時があります。

外部要因によって強制的に終わる時というのは、自分で想定していなかった事象であるが故に、心理的な反発やダメージも大きいでしょう。

そういった時こそ、まずはしっかりと「終わり」を認識し、中立圏で自分と向き合い、これから訪れる好機・チャンスに主体的に備えていく姿勢をつくっていくことが大切だと提言するブリッジスの考えは、私自身大きな気づきを与えてもらいました。

▼終わりと始まりのはざまで、自分とどう向き合うか
ブリッジスは、第2段階である中立圏で、どのように向き合い乗り越えるかが重要であると述べ、次の6つのアクションを薦めています。

①少し一人になるための時間と場所をつくってみる
②中立圏の体験を記録する(日記など)
③「本当にやりたいことは何か」考える
④自叙伝をまとめてみるための一休み
⑤「もし今死んだら心残りは何か」考える
⑥自分なりの通過儀礼を数日間体験する

そして、中立圏とうまく付き合うには「状況から逃げることなく意識して自分自身と徹底的に向き合う時間を持つことである。」とブリッジスは述べています。

キャリアという視点からはずれますが、私自身、過去に大恋愛をして失恋した時に、今振り返って良かったなと思うのは、思い切って徹底的に休んで、信頼できる人に相談したりもしながら、ゆっくり自分の心と「壁打ち」したことです。

まず、涙が枯れるまで泣きまくる(変えられない過去にしがみつく)
その後、近しい人に連絡し始めて、自分以外の人に自分の思いを共有(今の自分の気持ちに向き合い、アウトプットする)
そして、一人失恋旅行しながら考えているうちに、「自分はまたいつか彼氏は欲しいけど、一人の自立した女性として、彼氏がいなくたって好きな仕事をしながら輝いていられるような人で在りたいなー」なんて考える。(未来の自分を考える)

こんな経験も、ブリッジスの理論に当てはめてみると、プロセスとしては実は理にかなっていたのか…、と慰められました。(笑)

▼まとめ
仕事においても、自分が意図せずして「何かが終わってしまう」ことって大いにあると思います。

例えば、自分は今の部署の仕事が好きで、ここでもっと働きたい!と思っていても、企業側の都合で他部署に異動が決まることもあるかもしれません。
そういった時に、異動を決めた人事を恨みつつ、次の部署でなんとなく頑張るのではなく、それを「前向きな転機」として捉えられると、自分でも予想していなかったような新たな気づきや学びが得られるのかもしれません。

大なり小なり、転機になり得ることは私たちの身にたくさん起こっているのだけれど、その出来事を自分がどう咀嚼し・向き合い・意味を見出すかは、あくまで私たち次第なのだと。

そう思うと、一日一日を、もう少しだけ噛みしめながら生きていこうと、そんな気持ちにさせてくれる、ブリッジスの教えでした。
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