AIで「作れる」時代に、最後に差がつくのは業務理解だと思う

AIで「作れる」時代に、最後に差がつくのは業務理解だと思う

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IT・テクノロジー
最近、SNSを見ていると、CodexやClaude Codeなどを使って、自分に必要なシステムを作る人がかなり増えています。

会計システム、経費管理、ERP、営業管理、社内ツール、業務自動化。

Difyやn8nなどを組み合わせて、これまで外部サービスを契約しなければ実現できなかったものを、自分たちで作る事例も珍しくなくなりました。

AIの能力が上がり、参考にできるコードや技術資料も増えたことで、システムを作ること自体の難易度は、確実に下がっています。

私自身も、約4年前にAIを触り始めた頃、

「こんなことまでできるのか」

「頼んだだけで、ここまで作ってくれるのか」

と何度も驚きました。

そして今は、当時よりもさらに多くのことができるようになっています。

ただ、実際にいろいろなシステムを作ってきて、少しずつ分かってきたことがあります。

それは、

AIが作れるものの価値は、使う側がその業務をどこまで理解しているかによって大きく変わる

ということです。

例えば、「音声入力機能を作る」というだけなら、現在のAIを使えば、それほど難しくありません。

音声を文字にする。
内容を整理する。
データベースに保存する。

技術的には実装できます。

しかし、私が最初に音声入力について考えた時、それをオンライン診療の流れと結びつける発想はありませんでした。

その後、ある医師から、

「オンライン診療のプラットフォームを作れませんか」

と相談を受けました。

そこで初めて、

診療前に何を入力してもらうのか。
医師は診療中に何を確認したいのか。
診療後の記録をどう残すのか。
予約、問診、通知、決済をどうつなげるのか。

といった、実際の医療現場の流れを考えるようになりました。

そして、オンライン診療向けに作った仕組みを見た歯科クリニックから、

「これは歯科でも使えませんか」

という相談がありました。

話を聞いてみると、歯科では必ずしもオンライン診療や決済が必要なわけではありませんでした。

必要だったのは、

LINEから予約できること。
現在使用している院内のスケジュールと連携できること。
予約前にリマインドを送れること。
その後の定期健診や案内につなげられること。

同じ「医療システム」でも、診療科や現場によって必要な機能はまったく違います。

これは、AIが自動的に教えてくれるものではありません。

現場の人に聞く。
実際の業務を見る。
どこで時間がかかっているかを確認する。
誰が、いつ、何の情報を必要としているかを理解する。

その上で初めて、AIを使って作ったものが、本当に役立つ仕組みになります。

AIによって、コードを書くハードルは下がりました。

しかし、だからこそ今後は、

「何を作れるか」よりも、「何を作るべきかを理解しているか」

の差が、より大きくなると思います。

会計業務を知らなければ、会計システムは作れても、実務では使いにくいものになります。

営業の流れを知らなければ、CRMを作れても、現場では入力されなくなります。

医療現場を知らなければ、予約システムは作れても、受付や医師の仕事を逆に増やしてしまうかもしれません。

AIは、知識や経験をゼロから完全に代替するものではありません。

むしろ、自分が持っている業務知識や現場経験を、以前より速くシステムに変えるための道具なのだと思います。

これから強いのは、単にAIツールを使える人ではなく、

特定の業務を深く理解し、その課題をAIで形にできる人

なのかもしれません。

AIで何かを作りたいけれど、何を作ればよいか分からない場合は、まず新しいアイデアを探すより、

「自分はどの業務をよく知っているか」
「現場で何度も見てきた問題は何か」
「誰が、どの作業で困っているか」

を考えてみるとよいと思います。

AIが強くなればなるほど、最後に価値を決めるのは、技術そのものではなく、現場への理解なのだと感じています。
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