変わらなかったのは、施術のせいではなかった。
こんにちは。宇宙銀行・静謐監査官のMakikoです。
今夜も、窓の外では数多の人間たちが「本当の自分」という、存在もしない迷子札を探して右往左往しています。
当監査部門には、日々膨大な「意識の負債」が報告されます。
本日は、ある一行の監査報告書を公開しましょう。
これは、あなたの物語かもしれません。
【監査対象:Aさんの場合】
48歳、会社員。彼女の帳簿は真っ赤でした。
7年間で5人のヒーラーを渡り歩き、レイキ、タロット、チャクラ、アカシック……。
注ぎ込んだ金額は、100万円の大台を突破。
彼女は言いました。「次こそは、本物の先生に出会える気がするんです」と。
監査官として申し上げましょう。
それは「次こそは、この宝くじが当たるはず」と震える手で千円札を差し出すギャンブラーの眼差しと同じです。
彼女がやっていたのは、癒やしではありません。
「自分という責任」からの、華麗なる逃走です。
意識の赤字サイクル:スピリチュアル・ホッパーの末路
なぜ、彼女は渡り歩くのか。
それは、ヒーラーの能力が足りなかったからではありません。
「自分を救う主権」を、他人の机の上に置き忘れてきたからです。
新しいヒーラーに出会うたび、彼女は束の間の「救われた感」を味わいます。
それは、ボロボロの泥舟に金ピカのペンキを塗るような作業。
数ヶ月経てば、ペンキは剥げ、また浸水が始まります。
そして彼女は言うのです。
「この人は、私の根本には届かなかった」と。
あなたはただの「観測者」である
Aさんに欠けていたのは、新しい技術ではありません。
「すべては、私が体験している単なるショーである」という冷徹な視点です。
マインド(思考)は、あなたを迷路に誘い込むのが仕事です。
「もっと癒やされなければ」
「もっと変わらなければ」
と囁き、あなたをヒーラーの元へ走らせます。
でも、思い出してください。
どんなに素晴らしい施術を受けても、
それを「見ている」静かな意識は、一ミリも動いていません。
あなたは、映画のスクリーンに映る「悲劇のヒロイン」を必死に演じている役者であり、同時に、それを特等席でポップコーンを食べながら眺めている観客なのです。
「私を治して」と叫ぶのは、役者のセリフに過ぎません。
観客であるあなたは、ただ
「ほう、次はそう来たか」
と許容していればいいのです。
監査後のAさん:何も変わらず、すべてが変わった
監査を終えたAさんは、ヒーラー巡りをやめました。
彼女の年収が増えたわけでも、運命の王子様が現れたわけでもありません。
ただ、彼女はこう言うようになりました。
「相変わらず会社の上司は嫌な奴だし、肩も凝る。
でも、『それを見ている私』は、いつも静かです」
これこそが、宇宙銀行が認める「意識の黒字化」です。
外側の出来事に主権を渡さず、ただ「在る」こと。
努力して聖者になろうとするのをやめ、自分の愚かさを酒の肴にできるようになった時、監査は完了します。
【今夜の監査アクション】
もし、あなたが「自分を変えたい」「あの人みたいになりたい」と鼻息を荒くしているのなら、今すぐこのアクションを実行してください。
「鏡の前に立ち、自分の顔を見つめながら
『この滑稽な生き物を、死ぬまで観察してやろう』
と3回つぶやき、そのまま変顔をして終了する」
変わろうとする努力は、自分への冒涜です。
あなたは、その無様なまでの人間らしさを「経験」しに来たのですから。
さて、あなたの意識の帳簿、そろそろ整理するお時間はありますか?
次回の監査でお会いしましょう。
宇宙銀行 招待制部門|静謐監査官Makiko