富太郎が気の向くままに、再び「ちょこっとプレゼン」させていただきます。
誰かのお役に立てば、幸いです。
今回のお題「教唆犯・共同正犯」
昨今、指示役の指示に基づいて、知らない者同士が民家に押し入る強盗事件
が頻発しています。 実行犯は、指示役に脅されて犯行に及んだとの報道も。
『教唆犯』とは、「人を教唆して犯罪を実行させた者」(刑法61条1項)であ
り、教唆犯が成立するためには、①他人に犯罪の決意を生じさせる「故意的
教唆行為」と、②それによって正犯者が犯罪の実行に出たこと、の二つの要件
が必要とされています。
そして『教唆犯』には、正犯の刑が科されます(刑法61条1項)。正犯の法定
刑の範囲内で刑を科すということであり、実際の正犯者より重い刑でもかまい
ません。
司法書士試験の過去問 平成2-25-(5)
問 医師が、看護師を指示して患者に毒薬を投与して、患者を殺害した場合に
は、看護師が毒薬であることを知らなくても、医師については、殺人罪の
教唆犯が成立する。
答 × 看護師は毒薬であることを知らないのであるから、看護師には殺人罪
の構成要件的「故意」が欠ける以上、正犯者とはいえず、医師には殺人罪の
教唆犯は成立せず、構成要件的故意を欠く者を(あたかも道具のように)利用
する『間接正犯』を認めるのが判例・通説であり、医師には『殺人罪の間接
正犯』が認められる。
司法書士試験の過去問 昭和62-24-(1)
問 13歳の児童に指示して他人の財物を盗み出させたときは、当該児童に対
し、暴行、脅迫等その意思を抑圧する手段を用いたと否とを問わず、間接正
犯による窃盗が成立する。
答 × 実行行為に出たものについて是非弁別能力が認められるときでも、常
に教唆犯が成立するわけではなく、暴行、脅迫等意思を抑圧するような手段
を用いることにより、被利用者を道具と評価できる場合、利用者には間接正
犯が成立し得る。 この点につき判例(最判昭58.9.21)も、日頃顔面にタバ
コの火を押し付けるなどして自己の意のままにしてきた12歳の養女に窃盗
を行わせたという事例において、「自己の日頃の言動に畏怖し意思を抑制さ
れている同女を利用して右窃盗を行ったのであるから、たとえ同女が是非弁
別能力を有するとしても、間接正犯が成立する」と判示している。(「意思
を制圧する手段を用いたと否とを問わず」とする点で誤り。)
司法書士試験の過去問 平成22-24-(う)
問 Aは、生活費欲しさから、中学1年生の息子Bに包丁を渡して強盗をして
くるよう指示したところ、Bは嫌がることなくその指示に従って強盗するこ
とを決意し、コンビニエンスストアの店員にその包丁を突き付けた上、自己
の判断でその場にあったハンマーで同人を殴打するなどしてその反抗を抑圧
して現金を奪い、Aに全額渡した。この場合、強盗(既遂)罪の共同正犯が成
立する。
答 まず、親Aは刑事未成年者である息子Bに強盗を指示して実行させている
ものの、Bは指示に嫌がることなく自己の判断で強盗を実行していることか
ら、AがBの意思を抑圧しているものとはいえず、Aに強盗罪の間接正犯は
成立しない。また、Aは生活費欲しさから包丁を与えた上でBに強盗を指示
し、Bが奪った現金をすべて受け取っていることから、Aには正犯性が認め
られ、『教唆犯』ではなく、『正共同犯』が成立する。(最決平13.10.25)
「『共同正犯』とは、「二人以上共同して犯罪を実行することをいう。」
(刑法60条)
刑法60条は、共同正犯者は「すべて正犯とする」と規定しており、犯罪を
実行するための行為の一部を行えば、現実に生じた犯罪的結果の全部の責任を
課されることになります(一部実行全部責任の原則)。
では、「強盗を指示したら、実行役が相手を殺してしまったらどうなるか。」
については、次回の お題 にする予定です。
今回は、以上です。
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★リーガルリテラシーとは、
「自身の身や権利を守るための、最低限の法知識」
です。