富太郎の『ちょこプレ2』2025.5.11

富太郎の『ちょこプレ2』2025.5.11

記事
コラム
富太郎が気の向くままに、再び「ちょこっとプレゼン」させていただきます。
誰かのお役に立てば、幸いです。

今回のお題「住居侵入罪」

 先日、小学校で父母の知人が学校に押しかけ、先生等に暴力を振るうという、信じがたい事件が発生しました。

 暴力事件はもってのほかですが、そもそも関係のない人物が、無断で校内に
入っていいのか。犯罪にはならないのか。 『刑法(130条)』には多くの
住居侵入罪」に関する最高裁の判例があるので、いくつか簡単にご紹介した
いと思います。

〇 Aが、B宅に強盗に入ろうと考えて、B宅に赴き、Bに対して、強盗の意
 図を隠して、「今晩は」と挨拶したところ、BがAに対して「おはいり」と
 答えたので、これに応じてB宅に入ったケース。
⇒ 居住者、看守者の承諾が有効な場合には、意思に反する立ち入りがないの
 で「侵入」には当たらず、住居侵入罪は成立しないが、錯誤に基づく承諾は
無効であるから、住居侵入罪が成立します。 (最大判昭24.7.22)

〇 Aは、マンションの上階のB方の住人の足音などか大きいと不満を抱き、
 それまで付き合いのなかったB方へ行くや、鍵の掛かっていなかった玄関
 ドアからB方の居間に入り込み、騒音が大きいなどと文句を言った。Bは、
 Aに対し、出ていくよう求めたが、AはBからの通報で警察官が駆け付ける
 までB方の居間にとどまり、騒音に対する文句を言い続けたケース。
⇒ Aは、Bの意思に反してその住居に立ち入っており、Aには、住居侵入罪
  が成立します。 なお、継続犯である住居侵入罪が成立する以上、Aが
  Bに退去を求められ、応じなかった場合でも、不退去罪は成立しません。
  (最決昭31.8.22) 

〇 Aは、窃盗の目的で、夜間、Bが経営する工場の門塀で囲まれた敷地内に
 入ったが、工場内に人がいる様子だったため、工場内に入るのを断念して
 立ち去ったケース。
⇒ 130条の「建造物」には、建物だけではなく、その囲繞地も含みます
 Aが、窃盗の目的で、Bが経営する工場の門塀にか囲まれた敷地内に入った
 段階で、人の看守する建造物に「侵入」したものといえるので、工場に入る
 のを断念して立ち去ったとしても、Aには建造物侵入罪の既遂罪が成立しま
 す。 (最大判昭25.9.27)

◯ Aは、現金自動預払機の利用客のキャッシュカードの暗証番号を盗撮する
 目的で、現金自動預払機が設置された無人の銀行の出張所の建物内に立ち入
 り、小型カメラを取り付けたケース。
⇒ Aが、現金自動預払機の利用客のキャッシュカードの暗証番号を盗撮する
 目的で、現金自動預払機が設置された無人の銀行の出張所の建物内に立ち入
 った場合、そのような立ち入りが同所の管理権者の意思に反することは明ら
であるから、その立ち入りの外観が一般の現金自動預払機利用客と異なる
 ものでなくても、Aには、建造物侵入罪が成立します。(最決平19.7.2)

◯ Aは、甲警察署の中庭に駐車された捜査車両の車種やナンバーを把握する
 ため、甲警察署の敷地の周囲に庁舎建物及び中庭への外部から交通を制限し
 みだりに立ち入りを禁止するために設けられ、外部から内部をのぞき見るこ
 とができない構造となっている高さ2.4メートルのコンクリート製の塀の
 上部に上がったケース。
⇒ 警察署庁舎建物及び中庭への外部からの交通を制限し、みだりに立ち入り
 することを禁止するために設置された高さ約2.4mの本件塀は、建造物侵
 入罪の客体に当たり、中庭に駐車された捜査車両を確認する目的で本件塀の
 上部へ上がった行為は、「侵入」に当たるから、建造物侵入罪を構成しま
 す。  (最決平21.7.13)

 最後に、刑法130条[住居侵入等]の条文です。
『 正当な理由がないのに、人の住居若しくは人の看守する邸宅、建造物若し
 くは艦船に侵入し、又は要求を受けたにもかかわらずこれらの場所から退去
 しなかった者は、3年以下の拘禁刑又は10万円以下の罰金に処する。』

 なお、傷害罪(刑法204条「人の身体を傷害した者は、15年以下の拘禁刑
は50万円以下の罰金に処する。」)、放火罪、殺人罪等、他の犯罪の手段
として犯された場合、住居侵入罪とこれらの罪は、牽連犯(注)となります。

(注)「牽連犯」というのは、『犯罪の手段若しくは結果である行為が他の罪名
に触れる場合』をいいます。数個の行為が手段・目的、又は原因・結果の関係
にあることを要件として「科刑上一罪(その最も重い刑により処断する)」とし
て扱われます。(刑法54条)

今回は、以上です。 
過去のブログも、ぜひご覧ください。   富太郎

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