第1編は「創業計画書作成」編です。
第8回『創業計画のつくり方⑥』
日本政策金融公庫 国民生活事業 の
「創業の手引き」に沿って、説明しています。
手引きは、公庫のHPから入手できます。
今回は、「9 資金計画」の続き、(2)『調達の方法』を説明します。
(「創業の手引き」は19ページです。)
前回も途中まで説明しましたが、『必要な資金と調達の方法』の図です。
表の左側が、『必要な資金』 = 何にいくら必要か? ・・・(1)
表の右側が、『調達の方法』 = どのように用意するか? ・・・(2)
(1)の金額と、(2)の金額は一致させます。
(2) 調達の方法 を順番に見ていきます。
① 自己資金
読んで字のごとく、「事業に投入する、返済しなくてもよい」資金
です。
・自分のお金でも、例えばお子さんの「学資資金」等、事業に投入できない
お金は、はずして考えます。
・また、自分のお金といっても、「初めての〇〇」等、すぐに返さなければ
ならない、借りてきたお金も、含めるべきではありません。
(支払利息の負担や、返済元金の負担は、開業後の採算や資金繰り悪化に
直結します。)
★ 時々、何十万、何百万という金額のお金を、「手元に持っていました
(タンス預金)」、あるいは「友人に貸していました」とポンと通帳に入れて
くる方がいらっしゃいますが、『金銭感覚』の問題として、お手元のお金は
今日、今すぐにでも通帳に入れてください。
貸しているお金は、返してもらってください。
そして蓄積過程がわかるよう、古い通帳や積立預金の通帳は、
保管しておいてください。
全体の資金計画にもよりますが、自己資金が少ないからというだけで、
融資が断られるということは、まず、無いと思います。
開業前の収入やご家族構成による生活にかかる費用も影響してくるわけで、
金額は多くはないが、コツコツと貯めてきたことがわかる資料が提示されれば、『開業への熱意』と して評価されるはずです。
もし、必要資金と返済負担との関係で、自己資金が足らないようならば、
その分『必要な資金』を削る術を考えてください。
前回ご説明したように、開業後、まず100%追加の資金は必要になります。
自己資金をどれだけ準備できるかが、創業の成功確率を高める大きなポイ
ントです。
(手引き16ページの豆知識『自己資金の目安』も参考にしてください。)
② 親、兄弟、知人、友人等からの借入 (内訳・返済方法)
〇 「援助」なのか、「借金」なのか明確にする必要があります。
・ 返さなければいけないお金であれば、(借用証書を用意しろとまでは
言われないでしょうが)返済条件を明確にする必要があります。
開業後の資金繰りに影響します。
・ 名前、住所、関係、何をしている人か、くらいは確認されると
思ってください。
もし、そのお金が調達できなければ、全体の資金計画に影響します。
場合によっては「先に振り込んでもらってください」
とお願いされるかもしれません。
『プライバシイーにかかわる』ということで言えないということで
れば『余裕資金』として、この表には算入しない方が、無難でしょう。
③ 日本政策金融公庫 国民生活事業からの借入
〇 公庫から借入する場合、設備資金、運転資金それぞれ『返済期間』の
上限が決められており、『創業関係資金』は、通常の資金よりも
長めに設定されています。
月々の元金を少なくして、返済負担を軽くするために、制度いっぱいの
返済期間を希望される方が多いですが、ひとつ注意していただきたいの
は、設備には耐用年数があるということ。
購入した機械や店の内装などが、返済期間だけ持つのかどうか
ということ。
もし、返済中に買い替え等が必要になると、物はもうないのに、
借金だけが残る状態になります。
運転資金にしても、売上が計画を上回っても(増加運転資金)、
下回っても資金は必要になるので、次の借入(申込)も頭の片隅に
入れていただいて、返済期間を検討していただきたいと思います。
(もちろん、担当者と相談することは可能ですし、
相談者から提案があるかもしれません。)
④ 他の金融機関等からの借入 (内訳・返済方法)
〇 複数の金融機関が、一つの取引先に同じ使途で、同時に融資することを
『協調融資』といいます。
一行だけが融資を実行しても、目的が達成されませんので、
金融機関同士は、連絡を取り合い、進捗を合わせながら
進め る事が多いです。
したがって、同時に申込んでいる金融機関の担当責任者に「見込、
進捗等の話を聞かせてほしい。」とお願いする可能性が高いです。
先方の金融機関にも、公庫への申込み状況等をよく説明して
おきましょう。
今回も『真夜中のパン屋さん(注)』”くれさんの店”の事例で
考えてみましょう。
恐らくですが、”くれさん”は、奥さんがかなりのところまで準備を進めていましたので、サラリーマンとして蓄えもあり、退職金もあったでしょうから、無借金で開業したと思われます。
(ちょっと不謹慎になるかもしれませんが、万が一奥さんが開業資金を
金融機関から借り入れをしていたとしても、事故で亡くなったので、保険で
完済されているはずです。無理のない範囲で、保険は検討するべきです。)
ただ、開業後にある事情から「資金調達」の必要が発生します。
店の建物は、亡くなった奥さん名義だったのですが、土地は親戚からの借地で、この親戚から土地を買い取らないと商売が続けられない状況に追い込まれます。
(どう乗り切るか等、詳しくは読んでのお楽しみということで。)
このように、いつ、何が起こるかわからないというリスク管理の意味も含めて、資金には余裕を持たせることが重要です。
今回のポイント
・ 自己資金をどれだけ準備できるかが、成功確率を高める
次回は、『収支計画』について説明します。
以上、富太郎でした。
(注) 『真夜中のパン屋さん』
作者: 大沼 紀子 ポプラ文庫 全6巻
☆ 過去に「ブログ」に投稿した内容の再掲示です。