富太郎が気の向くままに、再び「ちょこっとプレゼン」させていただきます。
誰かのお役に立てば、幸いです。
今回のお題「信用金庫は『商人』か?」
「パン屋さん」は『商人』ですが、「信用金庫」は『商人』でしょうか?
実は、『商人ではない。』という判例があります。 (最判昭63.10.18、
最平18.6.23) 理由は「信用金庫や信用組合は銀行と異なり、営利を目的と
しないから。」だそうです。
そもそも、『商人』とは何ぞや?
商法第4条 【定義】
1項 この法律において『商人』とは、自己の名をもって商行為をすることを
業とする者をいう。 [固有の商人]
注:「業とする」とは、営利の目的をもって同種の行為を反復、継続して
行うこと。
2項 店舗その他これに類似する設備によって物品を販売することを業とする
者又は鉱業を営む者は、商行為を行うことを業としないものであっても、
これを商人とみなす。 [擬制商人]
例:農家が軒先で、収穫した野菜等を販売する行為。
商行為は、3つに分類されます。
1 絶対的商行為(商501条)
誰が行ってもよく、1回だけ行っても商行為となる。
例①利益を得て譲渡する意思をもってする動産・不動産若しくは有価証券の
有償取得又はその取得したものの譲渡を目的とする行為。
(安く仕入れて、高く売る。 行為の主体が商人である必要はない。)
②他人から取得する動産又は有価証券の供給契約及びその履行のために
する有償取得を目的とする行為。
(先に高値で売り込んでおいて、安く買えるところから買う。)
注:自分が使っていたものを売る場合は、該当しない。
2 営業的商行為(商502条)
誰が行ってもよい。 ただし、営利目的で反復継続してなされてはじめて
商行為となる。 (物の製造、又は労務に服する者の行為は除く。)
3 付属的商行為(商503条)
1項 商人が、その営業のために行うことによって商行為となる。
2項 商人の行為は、その営業のためにするものと推定する。
言わずもがなですが、商行為には、『商法』が適用されます。
商法第1条 【趣旨等】
1項 商人の営業、商行為その他商事については、他の法律に特別の定めが
あるものを除くほか、この法律の定めるところによる。
人と人との関係を規定するのは「民法」ですが、『商行為』とみなされる
と「商法」によって、修正を受けます。 特徴的なものとしては、
1 商人であるかを問わず、「商行為」であれば適用されるもの
① 非顕名代理(商504条)
② 商行為の委任(商505条)
③ 債務の連帯債務化(商511条1項)
④ 保証債務の連帯保証化(商511条2項)
⑤ 流質契約の自由(商515条)
2 商人である場合に適用されるもの
① 一方が商人である場合
ア 本人の死亡と代理権の不消滅(商506条)
イ 報酬請求権(商512条)
② 双方が商人である場合
法定利息請求権(商513条)
司法書士試験の過去問から、いくつかご紹介します。
問 利益を得て譲渡する意思をもって自動車を有償で取得する
行為は、商行為である。
答 ○ (商501条1項 絶対的商行為)
問 商人がその営業の範囲内で他人のために行為をしたときは、
報酬の特約がなくとも報酬を請求できる。
答 ○ (商512条)
問 商人間で金銭消費貸借をなした場合、利息の特約がないとき
でも、利息の請求をすることができる。
答 ○ (商513条1項)
問 商行為によって生じた債権を担保するために質権を設定する
場合、質物の所有権をもって弁済にかえる旨の契約(流質契約)
をすることができる。
答 ◯ (商515条) (民法では認められていない。349条)
問 委任者にとって商行為となる委任契約により代理人に代理権を
付与したときは、当該代理権は、委任者の死亡によって消滅する。
答 × 商行為の委任による代理権は、本人の死亡によっては、
消滅しない。 (商505条)
事業を始めればもちろんのこと、自分では意識してやっていなくても
「商行為」に該当すれば、適用される法律があるということには、
注意が必要です。
今回は、以上です。
過去のブログも、ぜひご覧ください。 富太郎
★リーガルリテラシーとは、
「自身の身や権利を守るための、最低限の法知識」
です。