富太郎の『ちょこプレ2』2024.11.17

富太郎の『ちょこプレ2』2024.11.17

記事
コラム
富太郎が気の向くままに、再び「ちょこっとプレゼン」させていただきます。
誰かのお役に立てば、幸いです。

今回のお題「教唆犯・共同正犯」

 昨今、指示役の指示に基づいて、知らない者同士が民家に押し入る強盗事件
が頻発しています。 実行犯は、指示役に脅されて犯行に及んだとの報道も。

 『教唆犯』とは、「人を教唆して犯罪を実行させた者」(刑法61条1項)であ
り、教唆犯が成立するためには、①他人に犯罪の決意を生じさせる「故意的
教唆行為」と、②それによって正犯者が犯罪の実行に出たこと、の二つの要件
が必要とされています。
 そして『教唆犯』には、正犯の刑が科されます(刑法61条1項)。正犯の法定
刑の範囲内で刑を科すということであり、実際の正犯者より重い刑でもかまい
ません。

 司法書士試験の過去問 平成2-25-(5)
問 医師が、看護師を指示して患者に毒薬を投与して、患者を殺害した場合に
 は、看護師が毒薬であることを知らなくても、医師については、殺人罪の
 教唆犯が成立する。
答 × 看護師は毒薬であることを知らないのであるから、看護師には殺人罪
 の構成要件的「故意」が欠ける以上、正犯者とはいえず、医師には殺人罪の
 教唆犯は成立せず、構成要件的故意を欠く者を(あたかも道具のように)利用
 する『間接正犯』を認めるのが判例・通説であり、医師には『殺人罪の間接
 正犯』が認められる。
 司法書士試験の過去問 昭和62-24-(1)
問 13歳の児童に指示して他人の財物を盗み出させたときは、当該児童に対
 し、暴行、脅迫等その意思を抑圧する手段を用いたと否とを問わず、間接正
 犯による窃盗が成立する。
答 × 実行行為に出たものについて是非弁別能力が認められるときでも、
 に教唆犯が成立するわけではなく、暴行、脅迫等意思を抑圧するような手段
 を用いることにより、被利用者を道具と評価できる場合、利用者には間接正
 犯が成立し得る。 この点につき判例(最判昭58.9.21)も、日頃顔面にタバ
 コの火を押し付けるなどして自己の意のままにしてきた12歳の養女に窃盗
 を行わせたという事例において、「自己の日頃の言動に畏怖し意思を抑制さ
 れている同女を利用して右窃盗を行ったのであるから、たとえ同女が是非弁
 別能力を有するとしても、間接正犯が成立する」と判示している。(「意思
 を制圧する手段を用いたと否とを問わず」とする点で誤り。)

司法書士試験の過去問 平成22-24-(う)
問 Aは、生活費欲しさから、中学1年生の息子Bに包丁を渡して強盗をして
 くるよう指示したところ、Bは嫌がることなくその指示に従って強盗するこ
 とを決意し、コンビニエンスストアの店員にその包丁を突き付けた上、自己
 の判断でその場にあったハンマーで同人を殴打するなどしてその反抗を抑圧
 して現金を奪い、Aに全額渡した。この場合、強盗(既遂)罪の共同正犯が成
 立する。
答 まず、親Aは刑事未成年者である息子Bに強盗を指示して実行させている
 ものの、Bは指示に嫌がることなく自己の判断で強盗を実行していることか
 ら、AがBの意思を抑圧しているものとはいえず、Aに強盗罪の間接正犯は
 成立しない。また、Aは生活費欲しさから包丁を与えた上でBに強盗を指示
 し、Bが奪った現金をすべて受け取っていることから、Aには正犯性が認め
 られ、『教唆犯』ではなく、『正共同犯』が成立する。(最決平13.10.25)
 「『共同正犯』とは、「二人以上共同して犯罪を実行することをいう。」
 (刑法60条)

 刑法60条は、共同正犯者は「すべて正犯とする」と規定しており、犯罪を
実行するための行為の一部を行えば、現実に生じた犯罪的結果の全部の責任を
課されることになります(一部実行全部責任の原則)。

では、「強盗を指示したら、実行役が相手を殺してしまったらどうなるか。」
については、次回の お題 にする予定です。

今回は、以上です。 
過去のブログも、ぜひご覧ください。   富太郎

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