B型事業所の廃業・指定取消は年々増えています。そしてこれからますます増えてくると見込んでいます。開設から数年で閉じる事業所に共通するパターンを、10年間現場で見てきた経営者が本音で解説します。
最初に正直に言います。
B型がつぶれる理由は、制度のせいでも報酬改定のせいでもありません。
ほとんどの場合、経営者の「思い込み」と「準備不足」です。
これは責めているわけじゃない。
ぼくも最初、同じ思い込みを持っていました。
10年間、この業界で3拠点を運営しながら、廃業していった事業所を何度も見てきました。
つぶれる事業所には、驚くほど共通したパターンがあります。
理由① 利用者が集まると思っていた
「障がいのある方の支援をしたい」
「地域に必要な施設を作りたい」
この気持ちは本物だと思います。
でも、「必要とされている=自然と人が来る」は大きな勘違いです。
B型は開所したその日から、利用者を「営業して集める」必要があります。
相談支援事業所・ハローワーク・特別支援学校・精神科クリニック。
これらへの挨拶回りを開所前から始めていない事業所は、開所後に利用者ゼロが続きます。
定員20名の事業所で稼働率が50%を切ると、人件費と家賃を賄えません。
そのまま数か月続くと、資金が底をつきます。
ぼくが見てきた廃業事業所のほとんどが、この「集客の甘さ」から始まっていました。
理由② 最初の2か月の資金ショートを想定していなかった
これが一番多いパターンです。
B型の収入である介護報酬は、サービスを提供した月の翌々月に振り込まれます。
4月開所なら最初の入金は6月です。
その間、スタッフの給与・家賃・光熱費は毎月出ていきます。
「融資が通ったから大丈夫」と思っていても、開所後の運転資金が足りなくなるケースが後を絶ちません。
最低でも給与3か月分+家賃3か月分を手元に残して開所する。これを知らずに始めた事業所が、開所初年度に力尽きます。
理由③ サービス管理責任者が突然いなくなった
人員基準を満たせなくなると、指定取消になります。
B型に必ず必要なサービス管理責任者(サビ管)は、全国的に引く手あまたです。
「うちのサビ管が転職したい」と言い出したとき、代わりがいなければ事業所は続けられません。
サビ管に依存しきった体制を作っていた事業所が、この瞬間に終わります。
ぼくが見てきた中で、急に閉所せざるを得なくなった事業所の多くがこのパターンでした。
対策は一つです。
サビ管資格を持てる人材を複数育てておくこと。
または、管理者とサビ管の兼務を前提とした体制を最初から作ること。
理由④ 工賃を払える事業を持っていなかった
B型は「工賃を払う場所」です。
でも、何で稼ぐかを決めずに開所している事業所が驚くほど多い。
農作業をやっているが売り先がない。
軽作業の受注が安定しない。
結果、工賃が月500円になる。
工賃が低い事業所には、利用者が来なくなります。
相談支援専門員も紹介しなくなります。
負のスパイラルです。
開所前に「何で工賃を稼ぐか」の設計ができていない事業所は、時間の問題でつぶれます。
特に、今後の報酬改定の流れを見ていても確実にここを抑えてないと経営が厳しくなることは明白です。
理由⑤ 報酬改定に対応できなかった
令和6年度、令和8年度と、B型の報酬改定は続いています。
・区分が変わったのに届出を出さなかった。
・請求ソフトの設定を変えていなかった。
・加算の要件が変わったのに気づかなかった。
これらの「知識不足による請求ミス」が積み重なると、返還金が発生します。
経営が苦しい時期にまとまった返還が発生すると、そのまま倒れる事業所があります。
情報を取りに行く習慣がない経営者にはリスクしかやってきません。
それだけ、今経営を取り巻く環境はスピーディーです。
変化できるものだけ生き残る。
これがこれからの時代のキーワードだと思います。
理由⑥ お金のためだけでやっていた
最後はここです。
ぶっちゃけ言います。
「B型は補助金・報酬が安定しているから儲かる」という動機で開設した事業所は、だいたい数年でつぶれます。
なぜか。
・利用者さんは感じ取ります。
・スタッフも感じ取ります。
・相談支援専門員も感じ取ります。
「この事業所、利用者のことを本当に考えているか」
「ここに紹介していいか」
これを感じ取られた瞬間から、人が集まらなくなります。
お金のための事業所は、人が離れる。
人が離れると、お金も離れる。
ぼくが10年やってきて、これだけは確信を持って言えます。
つぶれない事業所に共通すること
逆に、10年生き残っている事業所には共通点があります。
・工賃を本気で上げようとしている。
・利用者の人生を本気で考えている。
・地域との関係を地道に作り続けている。
・制度の変化を素直に学び続けている。
派手さはなくていい。
でも、この4つを続けている事業所はつぶれません。
つまり、日々の積み重ねしかないってことです。
最後に
B型を開設したい方、今まさに経営に悩んでいる方へ。
つぶれる理由のほとんどは、事前に防げます。
「知らなかった」で済まない業界です。
利用者さんの生活がかかっているから。
何か気になることがあれば、コメントまたはDMでご連絡ください。
現役経営者として、一緒に考えます。
押川敬視(おっしー)
元教員。宮崎県でB型3拠点を運営中の現役経営者。
「居場所と出番」を作ることが仕事です。
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