富太郎が気の向くままに、再び「ちょこっとプレゼン」させていただきます。
誰かのお役に立てば、幸いです。
今回のお題「結果的加重犯」
例えば、AがBに対して甲宅に侵入して金品を盗んでくるよう『教唆』した
ところ、Bは甲宅に侵入して金品を物色したが、その最中に甲に発見されたの
で、甲に刃物を突き付けて甲から金品を強取した。というケースで、Aには、「住居侵入・強盗罪」の『教唆犯』は、成立するでしょうか?
判例は、「窃盗」を教唆したところ、被教唆者が「強盗」をした場合には、
教唆者には軽い「窃盗罪」の範囲において『教唆犯』が成立すると判示しまし
た(最判昭25.7.11)。
「教唆」(あるいは「共謀」、「共犯」、「幇助」)で、教唆の内容よりも、
被教唆者(共謀者、正犯者)が「重い犯罪」を実行した場合(共犯の過剰)に、
教唆者には、「教唆者の故意」と「被教唆者の犯した犯罪」の構成要件(犯罪
のとして法の条文に定めらた内容にあてはまっていること)が実質的に重なり
合う範囲で、軽い犯罪の教唆が成立します。
●教唆したのは「窃盗」、実際に起きたのは「強盗」。犯罪類型の似ている
場合は「軽いほう」。
では似たケースで、AがBに対して甲宅に侵入して金品を強取するよう『教
唆』したところ、Bは甲宅に侵入して甲を殴って金品を強取したが、甲は、殴られた際に倒れて頭を打ち、死亡してしまったらどうなるか。 Aには「強盗
致死罪」の『教唆』の罪責まで負うのかどうかが、問題となります。
判例は、Aには、「住居侵入、強盗致死罪」の『教唆犯』が成立する、と判
示しました。(大判大13.4.29)。
●教唆したのは「強盗」、実際に起きたのは「強盗致死」。
犯罪行為をなした際、予想していた以上の悪く重い結果を引き起こしてしま
った場合に、その悪く重い結果についても罪に問い、より重く科刑される犯罪
のことを、『結果的加重犯』と呼びます。
仮に、上記の例で、被教唆者が『殺意』をもって「強盗殺人」を犯したとし
ても、教唆者には『殺意』がないので、教唆者には「強盗致死罪の教唆犯」が
成立します。
最後に、教唆者に脅されて犯行に及んだ場合、罪には問われないのでしょう
か? 構成要件に該当しても、違法あるいは有責でなければ、犯罪にはなりま
せん。
考えられるのは「正当防衛」か「緊急避難」でしょうか。 正当防衛は、
相手が「不正」の場合に限られるので、このケースには該当しません。
「緊急避難(刑法37条)」というのは、違法性のない者への「反撃」又は「転嫁行為」です。 成立するための要件は、
① 現在の危難 (法益侵害の危険が切迫していること)
② 避難の意思
③ 補充性 (避難行為が成立するためには、避難行為が危難を避ける唯一
の方法であり、それ以外に危難を避ける手段がなかったこと。)
④ 法益権衡 (避難行為から生じた害が、避けようとした害の程度を超えな
かったこと。)
緊急避難が成立すると、違法性は阻却され、犯罪は成立しません。
ただ、教唆者に脅されて犯行に及んだ場合でも、③と④の要件に該当しない
可能性が高く、違法性は阻却されず、犯罪は成立すると思われます。
警察でも周知しているように、早めの相談が肝要でしょう。
今回は、以上です。
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「自身の身や権利を守るための、最低限の法知識」
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