第1編は「創業計画書作成」編です。
第5回『創業計画書のつくり方③』
日本政策金融公庫 国民生活事業 の
「創業の手引き」に沿って、説明しています。
手引きは、公庫のHPから入手できます。
前回の続き、「3 取扱品・サービス」、「取引先・取引関係等」です。
(「創業の手引き」は、12ページ『取扱商品やサービスを検討する際に、気を付ける ことはありますか ? 』からです。)
「対象とする顧客や立地条件にマッチした商品・サービスになっているか」
よく考えてみましょう。とありますが、具体的には ?
(1) 誰に対して → メインのお客さま(お金を払ってくれる人)は誰 ?
(2) 何を ① 商品は ? → どのような商品、サービスを 提供する ? ② 提供する価値に → 優位性、差別化は ある ?
(3) どのように ① 価格 → いくらで ?
② 立地・流通 → どんな場所・チャネルで ?
③ 販売促進・営業 → どうやって集客する ?
④ 調達・営業体制 → 仕入れ・外注先、製造、従業員は ?
★ 前回も書きましたが、全体の「整合性」「具体性」「実現可能性」が
計画の『確からしさ』を高めます。
また、計画を作成するにあたっては、
ⅰ 自社の強み・弱み [自社(Company)」
ⅱ ライバル(競合先)の動向 [競合(Competitor)」
ⅲ 顧客・市場のニーズ・動向 [顧客(Customer)」
の3点をよく整理・(3C)分析してみましょう。
(「綿密な情報収集」が大事です。)
それぞれのポイントをもう少し掘り下げます。
〇 取扱商品・サービス・技術・アイデア (「何を」売るのか ? )
・ どのような特徴(セールスポイント)がありますか ?
・ 競業他社と差別化は図れていますか ?
・ それはターゲットとする顧客のニーズと合っていますか ?
〇 対象とする顧客は、明確ですか ? (「誰に」売るのか ? )
・ 相応(企業維持に必要な)の顧客数は見込めますか ?
(顧客の獲得方法は ? )
・ 想定している顧客のニーズとセールスポイントに整合性はありますか ?
〇 どのように販売するのか、明確になっていますか ?
(「誰が」、「どこで」、「どのように」売るのか ? )
・ 事業計画を進めていくために必要な人材確保の見通しはありますか ? (必要な「有資格者」は確保できているか ? )
(計画している販売条件に、資金的、物理的に「無理」はないか ? )
・ その販売方法は、実現可能ですか ?
〇 販売条件・仕入条件は、明確ですか ?
「掛売り」の場合には、回収条件に注意が必要です。
→ 十分な売上げが確保できても、仕入れ代金の支払いや、
人件費や家賃等諸経費の支払いが先行すると、(追加の)資金が
必要になります。
(「損益(儲かっているかどうか)」と「キャッシュフロー
(お金が足りるか)」は別であることを認識しておく必要あり。)
→ 現金販売でも、カード決済には(お店負担の)手数料がかかる。
経費増加。
また「在庫」の分だけ、お金は寝ます(資金が必要)。
・ 「掛仕入れ」の場合には、出金(支払い)を遅らせることは
できますが、仕入単価 が上がります(可能性が高い)。
→ 原価率が上がる。利益は減る。
・ 安定した(質・量・価格)仕入を確保するための、
人脈も重要になります。
● 時々、創業予定の方から、お店のコンセプトとして 「どこよりも
良い品をどこよりも安く提供します。」とのお申し出があります。
確かに薄利多売もひとつの営業戦略ですが、それを実現するために、
何が必要で、それが継続的に可能なのか。
を考えてみる必要があります。
例えば、親せきに農業、漁業、畜産業をやっている方がいて、
良いものをいつでも安く仕入れられる。
とか、
ローンの無い不動産を所有しているので、家賃負担がかからない
とか。
これらは立派な強みです。強みがあれば生かしましょう。
そこに強みが無いようなら、別のコンセプトを考えた方が、
リスクは少なくなると思います。
ここでひとつの事例として、今回も、
「真夜中のパン屋さん」(注)の、
"くれさん"のお店を、当てはめてみましょう。
店名『Boulangerie Kurebayashi』
(ブランジェリーは、フランス語で「パン屋」の意味)
立地 三軒茶屋から少し離れた住宅街(特に高級とは言えない)に
ポツンとある。
(妻の実家の古い木造住宅の一階を改装した店)
営業 午後11時から午前5時 木曜定休
(立地と営業時間から、店の明かりはごく控えめ。香りで人を引き寄せる。)
イートイン席あり。ガラス越しにパン造りを見ることができる。
品揃え 入口の棚にフランスパン3種類、バゲット、バターロール、食パン等
左手の棚に、スイートブレッド、調理パン、アンパン、サンドウィッチ レジに進む人を圧倒するような、おびただしいパンを陳列。
売上構成・単価 ①店売り (80%) フランスパン等 300円前後
調理パン、サンドイッチ 平均300円 ②イートイン(10%) 客単価 800円
③近隣配達(10%) 客単価 1,200円前後
セールスポイント 一度食べたら絶対にリピーターにするだけの
自信ある美味しさ
(腕の立つスタッフを確保できている。
修業中のオーナー"くれさん"と2人で稼働)
コンセプト 毎日笑うためのパン。
(美味しいもんを食べると人は笑ってしまうものなんや。)
パン屋を始めたのは、「そういうパンを造りたかったから。」
「なぜ夜に ?」 道端でも、公園でも、パンはどこでだって食べられる。 囲むべき食卓がなくても、誰か隣におらんでも、平気でかじりつける。
うまいパンは、誰にでも平等にうまいんや。
いかがでしょうか ?
(審査担当者としては「 ? 」の部分もありますが・・・。
なお、単価等は私の想定です。)
今回のポイント 「綿密な情報収集」と「優れたアイデア」で 自分のセールスポイントを明確にする。
そのセールスポイントに自信はありますか ?
次回は、「5 従業員」「6 お借入れの状況」を説明します。
以上、富太郎でした。
(注) 『真夜中のパン屋さん』
作者: 大沼 紀子 ポプラ文庫 全6巻
☆ 過去に「ブログ」に投稿した内容の再掲示です。